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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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トレセンを歩いていると、ハーツクライ引退のニュースが。思い出すのは栗東で見た姿。レースの迫力ある走りとはかけ離れていて、「これがハーツなのか」と思った。現役最強クラスの引退だけに残念だけれど、ノド鳴りのこともあり、陣営がそう判断したのだから仕方ない。お疲れさまといいたいね。


さて、今朝は阪神JFの追い切り。関東馬代表、恐らく上位人気になるイクスキューズハロースピードに注目した。

イクスキューズは併せ馬。順調そうな動きだったよ。力を出せそうな仕上がり。イメージとしては前走の調子をキープしている感じかな。

ハロースピードは馬なり調整。うん、これも動きがよかった。調子としては前走よりも上向きなんじゃないかな。逆転の可能性としてはこちらかと思うね。

もう1頭、ファンタジーSの敗戦で人気は落ちるだろうけれど、マイネルーチェは変わってきそうだ。前走は状態が本物ではなかったが、今回は違う。面白い存在になってくるかもしれない。


12月は師走というけれど、僕にとっても忙しい月になりそう。イベントにもたくさん呼んでもらっていて、20日は『日本プロスポーツ協会』のイベント。野球、サッカー、相撲…。いろんな関係者が来る。普段会わない人たちと交流することで、それを競馬界に還元できればと思っているんだ。面白い話があれば、またこの場で報告させてもらうね。

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やっぱり飛んでくれたディープインパクト。期待通りの走りを見せてくれたね。応援していたみんなもスッキリするような快勝だったと思う。

そのディープを負かしにいって6着だったメイショウサムソン。石橋にはもう少しだけ早く動いてほしかったけれど、最強馬に勝負を挑むその姿勢には好感が持てた。

同じく勝ちにいったハーツクライだが、10着惨敗とは…。栗東で引き運動を見た際には「こんなものなのかな」という印象で、あれだけ走る馬には見えなかったけれど、それが悪い意味で当たったのかな。

2着のドリームパスポートは自分の競馬に徹した組。位置取りは僕が思っていたよりも前になったけれど、インコースで我慢して、追い出すタイミングを見計らった岩田の好騎乗だったと思う。馬自身もとても力をつけている。特に長距離での自在性が出てきたのは好材料じゃないかな。

見応えがあったのは、デットーリとカツハル(田中勝騎手)の駆け引き。勝負所で狭い内に入ったデットーリに、カツハルは終始厳しいプレッシャーをかけていた。もし好きなようにさせていれば、ウィジャボードは2着もあったかもしれない。甘えの一切ないプロフェッショナル同士のぶつかり合い。レースの醍醐味を感じさせてくれた。

4着、5着のコスモバルクフサイチパンドラはどちらもマイペースが功を奏した。特にパンドラは「これからの馬」という印象。まだ本気を出していないね。レース後も息を切らさず、平然としているところを見ると末恐ろしくなる。

と、これだけのメンバーを向こうにまわして、それでも「飛んだ」ディープはやっぱり素晴らしい。直線、ユタカにしては珍しく叩いていたけれど、あれは追っているわけじゃなくて気合いを入れるためのムチ。ディープ自身が大人になってズブくなっていたのだろう。でも、今回こういうレースをしたことは次のレースに繋がると思うよ。

ディープは有終の美に向けて視界良好。あとはハーツが巻き返してくれれば、有馬記念はグランプリにふさわしい好レースになりそうだ。実力馬と一流騎手の激突に見応え十分だったジャパンカップは、年末の大一番に期待の高まるレースでもあったね。

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水曜日に視察した栗東トレセン。ディープインパクトメイショウサムソンについては前回話したけれど、その他の馬の調教も甲乙つけがたいほど良かった。ドリームパスポートもいい動きをしていたし、フサイチパンドラも中1週にしては速い時計を出していて、最近の充実振りがうかがえた。

さすが国際舞台だけに、どの陣営も出走させて恥ずかしくないだけの仕上げを施しているなという印象だ。近年は日本馬のレベルも上がり、世界的にも認められはじめてきた。ICSC(国際セリ名簿基準委員会)のパート1国に昇格したのもそのひとつだよね。

そういった状況だけに、今回のジャパンCは世界中の関心を集めているといってもおかしくない。特にディープインパクトハーツクライはかなり注目されているだろうね。

そのディープは海外遠征の疲労も感じられず、ほぼ万全の状態。追い切りでは見ている方が「ちょっと遅いかな」と思うくらいのゆったりした動きで、想像以上に速いタイムを出してきた。これは調子がいい証拠だろう。

この馬を負かしにいくのがハーツサムソンウィジャボードの3頭。そして自分の競馬に徹して、あわよくばの一角崩しを狙うのがドリームコスモバルクスウィフトカレントだろう。

展開としてはトーセンシャナオーハーツバルクが先行集団。それをサムソンが追って、ドリームパンドラがさらにその後方。ディープはこれらを見る形になるんじゃないかな。スウィフトは虎視眈々とディープの後ろでジッと脚を溜める。

問題は誰が、どこで、どう仕掛けるか。そこがこのレースで一番の見どころになるだろうね。勝ちに行くのならばディープよりも先に仕掛けるべきだし、あえて2~3着を狙うのならばディープの後に仕掛けるだろう。

トップジョッキー同士の思惑のぶつかり合い、駆け引きは、かなり見応えがあるはず。そのなかでも中心になるのは、やっぱりディープ。色んな騒動を吹き飛ばす走りを期待しているんだ。

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ディープインパクトの追い切りということでかなりの報道陣が集まるだろうと想像していた栗東トレセン。やっぱり来ていたけれど、もう少し盛り上がってもいいように思えたかな。年に一度のジャパンCウィークでもあるしね。

調教スタンドで追い切りを見たり、トレセン内をフラっとしたりしていて嬉しかったのは、色んな人が声をかけてくれたこと。ユーイチ(福永騎手)、哲三(佐藤騎手)、長谷川(浩大騎手)…。久しぶりに見た顔もあったのに、昔と変わらない接し方をしてくれたからね。

特に武邦彦先生の言葉は記憶に残っている。なんていったと思う? 「これからもユタカをよろしくお願いします」だよ。少しも偉ぶったところがなく、純粋に子供のことを考えている気持ちが伝わってきた。

さて、追い切りだけれど、残念ながらハーツクライは見られなかった(木曜日を予定)んだよね。それでもディープインパクト、メイショウサムソンの2強は見ることができた。

ディープインパクトは見た目よりもタイムが速かった印象。動きはこの馬らしさが良く出ていたと思う。好感触だね。ディープで今回改めて感じたのは「レースと比べるとこぢんまり見える」ということ。何よりもレースで本領を発揮するというのが一流馬たるゆえんなんだろう。

メイショウサムソンはしまい重点の調教。陣営としては粘りを強化して、一発を狙っていく思いがあったんじゃないかな。動きは良かったけれど、ちょっと重めな感じもした。

海外馬2頭の参戦、少頭数ながら紛れのない激戦が予想されるジャパンC。今日の追い切りを見た感じでも、見応えのあるレースになりそうな予感がする。だからこそ、もう少し盛り上がってほしいと思うんだよね。

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マイルCSはダイワメジャーが思っていた通りの競馬でGI連勝。うん、強かったね。マイペースでレースを進められたことはもちろんだけれど、ダンスインザムードがちょうどいいタイミングで伸びてきたのもよかった。この馬、1頭になると気を抜いちゃうところがあるからね。

逆にムードはユタカが考え抜いた競馬をして2着。ただひとつ残念なのは、もうすこし馬体を離していたら…ということ。結果的にダイワの勝負根性に火を点ける形になってしまった。

しかしこれでムードはダイワに7連敗らしいね。相性というのもあるかもしれないけれど、転機は毎日王冠にあると思っている。坂下での両馬の接触だ。あれでダイワは勝負根性を活かす競馬を覚え、逆にムードは男馬の力強さにひるむようになったのかもしれない。この次の天皇賞でも似たようなシーンがあったのも影響しているだろう。

他に目立ったのは3歳馬のキンシャサノキセキ。道中は結構ひっかかっていたからどうかなと思っていたけれど、それでいてあの結果(5着)だからね。ポテンシャルはかなり高いんじゃないかな。

このレースはなんと関東馬が1〜6着まで独占。この結果は素直に嬉しいね。来週のジャパンCは登録で関東馬が1頭と厳しい状況だけれど、「まぁ今週はいいか」なんて思ってしまう。

そうそう、そのジャパンCについてなんだけれど、関西馬が断然ということで今週は栗東に追い切りの様子を見に行く予定なんだ。ディープ、ハーツ、サムソンと見たい馬が揃っているだけに今から楽しみにしている。その模様は水曜日のブログで報告できるだろうから、期待してください。

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トレセンを歩いていると、いろんな人が声をかけてくれる。この間は目黒貴子さんに取材を申し込まれた。マサミ(松岡騎手)についてのことなんだけれど、最近の活躍に目をつけてくれたんだろうね。日曜日、ちばテレビ『中央競馬ワイド中継』で放送されるそうだから、興味がある人は見てください。


さて、今週のマイルCSだけど、これはダイワメジャーがかなり期待できそうだ。右回りの1600mは得意の条件。さらにレース振りや調教を見ていると完成されてきたように感じるんだ。陣営の「レースに使ってこれだけ疲れがないのははじめて」という言葉もそれを裏付ける。

ただ、ポイントはアンカツが馬の力を過信した場合。1頭になると気を抜くようなところがある馬だけに、あまりに早く抜け出しすぎると他馬にチャンスが出てくる。

そうなった場合に台頭するのは、決め手のある瞬発力型だ。ダンスインザムードはその1頭なんだけれど、どうも馬体が細く見えた。調教の動き自体はいいから、杞憂かもしれないんだけどね。

同じタイプではカンファーベストも面白い。これは馬場が悪くなっても大丈夫な全天候型だけに、週末の微妙な空模様も問題ないだろう。

3歳馬マルカシェンクの決め手も上位だと思う。前走の敗因は距離のカベ。それで勝ちに行く競馬をしたのだから、あの結果はやむを得ないところ。1600mはむしろあっているはず。ただ、まだ体質に弱さを残すだけに極端な体重減はマイナスだ。

調教が前走よりもはるかに良くなっているプリサイスマシーンが穴候補。ただし、相手関係が強化されている点は加味しなくてはならない。

乗り役を見た場合、やっぱり注目はデットーリ。日本の馬場を良く知っているアイツが選んだのだから、馬場適性もあるのだろう。乗り方も含めて楽しみな人馬だ。

素質がありながらレースで気負いすぎてしまうシンボリグランはそこさえ解消されれば。ハイペースで上手く息を入れられれば、ステキシンスケクンも可能性が広がる。ただ、ダイワには最後までかわいがってもらわないと厳しいだろうね。

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今日はマイルCSの公開調教だったんだけれど、それに恥ずかしくないだけのメンバーが追い切っていた。

やっぱり目がいったのはダイワメジャー。馬なりの単走と軽めのメニューながらいい動きをしていたね。特に変わったところはなく、前走の状態をいい意味でキープしているという感じかな。

ダンスインザムードも好感触だったね。ちょうど北村と話す機会があったんだけれど、天皇賞は「瞬発力が活かせない流れになったのが痛かった」といっていた。今回は引き続き牡馬とのレースになるけれど、前走よりはこの馬向きの展開になるだろうし、調子もいい。得意の1600mだけに期待できるんじゃないかな。

良くなっていたのはプリサイスマシーン。前走とは比べものにならないほど素軽い動きで好調をアピールしていた。スワンSはちょっと物足りないデキでの勝利。そこを物差しにすると、ここでも面白い存在になりそうだ。

もう1頭、マイネルスケルツィもまずまずのデキだったね。いつも堅実で一生懸命走る馬だから、もう少しパワーアップすれば可能性も出てくるんじゃないかな。

ここ最近、GIでは関西に押されているけれど、このレースには関東馬が有力どころを占めている。ここで頑張ってもらって、西高東低の流れを少しでも変えられると嬉しいね。

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エリザベス女王杯はカワカミプリンセスの降着という驚きで幕を閉じた。みんなそれぞれ意見があるだろうけれど、僕は「降着やむなし」と思っている。競馬はシビアな勝負の世界だけれど、それもあくまでもルールがあってのものだからね。

勝負所を振り返ろう。直線入り口、アサヒライジングを前に見て、カワカミは内にいくか外にいくかで悩むところだった。そこに外からフサイチパンドラが来る。それでは…と内に入ろうとしたところで、同じところを狙っていたヤマニンシュクルの進路を邪魔してしまったということだ。

本田にしてみれば、もっとスルッと抜けているイメージだったんだろうけどね。勝ちたい気持ちが強くなりすぎたのかもしれない。

ただ、この騒ぎで忘れてはいけないことは、カワカミは強い競馬をしたということ。馬場に脚を取られながらも力強く抜け出す根性、そこから突き抜ける末脚…とにかくレース振りは際立っていた。数字の上では5勝1敗になってしまったけれど、まだレースで他の馬に先着は許していないんだから無敗でいいじゃない。大きな可能性を秘めたこの馬には今後も期待したい。

優勝したフサイチパンドラはレース振りがグングン良くなっているという印象。春は不可解な敗戦もあったけれど、最近は安定して力を発揮できている。これは何より好材料だ。

スイープトウショウはもう1週欲しいところだったね。まだ前走から体が戻りきっていなかったように思う。骨折明けの京都大賞典から天皇賞、そこから中1週でこのレースというのはやっぱりちょっと厳しかった。あと、鞍上の池添はすごく上手く乗れていたね。ここ2走の騎乗は評価できる。

終わってみれば3歳馬が上位をほぼ独占。秋華賞でもわかるように、この世代の牝馬は春の勢力図がそのまま秋に持ち越されている。逆にエアメサイアを欠き、スイープも万全とはいえなかった古馬。そう考えると、有力3歳馬のほとんどがアクシデントなく夏を越せたこともこの結果に繋がっているのかもしれない。

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エリザベス女王杯のメンバーを見て、どの馬が逃げるのかと悩む人は多いんじゃないかな。確かにそうなんだ。1枠に入ったアサヒライジングも、最近は逃げるレースをしていないし、今回あえてする必要もないだろう。その他の馬も同様で、絶対的な逃げ馬の不在っていうのがこのレース。

そこでポイントになるのが決め手の差。逃げ馬がいないことでスローペースになることもあれば、乗り役の出方次第で逆にハイペースになる可能性もある。どちらにしても絶対的な決め手があれば対応できるということ。

オークス、秋華賞の2冠馬カワカミプリンセスはまさにこのタイプ。どの位置からでもレースの流れに乗れる自在性を持っているし、これまでのレースを見ても決め手では古馬にひけをとらないはず。無敗の6連勝を期待してもいいんじゃないか。

古馬ではスイープトウショウ。元祖・決め手といえばこの馬で、牡馬をもなで斬りにする脅威の末脚は誰もが知るところだ。ただ、ひっかかるのが天皇賞での大幅体重減。あそこから中1週でどこまで戻せているか…。そこがネックだろう。

もう1頭、忘れてはいけない実力派がディアデラノビア。4戦連続3着と勝ちきれないレースが続いているが、この馬も決め手を持っている。

あと、メールをくれた高木さんが注目しているソリッドプラチナムだけど、この強力メンバーではマーメイドSのような競馬は難しいかもしれないな。でもこのステイゴールド産駒、確かに力をつけているよ。

調教の動きが良かったアサヒライジングにも注目している。この馬、ジリ脚傾向なうえに、鞍上のヨシトミがペース判断の上手な男。この人馬に合わせて動けばまず間違いがないから、相手にとっては格好の目標になるんだ。それだけに惜しいレースが多いけれど、今回は混戦だけにチャンスは十分あるだろう。

3歳馬、古馬ともにかなりの強豪メンバーが揃いながら、展開面で不確定要素の多い今年の女王杯。いつもよりドキドキしながらスタートを待つことになりそうだね。

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ちょっと冷え込みが厳しくなってきた美浦トレセン。気が付けばもう11月だからね。月日が経つのは本当に早い。この間まで3歳馬同士で戦っていた牝馬たちも、上の世代と力比べをする時期がやってきたんだから。

その3歳馬キストゥヘヴンは桜花賞当時から続けていた火曜追いからパターンを変えて、今日、坂路での追い切り。馬体のハリは特に目立たなかったけれど、パターンを変えてきたことがいい方に出れば…というところかな。

もう1頭の3歳馬、アサヒライジングは併せ馬でいい動きを見せた。好感触だったね。自分のペースでレースを運べる自在性を持った馬だけに、この状態だったら古馬相手にも可能性はあると思うよ。

古馬ではウイングレット。これも良かったね。ただ、今回は特に強力なメンバーが揃ったから、体調の良さをフルに活かすことが求められるだろう。


今日はもう1点。なぜ? と思ったのがハロースピードの乗り替わり。陣営にとってはファンタジーSの敗戦がその理由なのだろうが、僕はあのレースで隼人の騎乗は利にかなっていたと思う。この馬の将来を考えると、抑える競馬を覚えさせる事でむしろプラスになったレースだったはずだ。前にも話したように、馬の可能性はレースの仕方を数多く経験することで広がっていくから。

もちろん勝負の世界だから、結果は真摯に受け止めなければいけない。だが、目先の勝負にこだわりすぎても結果が出ないというのも真実だ。馬の将来ということもそうだが、騎手としてもそう。若い芽を育てようと思うならば、やっぱりここ一番で信頼して乗せてほしい。

誰に乗り替わるかとかではなくて、これまでハロースピードと戦ってきた隼人で勝負してほしかった。この人馬が一緒に成長してきた姿を間近で見てきただけに、心からそう思っている。

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ブシ(武士沢騎手)がようやく重賞を勝った。真面目で一生懸命で、ちょっと堅物で…。そんな人間が努力の末にこうやって結果を出したっていうのはすごく嬉しい。

レースを見たみんなも思ったかもしれないけれど、仕掛けどころとしては少し早かった。でも、レース後にブシはこういっていたんだ。「馬の気分を損ねたくなかったんです」って。トウショウナイトは下手に抑えると行く気をなくしてしまう馬だから、その面をケアした結果の早仕掛けということ。コンビを組んで23戦、この馬を知り尽くしたブシだからこその判断だったんだ。

レースを見ていて「どうしても勝ちたい、勝たせたい」というブシの気持ちが馬に伝わったと感じたのが、ゴール前、アイポッパーに詰め寄られたときにグイッともうひと伸びした瞬間。こういうのは胸が熱くなるよね。人馬はともに重賞初制覇。この勝利を切っ掛けに、どちらもひと皮むけてほしい。


西ではアストンマーチャンが鮮やかな勝ちっぷり。距離不安をいわれていたけれど、ユタカが抑える競馬を成功させて新味を引き出した。先々を見据えての騎乗だったと思うんだけれど、それがいきなり結果になって表れたね。こんな余裕のあるレースができるんだったら、1600mの本番でも距離面では心配ないだろう。

隼人が乗ったハロースピードはちょっと消化不良な内容。器用な脚がないぶん毎回スタートには気を使うんだけれど、今回は特にイメージ通りにいかなかったね。それに終始外を回らされたのも痛かった。最後までレースの流れに乗れずじまい。隼人もそうだろうが僕も残念な気持ち。次走以降に期待しよう。

2歳牝馬戦線は、このレースでアストンマーチャンが一歩リードといった感じかな。鮮烈な勝ち方以上に、ユタカがこの馬に抑える競馬を覚えさせたということが大きい。次走はもっと素直に折り合いがつくはずだ。

最近は結果重視。乗り方をいろいろと変えるたびに非難されたりするけれど、馬の可能性っていうのはレースの仕方を何パターンも経験することで広がっていくもの。そういう意味では、より強い馬を作るためにも今回のユタカみたいな「ひと皮むけさせる」騎乗がもっと多くなってもいいと思う。

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みんなはどんなレースを魅力に感じるかな? 強い馬同士の激戦? それとも高配当が出るような混戦? 人それぞれだと思うけれど、混戦模様が好きな方には今週のアルゼンチン共和国杯はお気に召すかもしれない。

なにしろ重賞勝ち馬がウインジェネラーレ(04年日経賞)、スズノマーチ(05年エプソムC)の2頭、上位人気になりそうな馬でも重賞未勝利馬が多い。アイポッパー、トウカイトリック、僕が注目しているトウショウナイトもその1頭だ。

トウショウナイトはこれまで重賞で2着2回、GIでも4着(05年)に入ったことがあるように、ここでも通用する力はあると思う。ずっと懸念していた精神面でもだいぶ大人になってきたし、調子もいい。思い入れがある馬だけに、ここでチャンスをモノにしてほしいと思っているんだ。

そのトウショウを脅かす実績馬・アイポッパー。でも、トウショウが57.5キロで、この馬が58キロ。前走の京都大賞典でもトウショウに先着を許しており、実績では上をいっていても予断を許さない状況じゃないかな。

ちょっと話はずれるけれど、この馬に騎乗予定のノリに話を聞く機会があった。菊花賞、天皇賞とGIで2着が続いているから「惜しいレースが続いているな」って感じで声をかけたんだ。「銀メダルばっかりだけれど、そのうち金も獲れますよ」なんてサッパリした顔でいっていたけれど、負けて悔しくない乗り役がいるはずもない。内心は悔しいはず。でも、アイツの騎乗は2レースとも完璧だった。サッパリした表情には、馬の力を出し切って負けた爽快感もあるんだろうね。逆に勝っても満足しないことも多々ある。乗り役っていう人種は常にこの2つの思いが交差しているんだ。

ノリのいう意味とは少し違うかもしれないけれど、ここでの「金メダル」を狙える馬は実績馬だけじゃなくて、チェストウイングみたいな上がり馬にもチャンスがあるだろう。まさに戦国模様といった感じだけれど、個人的には乗り役みんなが馬の力を出し切って、満足できるようなレースになってほしいな。それが僕が思うレースの魅力のひとつなんだ。

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今朝、追い切りで目が行ったのはアルゼンチン共和国杯に出走予定のトウショウナイト。実はこの馬、2歳時に跨ったことがあるんだ。芙蓉Sというレースで4着だったんだけれど、その時はちょっとデリケートな馬だなっていう印象だった。馬群がバラけると集中力を切らしたり、少しでも嫌なことがあると走る気をなくしたり…。

でも、いまはだいぶ精神面で大人になった。不利がありながら3着に踏ん張った前走もそれを感じさせたし、調教でもフラつくことなく真っ直ぐ走っているのもいい。ちょっとほめすぎかもしれないけれど、やっぱり自分が乗ったことがある馬の成長は嬉しいもんだね。

ブシ(武士沢騎手)に話を聞いても、手応えを感じている様子だった。「怖いのは軽量馬の斬れるタイプに出し抜けを食らうことですね」なんていっていたけれど、その言葉の裏に「力の勝負ならひけをとらない」という自信を感じたんだ。メンバー的にも今回は人気になるだろうけれど、恥ずかしい競馬はしないんじゃないかな。


ファンタジーSを目指す2歳牝馬組では、注目しているハロースピードに乗る隼人(吉田隼人騎手)に調教の感触を聞いた。「レースに向けてテンションが上がっていますね」ということだから、臨戦態勢に近づきつつあるんだろう。

僕はこの馬の潜在能力、特にそのスピードを評価しているんだけれど、来春を見据えるのならばスピード一辺倒ではないレースの仕方を覚えていく必要があるとも思っている。それは息の入れ方など、鞍上が教育するべきところ。そのためにも今回はこれまでと違う競馬を試すのもいいかもしれない。

自分が教えた馬の成長、そしてこれからの馬がどう成長していくか…。GIの谷間だけれど、個人的には楽しみが一杯の週末なんだよね。

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