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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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2007年5月30日

梅雨の足音かな、なんて感じるような今日の雨音。もうすぐ入梅。今週の安田記念も空模様が気になるところだ。

そこでも恐らく人気を集めることになるのがダイワメジャー。写真も公開しているように、この間トレセン内を移動している時に見かけたんだけれど、歩く姿はとてもいい雰囲気で、落ち着いていたよ。3月にドバイデューティーフリーに参戦し、今回は帰国初戦となるだけに状態面には注意しなければならない。そこは週末までジックリと見ていくつもり。


さて、今日は質問に答えたいと思う。ダービー前にいただいた、手前に関するものなんだけれど、遅くなってしまい申し訳ありません。ちょっとタイミングがズレた分、右手前と左手前についての基本を説明することにさせてもらいたい。

まず馬の手前というのは、右手前なら右前(前脚)と左トモ(後ろ脚)、左手前ならば左前と右トモを使って走るということになる。他の4本足の動物でたとえば、犬が片側の足(左前、左後ろ)だけで走るのとは違うんだ。

左回りのレースの場合、コーナーは左手前で走って、直線は右手前に一度替える、そしてまた左手前に戻すというのが理想かな。そうすると最後にグッと伸びてくれる場合が多いね。右回りの場合も、この逆と思ってくれればいい。

手前を替えないで片方だけで走ると、当然その手前に負担がかかって、疲れやすくなる。だから手前を替えない馬はゴール前のツメが甘くなるんだよね。

逆にいえば、直線で何度も手前を替えたり、ずっと同じ手前で走ったりしながらも勝つような馬っていうのは、不器用だけれどもポテンシャルは高いといえるんじゃないかな。

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2007年5月28日

東京競馬場に訪れた13万人の観客。その数多くの競馬好きと一緒に、僕は64年振りという歴史的な快挙を見届けた。

ウオッカ。パドックを悠然と歩く姿は、初めての長距離輸送とは思えないくらいに落ち着いていた。周囲からは「おい、牡馬みたいだな」という声も聞こえてきたほどだ。

展開も味方した。各馬の動きが少なく、このレベルのレースにしては珍しくゴチャつくようなこともなかった。僕の見解では、流れ的にタフというよりは、牝馬のレースに近くなったんだと思う。それは牝馬のように繊細で、少しでも衝突したりすると弱いドリームジャーニーが5着にまで来ていることに象徴されている。だからインコースでジッと脚を溜めていたウオッカも、揉まれることなく終始マイペースでレースを進めることができたんだ。

そして四位がゴーサインを出した時、その瞬間の反応は桜花賞時とは雲泥の差。アッという間にアサクサキングスを捕らえ、33秒0というダービー史上最速の上がりでトップゴールを駆け抜けた。劇的なレースを見せてくれたウオッカ、そして関係者に拍手を贈りたい。

残念だったのは、7着に敗れたフサイチホウオー。スタート良く出て、その後は道中ずっと引っ掛かり通し。あれでは勝てない、というかよく7着に来たと思うほど。

これはあくまで結果論だが、追い切りの時点でピークをむかえてしまったんじゃないかな。調教の動きが素晴らしかっただけに、そう思うね。体は仕上がっているから、馬はすぐにでも走りたかった。レースが待ち遠しかった。それで当日までに待ちきれなくて、実際に走る時は気持ちが空回りしてしまった……。

完璧に仕上げたのに力を出し切れなかったというのは皮肉なものだが、これも競馬の難しさ。64年振りの牝馬優勝という華やかさの裏にこういうことがあるのも、また競馬なんだよなァ。

レース後、4着だったサンツェッペリンのマサミと話をした。「悔いのないレースができたか?」って言ったら、「ハイ」とひと言。その顔つきは、いつもより少し引き締まっていたように思う。

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2007年5月25日

『keiba02』の取材でユタカ(武豊騎手)と話した時に、印象に残っている言葉がある。「ダービーではみんな『勝ちたい』気持ちが強くなりすぎる。頭のなかが『ダービー仕様』になる」というものだ。

これはジョッキーの心理をうまく表現した言葉だと思う。どんなベテランだってダービーのパドックに出た瞬間は興奮するし、人によってはレースでも硬くなって、普段通りの力が発揮できなくなってしまう。それがダービーの魔力、というのかな。

そんなダービーの魔力にとりつかれなければ、まずいけるだろうと思うのがフサイチホウオーだ。前回も話したように、状態面では皐月賞以上。体つき、トモのバランス、落ち着きとすべてが揃っている。

アンカツ(安藤勝騎手)はここ一番で冷静な騎手。すでに一度勝っている(04年キングカメハメハ)し、ダービーだからって硬くならないはずだ。いや、それでも硬くなるから、魔力なのかな?

次に注目しているのがヒラボクロイヤル。栗東で馬体を見て、いいな、長距離向きだな、って思った。他の馬が色あせるくらいのインパクトがあったね。ただ、綺麗な走りをするタイプだから馬場が渋ると割引が必要だ。

マサミ(松岡騎手)が乗るサンツェッペリンも調子が良さそうだ。今日、厩舎に行って馬を見たんだけれど、いい汗をかいているんだよね。サラッとして、体調がいい時にかく汗。厩務員さんにそのことを話したら、「そうでしょう」って満足そうだった。

追い切りだけなら最も評価しているのがアドマイヤオーラ。抜群の伸びだったね。ただ1点、馬場から引き上げてくる時の動きが硬かったことだけが気になる。

皐月賞馬ヴィクトリーは折り合いがすべて。純粋な能力は上位だから、後はそれをどうやって引き出すか。道中でリラックスさせられるかどうかがポイントだと思う。

最後にもう1頭、堅実なローレルゲレイロの名前も挙げておこう。


ユタカの言葉でもうひとつ。ダービーで一番特別に感じる瞬間は? という問いに、「勝負服を着て、パドックに出た時。よしっ、と気合いが入ります」と答えてくれた。今年はパドックでのユタカにも注目したい。

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今日はダービー直前の特別版として、昨日に引き続き、栗東トレセンに行った話をしよう。

あそこに行って何が嬉しいかっていうと、久しぶりに会う面々が、前と変わらずに親しく声を掛けてくれること。テツ(佐藤哲騎手)、シンジ(藤田騎手)、野元、長谷川……。みんな「オヤジ」なんて呼んで近況を報告してくれたり、騎乗に関する質問なんかもしてくる。

そんな時、ああ、あたたかいな、って感じる。関西ならではの気質というのかな、栗東には特有のいい雰囲気があるんだよね。

さて、昨日予告したフサイチホウオーについて。まず最初に見て感じたのは、皐月賞の時とは違う、ということだった。

実はあの時、パドックを周回する姿を見て、あまりいいとは思えなかったんだ。馬体のバランスがとれていないように感じてね。

でも、昨日間近で見たホウオーは違った。トモを見れば左右のバランスの悪さが解消されていることは分かったし、全体的にもパッと見た瞬間の雰囲気が素晴らしかった。追い切りを終え、坂路から厩舎に戻ってきた際も、落ち着き払って余裕しゃくしゃくといった感じ。

とても小さなことだが、左右のバランスを見る際に注目したのは左トモ、飛節の下あたりに貼られていた絆創膏。

恐らく擦り傷だと思うんだけれど、それは左右のバランスが悪かったから、トモが流れてしまい擦れてしまったんだと思う。もしこれが解消されていなければ、激しい追い切りの後だけに絆創膏は汚れていたはずなんだけれど、その時は真っ白。それに気付いた時に、欠点がひとつなくなったことを確信したんだ。

厩舎では、マツクニ先生(松田国調教師)、関口会長ともお話した。マツクニさんはまさに自信満々といった感じ。静かな口調だったけれど、そこからはダービー3勝目(02年タニノギムレット、04年キングカメハメハ)にかける熱い思いも伝わってきた。

関口会長には、「皐月賞よりいいですね」って言ったんだ。そしたら、「千明さんがそう言ってくれるなら安心や。こら鉄板やな」なんて喜んでくれた。やりとりを見た周りの人は、ふたりは気が合うんですね、って。

この模様は、今週の『ウハウハ競馬』(土曜日23時30分~ちばTV、TV埼玉で放映中)で放送されるんだ。興味がある方はこちらもぜひ。明日のブログはダービーの結論に迫ってみたいと思う。

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ダービー出走有力馬の追い切りを見るために訪れた栗東トレセン。到着したのは朝5時くらいかな。歩いていると、ユーイチ(福永騎手)が「この間は、どうも」なんて声を掛けてきた。

何かと思えば、オークスの回顧をグリーンチャンネルの番組(A1 NEWS STAGE)で話した時に、ユーイチの騎乗を評価したことに関するお礼だった。見てくれていたんだね。嬉しかったな。

さて、出走馬の状態についてだが、まずはヒラボクロイヤル。本格的な追い切りは明日するようなんだけれど、調教で馬場入りする姿を見ただけで好調さが伝わってきた。今回、最も印象に残った馬の1頭だね。

ヒラボクが素晴らしかった分、タスカータソルテは馬体的な印象はあまり残らなかった。それでも、『keiba02』での対談でも話していたように、鞍上のユタカ(武豊騎手)は誰よりもダービーの勝ち方を知っている男。その手腕に期待したい。今回も少し話したけれど、静かな闘志が感じられた。

追い切りの内容が目立っていたのはアドマイヤオーラ。歩いているときの硬さが嘘のように、馬場では素晴らしい動きだった。首の使い方といい、乗り手の指示にスッと反応する速さといい、目を見張るほどだった。陣営としても満足のいく仕上げなんじゃないかな。

と、ここまでが僕が栗東で見たものの一部だ。大事な1頭を忘れているんじゃないかって?

みんなが気になるのは、フサイチホウオーかな。実は、今回僕は厩舎を訪問して、ホウオーを間近で見ることができたんだ。そこでマツクニ先生(松田国調教師)や、なんと関口会長ともお話した。この内容については、ダービーだけの特別版として次回(木曜日更新予定!)報告したいと思うので、ご期待ください!

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2007年5月21日

最後の直線。押し切ろうとするベッラレイアに、離れた外を通って襲いかかるローブデコルテ。どっちだ、と並んだところがゴール。態勢はローブデコルテが優位に見えたが、僕の気持ちはベッラレイアにあった。

僕は前回、鞍上の秋山のことを「きれいに乗るタイプ」と評した。そこには、もっと貪欲に勝ちに行く姿勢を見せてほしいという思いもあったんだ。

特に外の出し方。馬込みで脚を溜めるベッラレイアにとってのポイントだけに、そこは多少泥臭くてもいいから自分達のタイミングでいってほしかった。

秋山は僕の期待に応えてくれた。ここで出るんだ、という強い意志を持ってベッラレイアを外に出し、抜け出してからはガムシャラに馬を追った。その姿からは、勝ちたい、絶対に勝つぞという気持ちがビンビン伝わってきた。

結果はわずか9センチ差での敗退。勝てなかったんだからベストな騎乗ではない。もっと追い出しを我慢すれば、と批判する人間も多いだろう。でも、僕はこの大舞台で秋山が見せてくれた、勝利にこだわったレースを評価したいと思っている。

各馬のレース振りについて話そう。ローブデコルテはユーイチ(福永騎手)が好騎乗で勝利にエスコートした。Cコースに替わって走りやすくなったインコースをピッタリと回ったのが最大の勝因。ベッラレイアが早めに動いたことで、スペースができたこともこの馬にはプラスだったと思う。ちなみにパドックを見ても、メンバー中1番のデキの良さだった。

3着ラブカーナは、自分のスタイルを貫いたのが正解。ペースもハマったね。ミンティエアーは金曜日に美浦で見たよりもパドックで細く見えた。レースはマサヨシ(蛯名騎手)が巧く乗ったが、勝ち馬と0秒2差の4着。これは現時点での能力差だろう。夏を越して、体ができてくればもっと上を狙える馬だと思う。NHKマイルC馬のピンクカメオはこの距離で5着ならば健闘したほうじゃないかな。マサミ(松岡騎手)のハロースピードは折り合ってレースを進めていたが、この距離はちょっと長かった印象だね。


さて、今週末はいよいよダービー。水曜日、僕はフサイチホウオーヴィクトリーなど、有力馬の調教を見に栗東に行くつもり。その様子は次回報告させてもらうので、お楽しみに!

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GIで関東馬が連勝したのは、04年(阪神JF:ショウナンパントル、朝日杯FS:マイネルレコルト、有馬記念:ゼンノロブロイと3連勝)以来。今年はどちらも牝馬だったから、「もう一丁」がここであってもいい。実際、調子の良さではひけをとらないハロースピードでマサミ(松岡騎手)が連勝する可能性だってゼロじゃないはずだ。

と、そんなことも考えてしまう混戦模様。これを導いたものはダイワスカーレットの出走回避とハッキリしている。先行して強い競馬ができる桜花賞馬が出てこないということで、密かに野心を抱く陣営、騎手がどれだけ多いことか。

なかでも、もう一方の強者とされたベッラレイア。これで1番人気は確実。ライバルがいなくなったことで、自分のレースさえすれば、と乗り役もそう考えているだろう。だが、過信は禁物だ。秋山は達者なジョッキーだが、外に出す際にきれいにやろうとしすぎるときがある。この馬にとってはそこがポイントとなるだけに、多少泥臭くてもいいから、タイミングよく外に出してほしい。

同じくスカーレットが抜けたことで注目度が高まっているのがザレマ。忘れな草賞のレース内容はそれに値するものだと思う。2~3番手から抜け出して最後には2馬身差というレース振りはセンスの良さを感じさせた。2週連続で調教も良い。アドマイヤオーラ関連のいざこざで燃えているだろうユタカ(武豊騎手)の手綱にも期待だ。

関西馬では、勝ち味は遅いが堅実なローブデコルテも挙げておきたい。忘れちゃいけないのが、これまで戦ってきた相手。強いメンバー相手に善戦してきた実績がここで花開いてもおかしくない。

さて、3連勝を期待したい美浦勢だけれど、ミンティエアーカタマチボタンは好感触。前者は実際に厩舎で見たんだけれど、落ち着いてゆったりとしていた。線が細い馬体も長距離向きだ。カタマチには鞍上のシンジ(藤田騎手)がアッと驚くような意外性のあるレースをしてきそうな予感がしているんだよね。


最後に、僕が取材に協力した『keiba02』という雑誌を紹介したい。巻頭には僕とユタカとの対談があり、マサミのグラビアなんていう他にはない企画もある。競馬好きの人にはぜひ見てもらいたい1冊だね。

※ 『keiba02』について興味がある方は、以下のURLをご参照ください。
http://www.keiba02.com/

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楽しみにしていたオークスの公開調教。ファンの皆さんと触れあえる機会だから、今回も張り切ったよ。いま美浦で最も旬といわれている男、マサミ(松岡騎手)を連れてきて掛け合いだ。

「おいマサミ、ハロースピードの調子はどうだ?」
「いいですよ」
「本当にそう思っているのか~。オマエ、ホントのこといえよ(笑)」
「そういうこといわないで下さいよ(笑)。ホントにいいですって」

なんてやり合った。自分では、結構ウケていたと思うんだけれどな。まぁこの場では冗談みたいになってしまったけれど、実際に調教の動きを見ても、ハロースピードは順調という感じだったよ。角馬場なんかの様子からはレースに向けて馬の気持ちが高まっているみたいだったから、マサミもそのあたりを考慮して乗るつもりじゃないかな。2400mの長丁場、なんとか馬をなだめて頑張ってほしい。

他に追い切りで目立ったのはミンティエアーアドマイヤスペースカタマチボタンもいい動きをしていたね。


そうそう、ダービーの一週間前追い切りでサンツェッペリンも見た。1週間ちょっとのリフレッシュ放牧を経て、さらに調子を上げている印象。誠(斎藤誠調教師)も愛馬の順調さからきているのか、いい表情をしていたよ。


さて、最後に恒例の質問に答えよう。道悪、牝馬、長距離が得意なジョッキーはいるのか、か……。各論ではなくて、質問についての根本的な答えになるんだけれど、これはハミあたりが柔らかいか、固いかということで違いが出てくることなんだ。

あたりが柔らかいジョッキーは敏感な牝馬を御したり、気難しい馬で長距離をこなすことができる。対して固いジョッキーはガチッと馬をおさえ込む分、道悪馬場でも馬がノメりにくい。

ユタカ(武豊騎手)なんかは、よくいわれているようにあたりが柔らかいほうだね。固いほうでいえば、アンカツ(安藤勝騎手)かな。ただ、馬の個性にもよるし、それによって乗り役もあたりの強弱をつかたりもするから、残念ながら一概には「○○が道悪が得意」とかは言いづらいんだ。ジョッキーの個性、ととらえてもらうのが一番いいかな。

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2007年5月14日

レース前から、コイウタの具合がいいことは聞いていた。でも、いわゆる自信満々というのではなく、話しぶりからは相手が強いことを認めている、いや、把握しているといったほうがいいかな。とにかくコイウタと有力馬との力関係を現実的にとらえていることが感じられた。

「敵を知り、己を知れば百戦して危うからず」というけれど、思い起こせばこの時から、僕はマサミ(松岡騎手)の快挙を予感していたかもしれない。

マサミはコイウタに乗るのはこれが3戦目だ。レース前のイメージは、同じマイルでいい脚を使った前走のような競馬だったんじゃないかな。それでも、アサヒライジングとヨシトミ(柴田善騎手)が作った緩ペースに逆らわず、道中は先行集団の6番手あたり。ここで流れに乗れたのは大きかった。

「これはいけるかもしれない」と思ったのは4コーナー。ジッと脚を溜めているところを見て、前走の末脚を思い出した。あの脚が使えれば……とね。

それでも直線、アサヒが馬場のいいところを通って粘り込みをはかる。「アッ、このまま逃げ切られるかもしれない」と思ったね。そこでマサミが一旦内に切れ込み馬群を避け、さらに抜け出してから馬場のいいギリギリのところをめがけ再度外(アサヒに寄っていく形だ)に馬を誘導する。

勝利ジョッキーインタビューでも取り上げられていたが、ここでの判断の速さが勝負をわけた。迷わずに内を突き、そしてまた外へ出す。ファインプレーといっていいだろう。

アサヒを交わし、ゴールに入るまでは観ていて力が入ったなァ。勝ったのがわかったときは、もちろん嬉しかった。皐月賞の時だって、心の底は「マサミに勝たせたい」と思っていただけになおさらだよね。

その後マサミとどんな話をしたかって? 電話が掛かってきたから、「これで天狗になるなよ」って(笑)。「大丈夫ですよ」って笑っていたよ。

この勝利で周りからの期待はさらに大きくなると思う。それだけに、今以上に謙虚に、そして向上心をもって頑張ってほしいと思っている。それでも、やっぱりよくやった。上手く乗った。好騎乗だった。マサミ、おめでとう!

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ここまで他馬にトップゴールを譲ったことのないカワカミプリンセスだが、今回ばかりは付け入る隙があるんじゃないかと思っている。

それは鞍上だ。幸四郎がこの馬に合わないとはいわない。むしろいいコンビになるとさえ思う。

でもこれが初戦だけに、カワカミがどれだけの脚を使えるか、そしてその脚がどれだけもつかはまだわかっていないはずなんだ。それは調教に乗るだけでは伝わってこない、レースじゃなきゃわからないことだからね。

昨秋の秋華賞、エリザベス女王杯のレースを見てわかるようにズブさを見せ始めてきたカワカミだけに、鞍上が仕掛けのタイミングを熟知していないことはマイナス材料。ここに最初にいった隙がある。

そこを突ける馬を、となれば、まずはディアデラノビアを挙げたい。鞍上はこの馬を手の内に入れている岩田。逃げ馬不在が予想されるなかで、マイペースでレースの流れに乗れる自在性は貴重。強気な騎乗がハマればいいところまでいける。

実績なら先の2頭を上回るスイープトウショウ。スムースにいけば牡馬にもひけをとらない破壊力を発揮する反面、ムラのある馬。特に東京競馬場は、本場馬入場でダートを横切るのが嫌らしく相性が悪い。それだけに返し馬が好不調のバロメーターだ。あまり大人しいのも問題だから、軽くなら悪さをするくらいがいいんじゃないかな。

この3頭に続くのはアドマイヤキッス。ここらでひと皮剥けるような感触がある。もう1頭、あまり人気はないだろうが注目しているのがシンジ(藤田騎手)が乗るデアリングハートだ。

美浦組で具合がいいと聞いているのはコイウタ。牝馬の管理に好感が持てる堀厩舎では、穴人気しそうなジョリーダンスよりも、福島牝馬Sで届かないはずの位置から差しきったスプリングドリューが面白そうだ。


最後に明日の京王杯スプリングカップ。有力候補とされているプリサイスマシーンだけれど、情報では絶好調時の迫力がないという。ちょっと気になるところだね。

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全国的に快晴。気温も上がって、夏がちょっと早めに来たかのような一日。こんな日は体を動かしたいって思った人も多かったんじゃないかな。

運動といえば、美浦トレセン内には野球場があって、僕も現役の頃は結構やったなァ。厩務員さんチームとかと対戦したりね。今でもマサミ(松岡騎手)なんかはよく参加しているみたい。ちなみに、今は新しい球技場を建設中で、そこではサッカーもできるんだよね。

さて、今日はフケ(牝馬の発情)について話したいと思う。今週のヴィクトリアマイルは牝馬のレースだけに、この問題も絡んでくるかもしれないからね。

まずフケになる時期だけれど、これは季節でいえば春。でも、今くらいになるとピークは過ぎている感じかな。ただ個体差があるから、今頃フケが来るような遅い馬もいる。

競走能力への影響にも個体差があって、大いに関係する馬がいれば、全然問題ない馬もいるんだよね。だから、一概には「フケになると斬り」とはいえないんだ。そうそう、よく陣営が敗戦をフケのせいにすることがあるじゃない。でも実は、それも調整ミスの言い訳だった……なんてこともあったりしたな。

見分け方としては、パドックでぎこちない仕草をして、クイッと尾っぽを上げたりしているとフケの場合が多いね。それを見たオス馬が馬っけを出しちゃったりもするから、注意して見ると面白いかもしれないね(笑)。

最後に質問があった舌呼(ぜっこ・乗り手が舌を鳴らして馬に合図を送ること)について。コツとしては、舌を上あごにつけて、離す時に音を出すといい。チッ、チッという感じ。馬によって好き嫌いがあるから、発音の種類も色々あるんだけれどね。

ただ、これはあくまで副扶助だから、馬を動かすにはやっぱり下半身を鍛えるのがいい。勧められるのは椅子に座ってするトレーニングかな。脚をちょっと開いて、体を宙に上げて、そして腰(下半身)をフッと前に出す。その時、上体が前かがみにならないように気をつけて。

比較的身近な道具でできるわりに、効果のあるトレーニングだと思う。

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2007年5月 7日

誰もが荒れる、荒れる……という予感を受けていたと思うんだけれど、まさかこれほどとは、というのが大部分なんじゃないかな。

馬連30800円、そして3連単9739870円(JRA重賞で最高配当)というのだからね。100円で1000万近くかァ、僕もさすがに3連単をとった人の顔が見たくなる。

この大波乱、分析すると考えられる要因は大きく天候とペースのふたつだろう。そこに騎手心理が絡んできての結果だと思う。

まず天候について話すと、降雨の影響はかなりあったはずだ。アサクサキングスの幸四郎も「雨がこたえた」といっていたが、一部の有力馬には厳しいマイナス要素であり、勝ったピンクカメオを筆頭に、シベリアンバードなどの上位入線馬には恵みの雨となった。馬場発表は稍重だが、実際に走った馬は重以上に感じていたんじゃないかな。

そしてペースだが、時計以上に厳しい流れだった。終始ひとかたまりになって泥んこの馬場を進むのだから、もまれるのと道悪とで馬にはかなりの負荷がかかったと思う。内枠の馬のほとんどが下位に敗れたのにも、そこが影響しているはずだ。反対に外枠をひいたムラマサノヨートーに関しては、元来気難しいところがあって、近くに馬がいると嫌がるタイプだけに大外枠も好走の要因だったと思う。

最後に騎手心理。今回はレースのあやが大きく運命を分けて皮肉な結果になった。勝ちにいって最高のレースをしたシンジ(藤田騎手)が負けて、勝ちたい気持ちを殺してベターな競馬をしたウチパク(内田博騎手)が勝ったんだから。

直線で前が壁になった時、ウチパクは腹をくくったと思うんだ。「これはもう、とにかく自分の思うとおりにやってみよう」と。そして、まだ馬に余力があることを感じてピンクカメオを外に出した。あとはままよ、だ。

直線の伸びは鞍上の予想を超えていたんじゃないかな。「まさか勝てるとは…」というレース後の感想からもそれはうかがえる。乗っている当人がそうだから、ローレルゲレイロと一度は先頭に立ったシンジも驚いただろう。ただ、シンジとローレルは僕から見ても完璧なレース運びだった。

完璧に勝っても負けるというのが競馬。天候などさまざまな要素が絡んだ今回のレースは、特にそういう部分を際立たせていたと思う。

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例年以上に波乱が続いている今年のGI戦線。現にここまで5戦中3戦が馬連万馬券決着(高松宮記念、皐月賞、天皇賞)だ。

そして、ここもその気配濃厚といわれるNHKマイルC。確かに飛び抜けた実力馬はおらず、そんなメンバーのなかの有力馬にも不安要素がある。いってみれば一長一短の顔ぶれだ。

そんな出走予定馬を、今回はちょっと趣向を変えて個別に分析していきたい。混戦模様だけに、あまり絞らずに何頭かピックアップして話していく形でみんなの参考になればと思う。まずはレースのカギを握りそうな先行勢から。

アサクサキングス。一本調子のスピードで押し切りたいタイプだけに、距離短縮は好材料。マイルで自分の形に持ち込めればチャンスはある。今回もある程度前にいきたいところ。後ろでジッとして……では力を発揮できないと思う。

オースミダイドウ。休み明けだけに取捨は状態面をジックリ見極めたい。そこがすべてといってもいいくらいだ。力を出せればアッサリでもおかしくないはず。

トーホウレーサー。前走は後藤が上手く乗った。まさにマイル向きの馬で、これも先行したいタイプ。

マイネルシーガル。陣営としては、「ここに全力投球」だろう。距離も2000mというよりはこのくらいがあっているはず。変わり身が見込める1頭だ。

ダイレクトキャッチ。ダービーを考えれば2着が至上命題。共同通信杯でフサイチホウオーに迫った内容は評価できる。ただ、胴長の馬体を見ても、本来距離は長いほうがいいタイプ。体を上手に使って走り、直線伸びてきた新馬戦は強い勝ち方だった。ここは同じ東京のマイル、再現も期待できそう。

ローレルゲレイロ。ワンパンチ足りない印象が強いが、これまで戦ってきた相手がすべて一線級だったことを忘れてはいけない。弱い相手に連勝するよりも価値のある負けもある。距離の壁を感じた皐月賞からも、マイルはピッタリだろう。

最後に、穴馬候補を1頭。シャドウストライプは芝2戦目で変わってきそう。サクラバクシンオー産駒だけに1600mをこなすのは鞍上の助けが必要だが、おもしろい存在だ。

ここまで、あえてどの馬も短所と長所を話してきたつもり。あとはどの「長」をとり、どの「短」を斬るか……ということになる。そういう意味でも、今回の話が少しでも参考になれば、と思う。

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お便りをいただいたなかで、「ウオッカのダービー参戦についてどう思うか」というものがあった。牝馬のダービー挑戦は、日本ではビワハイジ以来(96年)となる。

牝馬のダービーといえば、パッと思いつくのはクリフジ(43年)。かなり昔の馬だけに、実際に見たわけではないんだけれど、オークスとダービーを制した名牝というイメージは強烈なんだ。

このクリフジ以来、ダービーを勝った牝馬はいない。もしウオッカが勝てばそれ以前のヒサトモとあわせ、史上3頭目の牝馬優勝馬ということになる。

牡馬と混じって2400mを戦うというのは、確かに甘いことではない。ただ、ウオッカの能力を考えれば、ハマればもしかして……というようにも考えられる。僕は可能性はゼロではないと思う。

展開面でも、おそらくオークスよりもウオッカ向きになるはずだ。サンツェッペリンヴィクトリーという強力な先行馬に引っ張られて、流れは平均ペース以上になる。そうなれば、長丁場で折り合い面に少々不安があるウオッカにはレースがしやすくなる。オークスはそんなに速くならないだろうからね。

陣営がはたしてそこまで考えて出走を決断したのかどうかはわからない。流れが向いたとしても、フサイチホウオーを筆頭に相手は強い。それでも……と考えるに至ったものは何なのか。

それがダービーの値打ちなのかもしれないし、勝ってアッと驚かせたいという気持ちなのかもしれない。結局僕にはわからないが、ウオッカの挑戦が話題性のあるものというのは確かだ。僕の感想? うーん、僕は正直にいえば、ダイワスカーレットベッラレイアとのオークス3強対決を見たかったという気持ちが強いなァ。

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