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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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2007年7月30日

ゴール100m前までは前残りのレースだった。小回り小倉コースの特性を生かしたニホンピロキースアラタマサモンズニルヴァーナが軽量も味方につけて粘り込みをはかる。そしてこの3頭で決着する……と思ったところを外から強襲したのがサンレイジャスパーだった。

サンレイは前回のブログ、メイショウカイドウの部分で触れた「一瞬の脚」を使って差しきった。そこでは「使うタイミングが難しい」と書いたんだけれど、テツ(佐藤哲騎手)は上手くタイミングを合わせてきたね。

具体的に説明すると、スウィフトカレントがスーッとマクっていった3~4コーナーあたり。1番人気馬に付いて行きたくなるのを我慢して、あえて追い出しをワンテンポ遅らせた。見た目には勝負所で置いていかれる形になったけれど、そこで我慢できたことがあの切れ味につながったんだ。

万が一負けていたら、なぜあそこで付いて行かなかったんだ、と非難されたかもしれない。でも、テツはそれを恐れず、自分の思うところに従ってレースをしたんだよね。

乗り役の判断というのはある種賭けのようなところがあり、一概には何が正解で、何が不正解かということは言いづらい。それでも、ソツのない乗り方ではなく、攻めのレースをしたという意味でも今回のテツは好騎乗だったと思う。

期待したアップドラフトは8着。もう少し相手の出方を見たレースをしても良かったかな、と思う。自分から勝ちに行って、たやすく勝てるほど甘い相手ではないからね。ただ、いいところは見せているし、これからドンドン良くなる馬だと思う。

スウィフトは先に書いた3~4コーナーで上がっていく脚は素晴らしかったが、そこで馬が気負ってしまった分、いざもうひと伸びとなると気持ちが途切れてしまった。結局直線はほとんど伸びずに7着。あそこで我慢して勝ったサンレイと比べると、何とも対照的な結果になってしまった。

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2007年7月27日

朝からトレセンへ。8時頃から、隼人(吉田隼騎手)、丹内、ヒロ(田中博騎手)らとそれぞれの騎乗について話し合った。終わったのは結局11時過ぎかな。今日は暑かったけれど、みんな気温以上に熱かった! レースでも頑張ってほしい。

残念ながら関東馬は1頭も出ない小倉記念。函館記念から続くサマー2000シリーズのハンデ戦、今回もかなりの混戦模様だ。

先週、エリモハリアーが函館記念を3連覇しただけに、いっそう注目されるのがメイショウカイドウの存在だろう。小倉重賞4勝というコース巧者振りについては言うまでもなく、鉄砲も効くタイプ。ただ、さすがに今回は12ヶ月の休み明け。さらに59.5キロの斤量は楽じゃないね。

ちなみにこの馬がなぜ小倉で強いかというと、一瞬だけれど、素晴らしくいい脚が使えるから。直線の長いところだと止まってしまうが、小回りだとその特性が生きる。乗り役にしてみれば、脚を使うタイミングが難しいんだけれどね。

実績馬も侮れないけれど、今回、面白いと思っているのが上がり馬なんだ。ニルヴァーナは前回の勝ち方がいいし、調教内容も評価できる。一線級と戦ってどうかだが、53キロの軽量がアドバンテージだ。

もう1頭はアップドラフト。隼人が乗った七夕賞の時から注目しているんだけれど、あのレースは見せ場もあったし、次は良くなると期待させる内容だった。調教でもタイムを大幅に詰めているし、やはり調子は上がっていると思う。注目したいね。

他には前走は出遅れがイタかったサンレイジャスパー、七夕賞でいい粘り腰を見せたニホンピロキース。それに堅実なヴィータローザあたりかな。

昨年の覇者・スウィフトカレントは、前走の負け方が気になっている。たとえノメったとはいえ、13着は負けすぎだ。調教内容もそれほど一変したという感じを受けない。ただ、ノメった馬に対して、ノリ(横山典騎手)が無理をさせないレースをしたという面もあるかもしれない。問題はそれがいい方に出るか、あるいは逆かだと思う。

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久しぶりに、今日は質問に答えようと思う。少し回答が遅くなってしまったが、『ウマナリ』さんの「距離延長、短縮の影響」について。

彼はなかなか鋭い指摘をしている。短距離のレースの後に中距離を使うと行き脚がついて先行しやすくなり、逆に中距離から短距離という場合は追走に手こずったりする、ということは確かに多い。

つまり、馬によって個体差はあるものの、距離を短縮・延長すれば、ほとんどの場合でレースに影響はあるということだ。

さらに付け加えさせてもらうと、当該のレースだけではなく、その次走以降にも影響することがある。例えば、距離短縮。自分の走りを見失っている馬が、短い距離を使われることでピリッとするというか、目覚めるんだ。

馬にとっては慣れたペースじゃないからちょっとツラいんだけど、あえていつもと違う距離を走らせることで、変化を生じさせる。そのレースでの効果はもちろんだけれど、先々を見据えたローテーションの一環として距離を短縮・延長する場合があることは覚えていてほしい。


最後にユタカ(武豊騎手)の最多勝記録更新のニュースについて。2944勝、これはとにかく、「素晴らしい」のひと言だ。

あまりそういう姿を人には見せない男だけれど、実際にはかなり苦労しているし、凄く努力している。若くして注目される存在になったけれど、天狗にならずに向上心を持って頑張ってきたからこそ、これほどの偉大な記録を作れたんだろう。

レースを離れても、相手を思いやることができる、素晴らしい人間性の持ち主。少しでも長く乗って、僕らを楽しませてほしいと思っている。おめでとう、ユタカ!

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エリモハリアーの函館記念3連覇は、お見事のひと言。史上3頭目の同一重賞3勝というのも凄いけれど、屈腱炎を乗り越えての勝利というのが素晴らしい。馬はもちろん、復活へ諦めずに頑張ったスタッフにも拍手を贈りたいね。

レースは先行勢にとっては厳しい流れになった。ハイペースという訳ではないんだけれど、ナムラマースマイソールサウンドが入れ替わり立ち替わりして、一定ではなく、変化のあるごちゃついた流れになったんだ。

そうすると、道中ジッと我慢していた馬が台頭することになる。勝ったエリモハリアーもそうだが、ロフティーエイムサクラメガワンダーも同じクチ。

特にエリモはもともとの函館コースの適性に加え、直線で前がポッカリ開いた展開面、そしてそのごちゃついた流れと、勝つ要素が揃っていた。もちろん、我慢すべきところでキッチリ我慢した幸四郎もいいアシストをした。

残念だったのがナムラマースのレース振り。3コーナーで一度先頭に並びかけたまではいいとしても、マイソールサウンドが譲らないと見るとあえて馬を下げてしまったのは解せない。久々で馬が行きたがっていたのはわかるが、行くなら行く、ジッとするならジッとするで、ハッキリと意思表示のある騎乗をしてほしかった。

結果的にチグハグな競馬になってしまい、ナムラにとっては力を出し切らないまま終わったレースになってしまった。それでも6着というのだから、力のある馬であることは間違いない。次走以降に期待したいね。

4着のアドマイヤフジも、ナムラとマイソールサウンドの厳しい流れに巻き込まれてしまった1頭。決して楽な競馬ではない中でここまで粘るのだから、こちらも負けて強しを感じさせた。

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函館記念の馬柱を見ていて、思わず目がいってしまう木幡の名前。ここまでのサマーシリーズで函館スプリントステークス2着(サープラスシンガー)、アイビスサマーダッシュ2着(ナカヤマパラダイス)とポイントを稼ぎ、現在ジョッキー部門の2位タイ。

本人は、どうやらサマージョッキーシリーズ優勝をかなり意識しているという。僕としても頑張っているベテランを応援する気持ちがある。聞けば騎乗予定のモノポールは調子が上がっているようだし、ここらでチャンスがあるんじゃないかと、密かに注目しているんだ。

馬単位でいくと、面白いと思っているのは唯一の3歳馬・ナムラマース。早めに函館に入厩して、ここまでに4本の時計を出している。水曜日の追い切りでもダイナミックな走りを見せた。

ポイントはこれまでに戦ってきた相手。あまり目立つタイプではないが、今年のクラシック戦線を引っ張ってきた1頭。大舞台で戦ってきた経験は、古馬相手でもひけをとることはないと思っている。ハンデ53キロならなおさらだ。

札幌で重賞(札幌2歳S)を勝っているように、洋芝の適性も証明済み。2000mの距離もピッタリで、乗る方としてもレースが組み立てやすいんじゃないかな。堅実なアドマイヤフジ、調教の動きが目立ったサクラメガワンダーと古馬の壁は厚いが、それを打ち破るだけのポテンシャルを感じさせるんだよね。

他の古馬では巴賞を勝ったシルクネクサス、出遅れなければ走るメイショウオウテも怖い存在。人気になりながらもイマイチ勝ちきれないレースを続けるマチカネキララは、展開面の助けがほしいところだね。

人はベテラン、馬は3歳。この夏でブレイクするのはどちらか。そんな楽しみを持ちながら、このレースを見ようと思っている。

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2007年7月18日

まず触れたいのは、新潟での大きな地震のこと。何度も訪れて思い出深い地だけに、すごく気になっている。被災地の皆様には心からお見舞いを申し上げます。

この地震で、馬も怖い思いをしたと思う。今のところ被害は見受けられないとのことだが、精神的にかなり動揺したはずだ。人のためにも馬のためにも、これ以上被害が広がらないように祈っている。


レースの後に若手から電話がかかってくることは結構あるんだけれど、この間は隼人(吉田隼騎手)がかけてきた。アイビスサマーダッシュでの、アイルラヴァゲインの乗り方に関してだ。

話を聞くと、どうも悩んでいるらしい。もっと巧く乗れたはずだ、と思っているようだ。客観的に見れば特に問題のない騎乗だったのだが、本人は「ああすれば良かったですかね」「こんな乗り方だったら…」と満足していない様子だった。

乗り役にとって、こういった悩む姿勢というのは、すごく大事なこと。それだけ向上心があるということだからね。もっと巧くなりたい、もっとたくさん勝ちたいという気持ちが強いほど、伸びる。成長するんだ。

だから僕はこういう相談を受けるのが楽しいんだよね。成長している過程が感じられるというか。まぁ、時には叱咤激励もするけれどね、頑張れ! って。


最後に、先週気になった事柄があったので取り上げたい。土曜日の函館11R、ピサノペガサスがインコースで他馬に被せられると、スーッと下がっていってしまった。そしてそのまま大差のシンガリ負け。

故障かな、と思ったが、どうもそうではないらしい。審議にもならないし、その後の説明もない。観ている方からすると腑に落ちないよね。

主催者側には、こういう時にアナウンスしてほしい。特にピサノは3番人気馬。応援していたファンも多かっただろう。「なんで?」という思いを抱えたまま、次のレースじゃやりきれないはず。こういうことこそ、本当のファンサービスだと思うんだけれどな。

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2007年7月16日

サンアディユが13番人気という低評価だったのは、ある意味では仕方ないかなと思う。なにせこれが初めての芝のレース(それも重賞だ)で、ここ2走はふたケタ着順と、評価する内容の方が少ないのだから。

でも、だからといって評価する理由がないわけでもない。

これはこの馬に限ったことではないが、脚もとに不安がある馬はあえてダートのレースばかりを使うことがある。それに、その不安がなくなってもダートで結果が出ていたら、芝に転向しづらくなるものだ。この馬のようにダートで3連勝しているような馬は特に、ね。

そのあたりをおさえつつ、陣営がなぜこのレースを選択したかということや、本来の主戦・小牧の「芝の方が走る」というコメントなどを総合すると、この馬はもともと芝の適性があったということが分かってくるんじゃないかな。

レース内容も良かった。スタートで遅れて、最初の1ハロンくらいまでおっつけながら進め、ちょっと無理して中団にとりつくという序盤ながら、追われてからは目が覚めるような脚で馬場の真ん中を伸びてきた。決してスムーズなレースではなかったのに、終盤であれだけの脚を使えるというのは評価できると思う。

イッセイ(村田騎手)の位置取りについても触れたい。周囲に馬がいないところでレースを進めたからこそ、サンアディユは道中リラックスして走れたんだ。これは大きいよ。思えば、ダートのレースで逃げないと好結果が出なかったのは、モマれたり、砂を被ったりするのが嫌だったからかもしれないね。

2着~5着の馬に関しては、皆自分の力を出していたように思う。特に、次走に期待したいのはナカヤマパラダイス。ズブさが出てきたのか、行きっぷりはイマイチだったが、鞍上のムチが入ってからはいい反応を見せた。距離を延ばして1200~1400mならもっとできそうだ。乗り方次第ではマイルまでもつかもしれないね。

隼人(吉田隼騎手)が乗ったアイルラヴァゲインはちゃんと手前を替えていたが、追ってからの反応があまりなかった。それほど極端ではなかったとはいえ、馬場状態も若干マイナスだったかな。

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2007年7月13日

北海道から戻り、その足でTV番組の収録へ。いやぁ、今日は我ながらなかなかのハードスケジュールだったね。

向こうは湿気もなくカラッとした気候だったけれど、東京は相変わらずの梅雨模様。そういえば、アイビスサマーダッシュが行われる新潟も週末は雨振りだというね。馬場状態が気になるところだ。

隼人(吉田隼人騎手)が乗るアイルラヴァゲインは、あまり馬場が荒れてほしくないクチ。能力、実績からは最有力の存在だと思うんだけれど、その点はちょっと不安なところ。

実はこの馬にはもうひとつ不安があって、それは左手前を出したがらないタイプだということ。直線1000mの競馬で、片方の手前だけで走るというのはいかにもキツい。乗り役がどうやって手前を替えさせるか。そこがひとつのポイントになる。

逆に重馬場歓迎なのが前年の勝ち馬・サチノスイーティー。思えば去年もレース前の雨で力のいる芝状態になっていた。それを利しての勝利だったから、今回もこのパターンならかなり期待できるんじゃないかな。リフレッシュ放牧が功を奏したのだろう、馬の状態も申し分ない。

こちらも馬場が重くなっても大丈夫そうなのが、クーヴェルチュール。前走はハイペースを先行しながら、最後まで我慢した。なかなかいい勝ち方だったよね。その内容からも注目しているんだ。

他に重馬場を苦にしないのは、脚質に幅が出てきたナカヤマパラダイス、津村が手の内に入れているシルヴァーゼット、ダートで走るジョイフルハートもこなすだろうね。

逆にスピニングノアールは雨を避けたいタイプ。前走の落馬はあまり気にしなくてもいいと思うけれど、心配なのはむしろこっちだね。

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2007年7月11日

今週の月曜日から行われていたセレクトセール。実は僕も昨日、現場でその模様を見てきたんだ。

セール初日、アドマイヤムーンの半弟・マイケイティーズの06(1歳・父フレンチデピュティ)に2億4500万円という高値がついたということもあって、最も注目が集まっていたのはその当歳(マイケイティーズの07・牡・父クロフネ)だった。

この馬の競りは6000万円からのスタートだったが、近藤オーナーが1億円で手を挙げたところでヒートアップ。ドンドン値段が上がり、2億もアッという間に超え、落札された時には歴代7位タイの3億円という高額になっていたんだ。

その瞬間は何ともいえない雰囲気だったね。電光掲示板の3億円という額を見上げて、誰もが思わず言葉を飲み込むような、そんな感じだった。

僕が馬体を見て思ったのは、現時点では前(馬体の前脚部分)の素晴らしさに比べると、まだトモ(後脚)ができていないなということ。とはいえ当歳馬だからね。これからグーンと成長して、偉大なお兄さんに少しでも近づいてほしい。

その他にも印象に残る馬は何頭かいたが、シャープウィッテッドの07(牝・父ファンタスティックライト)は首さしから肩にかけてのラインが奇麗だったし、力強い走りを見せてくれそうな感じを受けた。アンチョの07(牝・父アンブライドルズソング)もよかったね。

個人的には当歳というと、完成度とか将来性とかいうことよりも、「かわいいな」って思いが先に立つんだよね。高い値段がついた馬もそうでない馬も、まずは無事にデビューの日をむかえてほしい、そう思っているよ。

そしてそのセリの翌日、つまり今日は、早朝に札幌競馬場で滞在馬の調教を視察した。

競馬場の場長に話を聞いたところ、現在では60頭ほどの馬が滞在しており、そのなかには札幌記念を目指すカワカミプリンセスもいるとのこと。どうりで、マスコミ関係者の姿もチラリと見られたわけだ。

全面的に改修されたダートコースもこの目でチェックすることができた。場長の話と僕の見た感じを総合すると、馬にとって走りやすい馬場になったと思う。恐らく水はけも良くなっているだろうから、馬場管理もしやすいんじゃないかな。

芝コースは状態が良く、とても奇麗なグリーンが広がっている。これはこの競馬場特有の素晴らしい眺めだから、みんなにも見てもらいたいな。ぜひ一度、札幌競馬場に来てみてください。僕もまた行きたいと思っています!

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大好きな福島の最終週ということで、競馬場に足を運んだ七夕賞。馬場を間近で見ると、かなり痛んでいるのが分かった。予想していた通りとはいえ、特に内側は悪化がひどく、馬を選ぶ馬場になってしまったな、と改めて感じたんだ。

実際に騎乗するジョッキーたちも、もちろんそのことを分かっている。だからこそレースではほとんどの人馬が馬場の良い外を回ることになった。

先行したニホンピロキースもそう。ヴィータローザユメノシルシという人気どころももちろん。ただ面白いことに、掲示板を占めたこれらの馬のなかでも、1着と2着、サンバレンティンアドマイヤモナークだけはひと味違うレースをしたんだ。

まずアドマイヤモナーク。ロスのないレースをしようと、アンカツ(安藤勝騎手)は決めていたんだろう。道中はあえて荒れた内目を通り、直線へ。そこで馬場の良い外に出し、脚を伸ばした。勝ち馬と並ぶ最速の上がりは、直線までに無駄のない競馬ができたたまものだろう。

そして、サンバレンティンだ。道中は後方待機。3~4コーナーから動き始め、思いきって内を突く。後藤は直線に入るまでの感触で、「いける」って感触を掴んだんじゃないかな。確信に満ちた、迷いのない抜け出し方だった。

はじめに「今回の馬場は馬を選ぶ」と書いたが、サンバレンティンはまさにそんなタイプだったね。それに、その特徴を十分に生かした後藤も見事だった。この日は2Rで落馬したが、そこで負傷した痛みに耐えての騎乗というのだからなおさらだ。

僕が注目していたアップドラフトは8着。直線までいい手応えで上がってきたが、そこで伸びなかったのは休み明けの影響だろう。次は変わってくるはず。長い目で見て、今後の活躍を期待したい1頭だね。

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福島の馬場は荒れ模様。そういえば、あの時も馬場が悪かったな……と思い出すのは、リーゼンシュラークで勝った92年の七夕賞(9番人気・斤量54キロ)。

内枠(1枠1番)だったんだけれど、馬場のいい外を回って、2番手から抜け出す。ゴール前はもうギリギリ、カツハル(田中勝騎手)が乗るカミノスオードをアタマ差だけ退けたんだ。終わってみれば4着までがアタマ、ハナ、アタマという大接戦だった。

この年と同じように、今回もかなりの混戦模様。どの馬が勝ってもおかしくないほど、といってもいい過ぎじゃないと思う。

アドマイヤモナークヴィータローザの堅実性というのは僕も評価しているんだけれど、どうもワンパンチ足りない印象が拭えない。特にヴィータの57キロという斤量は、他馬との比較という面で少しかわいそうな気もするんだよね。

同じく実績上位のサンバレンティンも57キロ。それならば、と目を向けたユメノシルシだが、前走時と比べるとどうも追い切りの動きが硬く見えた。欲をいえば、もう少し乗り手の指示にスッと反応してほしいんだ。

ただ、これまでとはひと味違うレース振りを見せた前走の内容は評価できる。同じような脚が使えれば、チャンスは少なくないと思う。

長期休養明けで、状態面に注意のアップドラフト。特に大型馬だけに大幅なプラス体重は避けたいところけれど、この馬には高い素質を感じるんだ。追い切りでは最後までしっかりとした足取りで駆け抜けていて、好感が持てた。今後の活躍に期待するという意味でも注目したい1頭だね。

さらに名前を挙げるならフォルテベリーニ、それに軽ハンデ馬の前残りという線でニホンピロキース。リーゼンシュラークのようなイメージで、というのはできすぎかな(笑)。

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2007年7月 4日

トレセンに着いたのは5時ちょっと前くらい。その頃はもうかなり雨が降っていたね。僕は見ている方だからまだいいんだけれど、乗っている方は結構キツいんだよな、こんな日は。

この雨模様が週末のレースに与える影響は少なくないと思っている。特に福島は馬場の内側を中心に荒れてきているから、このままいくとかなり悪化した状態になるかもしれない。

そうなると当然、道悪の巧拙が勝負を分けるポイントになる。ヴィータローザ、それに出走できるかは微妙だがタマモサポートあたりは得意なタイプだけに重馬場は歓迎だろうが、穴人気になりそうなユメノシルシは動きを見た感じだと、どちらかというとマイナスなように思う。

馬場悪化の影響についてもうひとつ付け加えると、斤量差というのは馬場が重くなるのに比例して大きくなるものなんだよね。重い斤量を背負った馬は一層動きが鈍くなってしまうんだ。

でも、逆に考えると、軽量馬にはチャンス。あくまでも空模様によってだけれど、そういう観点で穴馬を探す手もあると思うよ。

僕が聞いた感じでは、トップハンデのサンバレンティンに乗る後藤も激戦を予感しているかのような話し振りだったな。いつも前向きな彼だから、重賞ウイナーへの騎乗をチャンスと感じて闘志を燃やしていたけれどね。

右目を失明しているルーベンスメモリーについて質問があった。僕も同じような馬に何度か跨ったけれど、競走能力自体にはさほど影響がない場合が多いね。特に古馬だとレース経験も豊富だし、大体こなしてくれる。ただ、見えない方からぶつけられたりすると驚いてレースをやめたりするから、見えない側の間隔はある程度空けるようにしていた。まぁ、それはどの騎手も心掛けていることだけれどね。


今日はトレセンで働く女の子から、「ブログ見てます」って声をかけられた。直にそう言ってもらうのは久々だったから、嬉しかったな。

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あッ、柴山、自信を持って乗っているな、と伝わってきた。ラジオNIKKEI賞、ロックドゥカンブだ。

好スタートでゲートを出て、そのままの勢いで先行集団に加わると後は馬任せで好位を進んでいく。無駄な力が入っていない自然体の騎乗だったから、柴山が馬の力を信じているのが感じられたんだ。それに馬もすごくリラックスしていたし、スムーズに流れに乗れていたよね。

3~4コーナーでスーッと上がっていったのも、仕掛けたというよりは、流れに身を任せたという言葉の方がピッタリくるぐらい。それほどこの人馬は無理のないレースができていたんだ。

抜け出してからは、まさに横綱相撲。スピードの違いで一気に押しきったからね。ただ、自分からハミを噛んでいくようなところがなかったようにまだ子供っぽさも残る。それに今回はハンデにも恵まれた。強い勝ち方だったけれど、この馬自体の評価はもう少し待ちたいところだね。

人気を集めていた隼人(吉田隼騎手)のクランエンブレムだが、これは馬場が合わなかったのが敗因と見ている。4コーナー手前でロックが上がって行った時、隼人がゴーサインを出しているのにもかかわらずついていけなかった。

跳びが大きいこの馬には、今の福島みたいな荒れ馬場はちょっとキツかったということだろうが、あそこが勝負を分けるポイントだった。そこで追い出してからもイマイチ反応しきれないというのでは、厳しいね。

クラン以外にも、斤量の関係などで力を発揮しきれていない馬も見受けられたが、まだ3歳の初夏。そんな馬たちも盛夏の成長を経て、秋にはきっと、もっと熱いレースを見せてくれるはずだ。

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