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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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2007年8月31日

馬インフルエンザの影響で、今週末にスライドした札幌記念。もちろん、各馬の状態が2週前と全く同じということはあり得ない。それだけに、追い切りは目を凝らして見たつもりだし、多くの人に話も聞いた。

札幌組の中で一番の動きだったのはシルクネクサス。首に力が入った固い走りをするタイプなんだけれど、とにかく伸びが良かった。巴賞の走りからも洋芝適性は問題ない。後はこのデキの良さをどこまで生かせるか、だ。

エリモハリアーも、調教で乗った黛によると「具合は良い」とのこと。レースに向けて自分で体を作るタイプらしく、調子を上げているようだ。ただ、今の札幌は前が止まらない馬場状態。この馬は3コーナーで遅れるところがあるだけに、そこでどう捌くかがポイントになるだろう。

馬場状態ということを考えると、サクラメガワンダーはピッタリのタイプかもしれない。ある程度前でレースが進められるし、さらにラストスパートの脚もで持っている。状態面も悪くないし、注目すべき1頭だろうね。

他にはどんな展開にも対応でき、乗りやすそうなサイレントプライド。それにアドマイヤ2騎にも警戒すべきだろう。そうそう、助手に聞いたところでは、フサイチパンドラも調子が良いらしいよ。


日曜日はこの札幌記念と合わせて3鞍の重賞がある。

新潟2歳Sでは、タケショウオージの追い切りが抜群だった。430キロの馬体とは思えない、体を大きく見せるフォーム。先々の活躍を期待させる走りだったね。

それでも、現状ではエフティマイアの安定感には敵わないかもしれない。素軽い走りは新潟向き。距離を徐々に延ばしているローテーションも好感が持てる。それに何より、とにかく気性が落ち着いているんだ。近くで他の馬が暴れていても、デンとしていてね。これなら掛かる心配も少ないだろうな。

後はカツハル(田中勝騎手)が一発勝負をしてきそうなタケミカヅチ、新馬戦の内容が良く、仕上がりも悪くないエイシンパンサーといったところか。関西馬ではアドマイヤフォースも人気になりそうだが、調教を見た感じでは走ることにあまり前向きじゃないように感じられた。そこがちょっと気になったね。


小倉2歳Sについてはひと言。ユタカが乗るコウユーココロコロ、ひとつ不安なのは、揉まれる競馬になった場合どうかということだ。

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昨日夕立があったおかげか、今朝は久々に涼しかった。先週の水曜日はもの凄い暑さで、午前7時くらいでも30度近くあったほどだけれど、今日は20度前半だったんじゃないかな。これくらいだと、乗っている方も少し楽なんだけれどね。


さて、今日は新潟2歳Sに出走予定のエフティマイアタケミカヅチについて、陣営に話を聞いてきたんだ。

まずはタケミカヅチ。この馬といえば、前走の新馬離れしたレース振りが記憶に残っているから、カツハル(田中勝騎手)に「おい、いい馬が回ってきたな」っていったんだ。そしたら良い笑顔で応えてくれたよ。追い切りは坂路で併せ馬をして半馬身先着。ハマるかハマらないかというタイプだけれど、ノッているカツハルだけに注目したい。

このタケミカヅチよりも人気になりそうなのがエフティマイア。でも実は、初めて見た時にちょっと馬体が細いな、あまり見栄えがしないタイプなのかな、って感じたんだ。

それが今日見て驚いた。フックラして、見違えるほどの好馬体になっていたんだよね。いやァ、この成長の早さにはビックリしたよ。

聞けば、新馬戦はかなり仕上がった状態だったとのこと。そこから戻して、2走目のマリーゴールド賞はプラス10キロ。今回はさらに体重が増えているかもしれないね。

精神面は大人びていて、牝馬なのにカリカリするところがなく、凄く落ち着いている。テキ(矢野進調教師)が「どんなレースでもできる」っていうのも、そこが大きいんだろう。

どちらかというとほめる事が少ないテキがこれだけ評価しているんだから、かなり期待できそう。来年で勇退するテキの、花道を飾ってくれるかもしれないね。

最後にカツハルとのちょっとしたやりとりを。新潟記念のヤマニンアラバスタ、「惜しかったな」っていったんだ。そしたら、「調教の動きが良かったから楽しみにしていたんだけれど、あそこまでとは…」ってちょっと驚いたような表情。

道中はかなり手応えが良かったらしいから、ホントに残念。でも今週もチャンスのある馬に乗るし、惜しかった分だけ頑張ってほしいと思っている。

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2007年8月27日

成長したなァ、と強く感じさせたユメノシルシの新潟記念。なにせ去年の今頃は500万下を走っていたんだから。

その頃は直線で抜け出してもお終いは止まってしまうというパターンで、好走はするもののイマイチ勝ちきれない馬というイメージだった。でも、今回でそんな悪い印象をすっかり払拭してみせたね。ゴール前の粘り腰、自在性のあるレース運びと、肉体、精神の両面で成長していることがうかがえた。

最後までキッチリと走りきっているし、課題のひとつに挙げていた勝ちタイムも優秀だった。これならば、更に上の舞台でも良いレースができそうだ。今回のようにマイペースで行く事ができれば、もう少し長い距離にも対応できるんじゃないかな。

久々に出てきた夏の上がり馬、という感じ。秋に向けて楽しみな存在になってきそうだね。

成長といえば、もう1頭取り上げたいのがマサミ(松岡騎手)が乗ったダイイチアトム。前回はこの馬の事を「さぼり癖がある」と書いたけれど、手を抜くところもなく、マジメに走っていた。勝ち馬と0秒3差の4着というのは現時点での力の差。それでも、精神面でグッと大人になっているなと感じさせるレースだった。次走でも引き続き注目したい。

最後にアドマイヤモナークについて。前走見せた切れ味はこの馬の成長だと思った。それに違わず今回も33秒9という最速の脚で上がってきているんだけれど、個人的には「もうワンテンポ仕掛けが早ければ」と思ってしまう。

2、3着馬は道中同じような位置取りだったが、動き出しが早かったから上位に来る事ができた。つまりアドマイヤとの差は、仕掛けのタイミングの差だったように思う。

今週末にはカレンダーが一枚めくれて、はや9月になる。天高く馬肥ゆる秋、競馬がグンと面白くなる季節。何事もなく、このまま競馬が続いていくことを願うばかりだ。

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2007年8月24日

今朝はちょっとゆっくり、7時半頃にトレセンへ。馬インフルエンザ騒動の影響で、関係者はみんな慌ただしく動き回っていた。競馬が再開されたのはひとつの段落だが、そういう姿を見ると、早期の事態収束を願う思いが強くなる。

ここでもう一度、馬インフルエンザについておさらいしたい。というのも、人から、あるテレビのコメンテーターが「馬インフルエンザの影響で処分される馬が出なければいいのですが…」と言っていたということを聞いたからだ。

全ての馬にワクチンを接種している現在では、馬インフルエンザは死に至る病ではない。症状自体は感冒(風邪)のようなもの。もちろん馬にとって災難であることは違いないが、それが原因で処分されるようなことは、ない。その番組を見て誤解している人もいるかもしれないと思い、これだけは言っておこうと思う。


さて、再開なった競馬について。新潟記念は前走、2着ながらゴール前で素晴らしい切れ味を披露したアドマイヤモナークに注目している。それまではどちらかというと瞬発力に欠けるタイプだと思っていたので、このモデルチェンジには意外性を感じた。あの脚が使えるならば、直線の長い新潟はうってつけのコースだ。

調教の動きが良かったのは、トップガンジョーユメノシルシ。前者は1年振りだが具合は良い。一番の敵は、相手じゃなく斤量になるんじゃないかな。58キロというのは、他馬のハンデと比べると少し厳しく感じるね。後者は時計勝負になるとキツイけれど、今回は絶対的な逃げ馬が不在なだけにチャンスはあると思っている。

穴っぽいところでは、シュウ(石橋脩騎手)が力を入れているスクリーンヒーロー。一発の雰囲気がするんだよね。もう1頭はマサミ(松岡騎手)のダイイチアトム。さぼり癖のある馬だが、マジメに走れば勝つだけの力はあるはずだ。


札幌のメインは洋芝適性でブラックバースピン、前走内容の良いサープラスシンガークーヴェルチュールあたりに注目している。

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2007年8月22日

まず、今週の競馬開催が決まったということについて。今日の夕方、25、26日の競馬が、通常通り開催されるとJRAから正式に発表された。

以前に書いたように、同じ馬インフルエンザといっても、1971年当時とは違いワクチンを接種していることで、症状ははるかに軽い。もちろん熱発しているような馬を使うというのは問題外だが、たとえ陽性反応が出た馬でも、元気な馬ならば競走能力には差し支えないんじゃないかなと思っている。

ただ、だからといって事態を甘く見るという訳ではない。開催が決まったからといって、この問題が解決されたということにはならない。原因、過程、結果、ここはキッチリと洗い出すべきだ。同じことを繰り返さないためにも。


最後に、『ごっちゃん』からの久々の質問に答えよう。フリー転向についてだよね。

そもそも、フリーになるのは、本人の意向の他にも厩舎の事情ということがある。1厩舎には助手が最大で3人までという規制があるんだけれど、所属騎手がいる場合には、乗り役の数がカウントされて、助手は2人までということになるんだ。

そんな厩舎が、事情により「助手を3人にしたい」と考えた時、所属騎手にフリーになってもらうことがある。

そういう場合、その騎手はただ押し出されてフリーになった訳ではなくて、厩舎としてはこれまでと変わらずバックアップしていくケースが多いんだよね。所属ではないけれど、厩舎との結びつきは変わらない、という感じ。

もちろん、これ以外にも、背景にシビアな事情を抱えている場合もある。最近はフリーになりたがる若いのが多いけれど、『ごっちゃん』が心配するように、フリーの世界っていうのは厳しいんだよね。

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2007年8月20日

その当時、僕はまだ競馬場に入ったばかり。今のマサミ(松岡騎手)とか、隼人(吉田隼騎手)よりも若い二十歳の頃だ。まァ、早い話がアンちゃんだよね。

それでも、若いからこそ希望に燃えていたし、何より巧くなりたかった。だから少しでも多くの馬に乗りたいって思っていたんだ。

そんな時だ、馬インフルエンザが流行したのは。1ヶ月間に90%以上の馬が感染するというもの凄いスピードで病気は蔓延して、約2ヶ月という長い期間、競馬は中止になってしまった。

一番レースで乗りたい時期なのに、乗れないっていうのはやっぱりキツかったね。「早くレースで乗りたい」って思っていたし、馬がすごくツラそうだったから、「早く治ってもらいたい」と願ってもいた。

事態が収束するまでは、長かったなァ。2ヶ月っていわれているけれど、もっと長かったんじゃないかな。ホントのところはどうかわからないけれど、僕の実感としては、もっと長かった。

あの時と今とで一番違うのは、ワクチンの存在じゃないかな。71年当時はワクチン接種が義務づけられていなかったから、今よりもうんと症状が重かったんだ。レースに出られるかどうか、っていう問題じゃなく、ほとんど全部の馬を休ませていたからね。

今は当時と比べると症状は軽いし、現時点では頭数も少ない。だから、「今週は開催できるかもしれない」と、毎週のようにギリギリまで結論が伸びているという側面もあるんだけれどね。

トレセンの事務所で働く人達に話を聞くと、みんな不眠不休で頑張っているという。彼らは馬券の売り上げとかそんなことは全く頭になくて、ただファンのみんなに競馬を見せたいという思いで仕事をしている。今はJRAに非難ごうごうだけれど、現場の人達は純粋な気持ちで一生懸命に働いているんだよね。騒動の裏側にある事だけれど、彼らのそういう気持ち、努力を知ってもらえると嬉しいな。

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2007年8月17日

すでに知られているように、8月16日、JRAから馬インフルエンザが発生したことが報告され、17日、今週の開催が中止になると発表された。

馬インフルエンザで開催が中止になるのは、1971~72年の感染以来、約35年振りのこととなる。

この時はワクチンを打っていなかったこともあり、非常に多くの馬に感染し、2ヶ月にも及ぶ中止になった。ただ、今回は半年に1回、全ての馬にワクチンを接種することを義務づけているため、それほど多くの馬には広がらない、つまり前回のように長い中止にはならないんじゃないかな、というのが僕の個人的な見解だ。

この馬インフルエンザというものについて簡単に説明しよう。まず、馬から他の動物にはうつらない。それに、ワクチンの効果もあり、馬にとって発症したからといってすぐ死に至るような疾病ではなく、人間でいうとカゼのようなものなんだ。

ただ、この時期に病気になるというのは、馬にとってはキツいよね。ただでさえ暑さに弱い動物な訳だから、ホントに可哀想だよ。

それでも、辛いのは競馬関係者も、開催を楽しみにしているファンも同じこと。まだ先行きは不透明だけれど、僕自身もできるだけ情報を集めて、何か分かったことがあれば報告させてもらおうと思っている。

また競馬を観られる週末が、少しでも早く来ることを祈っている。

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暑い、暑いと言っているうちに、もうお盆の時期になる。こんなに暑いんだけれど、暦の上では残暑なんだよね。なんだか腑に落ちないけれど、それでも季節は進んでいると思いたい。

残暑見舞いではないけれど、僕には皆さんからメールで質問や応援のお便りが来る。いつも本当に励みになります、ありがとう。今回はそんななかから、いくつかの質問に答えていきたいと思う。


まず、「騎手は競馬新聞を見るのか」という質問。これはイエス。かくいう僕も現役時代に良く見ていた。

といっても、あくまで参考程度なんだけれどね。人気になっている馬をチェックしたり、逃げそうな馬を確認したりってところ。だって、実際のレースでは本命の馬の手応えが悪かったり、逃げ予想だった馬が出遅れたりなんて出来事がほとんどなんだから。マジメに見て信じている騎手はあまりいないと思うよ。でも馬の悪口なんかが書いてあると、たまにムカッとくるけれどね(笑)。


次の質問は、「乗っている騎手から見ても、札幌のカーブは緩やかなのか」というもの。これもイエス。コース全体を考えれば楽な部類だと思う。だからコーナーでも速度が持続しやすく、ペースが速くなりがちなんだよね。

ただ、芝1500mの1コーナーだけは楽じゃない。スタート地点が1コーナーの脇にあるポケットだから、最初のコーナーまでの距離がとても短いんだ。その短い間でいかに馬の気持ちをコントロールするか、そこに気を付けて乗らなきゃいけないんだよね。

前回のクイーンSの時にも触れたけれど、スタートはレースのなかでも非常に重要な場面なんだよね。先手を取る、後手を踏むという戦術面でもそうなんだけれど、実は乗り役の心理面でも、スタートを重要視する理由があるんだ。

それは「みんなが注目しているから」。ホラ、テレビを見ていても、全部の馬がいっぺんに映る場面って他にないでしょ? 失敗すると一番目立つから、結構気を使うんだよね。案外乗り役もナイーブでしょ(笑)。

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前に行くタイプが多く、激しい先行争いが予想されていたけれど、蓋を開けてみれば平均やや遅めのペース。それが今回のクイーンSだった。

その要因は、先行するどの馬も相手の出方を見過ぎてしまって、積極的に動かなかったところにある。

結果的に逃げる形になったアサヒライジングにしても、ヨシトミ(柴田善騎手)は「何が何でも逃げる」というスタートではなく、むしろ「行く馬がいれば、どうぞ」というような感じの出方だった。

それでも先に書いたように他の馬は相手の出方をうかがうだけで動く様子がない。「それなら」という感じで、1コーナー手前あたりでスッと先頭に立ったんだろう。乗り手の心理としてはそんなところだと思う。

レースも中盤にさしかかると、ヨシトミは心中「しめしめ」だったんじゃないかな。道中は無理に競りかけてくる馬もいなかったし、何よりマイペースで単騎の逃げが打てたんだからね。

こういった平均の流れになると強いのがアサヒ。最後の直線でも良い脚で後続を突き放し、2着イクスキューズに1馬身半差をつけての勝利。GIでも善戦してきた馬だけに意外だれど、これが重賞初制覇なんだよね。

久々のレースで体重が10キロ以上増えていたのは成長分だと思う。馬体に張りがあったし、いい意味で立派な体つきになっていた。

勝負のポイントは、どの騎手も相手の出方をうかがいすぎたこと。つまり1コーナーまででレースはある程度決まってしまったとも言える。

こういう時は、得てしてゲートが開く前から心理戦は始まっていたりするんだよね。「誰がどう出るか」それがギリギリまで分からないから、乗り役ってのは難しいんだ。

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札幌競馬場は洋芝といって、クッション性が高く馬の脚に負担が少ない芝を使用している。その他の特徴としては、見た目が美しいこと、馬が走る際にパワーが要求されるということがある。

100%洋芝だけの競馬場は、函館とこの札幌(この両者は使用している芝の種類で若干の違いがある)だけ。それだけに、ある種特異な要素として、レースを予想する場合には洋芝の適性も考慮すべきだと思う。

その時、一番良いのが過去に洋芝を経験しているかどうかということ。たとえばアドマイヤキッスは2歳時に札幌で2走していて、うち勝ったレースでは2着馬を0秒8も離す楽勝だった。

キッスがこれまでに強い相手と戦って揉まれながら経験を積んできたということ、さらに脚質に自在性があるということに加え、札幌の馬場で良いレースをしていることは、このレースでかなり有利な条件になる。

ただ、今回はキッスを脅かす存在としてアサヒライジングを挙げたい。洋芝の経験はないが、これまでの走りを見ていると、対応できるように思うんだ。

それに右手前が得意なアサヒにとって右回りというのは好条件だし、ただでさえ小回りのコースで馬場状態が絶好というのも先行タイプのこの馬には大きなプラス材料。GI2着3回(海外含む)、3着1回という実績からは重賞を勝っていないのが信じられないほどだが、ここでの悲願達成も十分にあるんじゃないかな。

展開的にはこの2頭中心に考えていて、続くのが昨年のクローバー賞(札幌)をレコード勝ちして高い洋芝適性を示したイクスキューズ。さらにはアサヒの手綱をとるヨシトミ(柴田善騎手)の出方次第でチャンスが広がるシェルズレイ。アサヒにあまり早く動かれると厳しいから、できれば後ろを牽制して、少し仕掛けを遅らせるようなレースをしてほしいところだね。ともかく、他力本願的になることは仕方ないかな。

洋芝といえば、ディアチャンスは札幌、函館通じて8戦と、豊富に経験している。前回の内容からも注目すべき1頭だね。

怖いのは忘れた頃のフサイチパンドラ。鉄砲駆けするタイプだし、馬体重次第では一発あるかもしれないから気を付けたいところだ。

初めに書いたけれど、洋芝はとにかく見た目が美しい。先月僕が見に行った時も、鮮やかな緑が広がっていた。今回も、きっとみんなの目を楽しませてくれるはずだよ。

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いやぁ、暑いね。まさに夏本番という感じ。暑さに弱い馬もそうだけれど、これじゃあ人間だって参っちゃうよ。

少しは涼しい札幌にいる馬は、まだ幸せかもしれない。そんな幸運な(?)滞在馬の1頭、アサヒライジングはクイーンSに出走予定。今朝の追い切りは芝コースで5ハロン62秒3というタイム。

久々だけに仕上がり面が気になるけれど、調教でもずっと騎手が跨って仕上げてきたというから、体勢は整っていると思う。

以前書いたように、札幌競馬場は芝がビッシリと生え揃って絶好の馬場状態。そういった意味では、アサヒのような先行タイプは有利かもしれないね。


さて、今日は残念なニュースが入ってきた。陣営がウオッカの凱旋門賞出走を断念したというものだ。

その理由として挙げられていたのが蹄球炎という疾病。人間でいえば、血マメのようなものと考えてもらうと分かりやすいかもしれない。

蹄の少し出っ張ったところ(写真を参照)を蹄球というんだけれど、そこが炎症を起こして、内出血のような状態になるんだ。

蹄球

原因としては後ろ脚で前脚の蹄球を蹴ってしまったりとか、調教で馬場の深いところを走って、芝との摩擦で発症するということが多い。発表によると患部は後ろ脚ということだから、ウオッカの場合は恐らく後者だろうね。

ただ、2日で完治したと伝えられていることからも分かるように、それほど重大な疾病ではない。だから出走断念には何か他の要因もあったのかな……とも思ってしまうんだ。

ともあれ、その年のダービー馬が凱旋門賞に参戦するという、まれな機会がなくなってしまったのは本当に残念。その分、サムソンとユタカ(武豊騎手)には頑張ってもらわないといけないね。

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2007年8月 6日

上がり33秒3の末脚で後続を突き放し、さすがGIの常連という存在感を見せたカンパニー。1分31秒8という新潟マイルのタイレコードはもちろん、シンボリグランにつけた3馬身半差は実力の違いを証明するもの。これまで戦ってきた相手が違う、と言わんばかりの快勝だったね。

この強さを感じさせる勝ち方の裏には、新潟コースの適性があったように思う。平坦で直線の長い左回りという条件が、まさにピッタリと思わせる走りだった。

思えばこの馬の兄、レニングラードニューベリーも新潟で好走していたよね。その血統面も今回の勝利を後押ししていたんじゃないかな。

逆を言えば、今後の課題はこの走りが今回の条件以外でできるかどうかということ。たとえば坂のあるコース、東京ではどうか。秋の目標は天皇賞になるだろうし、少し先の話だが、そこは鮮烈な勝ちっぷり以上に記憶に留めておきたいポイントだ。

今後ということでは、期待できそうなのがシンボリグラン。今回は課題のスタートも成功し、スンナリ先行、道中折り合って、直線は早めに抜け出す……と、レース振りがチグハグだったこれまでとは雲泥の差。

これは精神面の成長あってこそのこと。特に印象的だったのは、前に馬を置かなくても折り合えたところだね。ムキになって走るようなシーンもなかったし、こんな感じだったら、これからは自分でレースの流れを作ることもできるんじゃないかな。良いレース内容だったね。

他に印象的だったのは、カンファーベストが今回は真っ直ぐ走っていたということ。結構難しいタイプの馬なんだけれどね。これは江田(江田照騎手)の教育の成果もあったと思う。

マイケルバローズカンファーベストストーミーカフェと、3~5着はどれも健闘しているというか、自分の時計では走っている。今回に関しては、勝ち時計が速すぎた、もっと言えばカンパニーが強すぎたということだと思う。それほど1頭が際立ったのが、今年の関屋記念だったということだ。

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今の新潟の芝は、内側と外側が深くなっている。つまり、真ん中を通った馬が伸びる馬場状態なんだ。先週のレースで前残りが目立ったのも、それがひとつの原因になっている。

それを踏まえると、ニシノナースコールの順調さ、能力は認めるものの、後方からの脚質というのは若干の不安要素ということになる。ただし、前走のように前に行って粘り込むようなレースができれば別だ。滞在効果もあって体調も良さそう。レースの仕方次第で中心的存在にもなり得ると思う。

同じ牝馬でも、レースの仕方を選ばないという意味では、アンブロワーズの方が堅実かもしれない。こちらはどんな展開にも対応できる、いわゆる自在性のある馬。スッと先行できるし、今の新潟に合ったタイプなんだよね。調子も良いと聞いているし、雨も不問と、期待できる要素は多い。

先行できて、なおかついい脚を長く使えるのがインセンティブガイ。一発の魅力に満ちた馬なんだけれど、とにかく成績にムラがありすぎるのは問題。難しい気性面をどうやってなだめるか、マサミ(松岡騎手)にはそんなことも求められると思う。

ここまでに挙げた3頭以外では、アポロノサトリシンボリグランピサノパテックに注目している。

それぞれポイントは、アポロ=体重面、シンボリ=マイル適性、ピサノ=重馬場は割引、というところ。つまり、どれも不安点があるということになるね。前回にも書いたけれど、アポロはちょっと馬体がポテッとしているように見えたから、パドックを見る時は馬体重を気にしてほしい。

最後に警戒すべき穴馬を挙げておこう。カンファーベストは、調教もイマイチで、本来はひと叩きされてからだと思うが、このメンバーなら一発あってもおかしくないだけの力は持っている。

もう1頭は、単騎で逃がしたら怖いストーミーカフェ。鞍上のカツハルも、こういう前向きな気性の馬と相性が良いだけに、侮れないコンビになりそうだ。

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2007年8月 1日

久々の濃霧。今朝の美浦トレセンは霧に包まれていた。フラッシュをたく訳にはいかないから、残念ながらカメラ撮影はNG。でも、調教の動きはバッチリ見られたよ。

前走テレビユー福島で良い勝ち方をしたアポロノサトリ。坂路を軽く済ませた後でウッドに移動。そこでの走りなんだけれど、ウン、なかなか悪くない動きだったね。ただ、心なしかモサッとしているように見えた。元々キリッとしたタイプだけに、そこは少し気になるね。

芝で追ったピサノパテックも雰囲気が良さそう。隼人(吉田隼騎手)が乗る予定だけれど、ちょっと期待できそうだね。明日も会う予定だから、ハッパかけておくよ(笑)。

思ったよりも……と感じたのがカンファーベスト。あまり良い動きには見えなかった。ただ、この馬はメンタルで走る馬だから、調教で悪くても走る時がある。もちろんその逆もあるんだけれどね。果たして今回はどちらかだけれど、ギリギリまで分かりにくいものなんだ。だからパドックは注意深く見てほしい。


最後にお待ちかねのマサミ(松岡騎手)情報を少し。戻ってきたのは先週の土曜日だったかな。携帯に電話があった。「今帰ってきました」ってね。

今回のアイルランド出張で、改めて世界は広いという事を実感したみたいで、「アンちゃんでも巧い人がたくさんいるんですよ」って言っていた。正直ショックもあっただろうけれど、さらに謙虚な気持ちで馬乗りに励めるようになったんじゃないかな。

そう考えるとGIを勝ったすぐ後にそういう経験ができたというのは、意味がある事だったように思う。天狗になるようなところも全くないしね。まぁ、なっていたらその鼻は僕がへし折っただろうけれど(笑)。

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