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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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乗り役連中に話を聞いたら、誰もが「勝負になると思う」っていっていた。ここまでみんなが色気を持つGIも珍しいと思う。つまり、それだけどの馬がきてもおかしくない混戦模様だという事だ。

そんなレースで僕が重視したのが、追い切りの動き。つまり状態面だ。出走メンバー16頭のうち、いいな、と思ったのはこれから挙げる7頭。それぞれに思った事を書いていこうと思う。

順調さを感じさせたのは、牝馬2頭。サンアディユアストンマーチャンだ。どちらもスピードはこのメンバーでも上位。面白い事に、アディユの川田も、マーチャンの英二(中舘騎手)も「勝負になる」といっている。

ただ、どうしても気になるのが中山の坂を経験していない点。マーチャンは阪神コースを走っているが、あそこの坂はなだらかだからね。アディユの中山ダート経験も、芝コースと比べると緩やかな勾配だけにあてにならない。

逆に中山コース実績があるのがキングストレイルアイルラヴァゲインだ。前者は距離短縮が取りざたされているが、追い切りに跨った北村(宏司騎手)によると、「大丈夫。1400mでも引っかかっていたくらいですから」とのこと。状態面も好調をキープしているといっていたよ。

ラヴァゲインの追い切りに跨ったマサミ(松岡騎手)はプリサイスマシーンにも乗った。どちらも具合が良いと話してくれたが、特にプリサイスは好感触だったみたい。個人的にも、良い追い切りだったように見えた。

同じく追い切りが素晴らしかったのがクーヴェルチュール。時計も出ていたね。ただ、この馬も中山の坂がどうかだけだ。

最後になったが、この馬を挙げなくてはいけないだろう。実力NO.1のスズカフェニックスだ。追い切りはこの馬特有のケリの強さが感じられて迫力十分だった。

ただ、ゴール前での動きに、少し「重み」が感じられたんだ。これが良くいわれている帰厩遅れの影響なのだろう。ポイントは輸送でどこまで絞れてくるかだね。パドックには注目してもらいたい。


ここで挙げた7頭、そのどれにも欠点がある。そのなかで、どの馬の欠点に目をつぶるか。そこが重要になってきそうな1戦。ゴールの瞬間まで何が起こるかとドキドキする、そんな好レースを期待している。

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スプリンターズSにあわせて、今日は久々の調教公開。「場を盛り上げてほしいから」っていわれて、僕も参加させてもらった。30人くらいの方が来てくれていたけれど、楽しんでもらえたかなぁ。

そのスプリンターズSは、どの馬が一番人気になるのか読むのも難しいという、そんな混戦模様だけに、追い切りをチェックするのがいつも以上に重要になる。それだけに力が入ったね。

まず「オッ」と思ったのは坂路で追い切ったクーヴェルチュール。トータルで48秒台というのだから、かなり良い時計だ。見た目も「ずいぶんハードにやっているな」という印象だった。この馬は以前から注目していたんだけれど、ここ最近の充実振りには目を見張るね。

動きの良さが目立ったのがプリサイスマシーン。跨ったマサミ(松岡騎手)も「高松宮記念の時よりもいいです」なんていっていた。この好調がキープできれば面白いんじゃないかな。体が硬い馬だけに、この3日間で状態が変わらなければという条件は付くけれど。

この馬ではなく、マサミがレースで乗るのはアイルラヴァゲインの方。こちらも順調だ。終い重点の追い切りだったんだけれど、気持ちよさそうに脚を伸ばしていてね。ラスト1ハロン12秒5という時計面はもちろん、動きが際立っていた。


さて、今日は最後に質問にお答えしようと思う。馬場についてメールをくれた『ゆうき』さん。日本と欧米の馬場の違いについてだよね。それは、手入れの仕方が一番大きいと思う。

向こうは1、2回使うと、もうボコボコ。手入れして何度も使うという発想ではなくて、基本はすぐに違う馬場に切り替えるというやり方なんだよね。

反面、日本は同じ馬場を長く使うという考え方。だから手入れの技術が向上するんだ。

日本の馬場は外国人ジョッキーの評価も高くて、ペリエやデザーモもほめているくらい。個人的には世界一素晴らしい馬場だと、そう思っているよ。

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学校(ジャパン・ホースマン・アカデミー)の帰り道、先週末の2重賞を振り返りながらの車内で考えたのは、折り合いについて。

たとえばオールカマー。勝ったマツリダゴッホは久々にこの馬らしい勝ち方を見せてくれたが、それをもたらしたのは道中の落ち着きだった。

鞍上は去年のセントライト記念以来となるマサヨシ(蛯名騎手)。そのレースは落馬競走中止となった残念なものだっただけに、雪辱を期していたのだろう。とにかく見事に折り合っていたんだよね。ウン、完璧だった。

馬が素直なタイプだから、勝負所ではちょっと気合いを入れただけでハミをグッと噛んで反応してしまったが、レースの流れにそぐわないものではなく仕掛けのタイミングとしては問題ないだろう。

ゴール前でイマイチ伸びきれないという、近走の歯がゆいレース振りからも分かるように、ゴッホはレースの前半でどれだけリラックスして走れるかが好走するためのポイント。そこをキッチリとクリアした事が今回の勝利につながったんだよね。

同じように神戸新聞杯のドリームジャーニーも折り合いがカギだった。

ただ、こちらのハイライトはスタート。ユタカ(武豊騎手)は大きく踏み出すのではなく、軽く踏み込ませるような感じで最初の一歩を出させたんだ。

これはユタカだからこそできるような非常に難しい技術だが、こうして出すとドリームジャーニーのような繊細な馬でも燃えすぎずにスタートを切る事ができる。

実際に、その後すぐに折り合いがついて、道中は手綱がプラーンとなったまま。そのおかげで、一瞬の切れ味という武器を最大限に生かす事ができた。

ジャーニーに関してはこの距離を折り合って、さらにあれだけの脚を使えたのは菊花賞に向けて大きな収穫だろう。そういう点で、このレースが2400mに距離延長されたのは意味のある事だったといえるんじゃないかな。


車内に吹き込む秋風は爽やか。季節が動き始めトライアルも一段落し、いよいよ今週末はGI・スプリンターズS。日曜日は中山に行ってみようかな、と思っている。

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2007年9月21日

馬インフルエンザの影響がありながらも、有力馬が次々と帰厩して、トレセンにすごく活気が出てきた。そして来週はもうスプリンターズS。馬名入りのゼッケン(GI登録馬は2週間前から付ける)を付けた馬たちも多く見られるようになってきた。

さて、今週はオールカマーだけど、人気になりそうな馬に不安があるだけに、混戦模様だね。

そんな中、1番調教が良く見えたのはネヴァブション。この馬も馬インフルエンザの影響を受けて、入厩が遅れてしまったんだけど、ダートで追い切られた水曜日の動きはすごく良かった。おそらく、牧場でしっかり乗り込まれてきたんだろう。日経賞ではマツリダゴッホに勝っている馬だし、久々でも期待できるんじゃないかな。

決め手があるという点で、次にダークメッセージを挙げたい。今週の調教で、併せた僚馬に遅れたことが気になる方もいるかもしれないけど、この馬自体の動きはなかなか良いものだった。それに、能力という点では、このメンバーの中でも高いと思うし、中山の軽い芝も合いそう。

タマモサポートは、ハミをずっと噛みっぱなしで走る馬だから、いかに楽にレースをさせられるかが、ポイントになる。前走は前に行ってつぶれてしまったけど、ヨシトミ(柴田善騎手)が乗った福島テレビオープンでは、差す競馬で好走してたから、今度はどう乗ってくるかが見物だね。

マサミ(松岡騎手)のサンツェッペリンは、まだ持ち前の粘り強さを感じなかった。叩かれてから良くなるタイプの馬だけに、本番の菊花賞に向けて、3000メートルを意識した乗り方をしてくることも考えられる。


神戸新聞杯は、やはりフサイチホウオーに注目したい。稽古の動きからも精神的に大人になったところを感じるからね。併せ馬では、少し相手に合わせて走るところがある馬だから、時計はそれほど気にしなくてもいいと思う。

ヴィクトリーもひと夏を越えて、折り合いのつく稽古ができるようになった。1番変わったのはこの馬かもしれない。ただ、ホウオーにしても、ヴィクトリーにしても、気性面が大きなポイントになるから、また当日のパドックをしっかり見ておきたいね。

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2007年9月19日

競馬場のターフを歩いた事があるという人はどれくらいいるだろうか。まだ歩いた事がないというみなさんは、どんなイメージを持っているかな?

一面の芝生という事で、ひょっとしたらフカフカで柔らかい地面を想像するかもしれないね。

そのイメージで実際に歩いてみたら驚くだろう。「思ったよりも硬い」と感じる人もいるんじゃないかな。でも、人間が歩いて「柔らかい」と思うくらいだと、馬にとっては柔らかすぎるんだ。

そもそも競走馬が全力疾走する時は、4本の脚をバラバラに動かして走る。その時、地面に着地するのは1本の脚だけなんだよね。

その1本の脚にかかる負荷は、時速60キロ×馬の体重。イコール4トンくらいだといわれている。

考えてみてほしい。4トンの負荷を支える時、脚が埋まってしまうほど地面が柔らかかったとしたら、どれだけ危険かという事を…

だからといって、硬すぎるのが良い馬場だという訳ではないよ。あくまで競走馬にとってちょうどいい硬さが求められているという事。馬場は人間本意のものではなく、馬本意で作られているんだからね。

そういう点で、今の馬場はどの競馬場も高いクッション性を持ち、馬にとっては非常に走りやすくなっている。そこには以前ここにご出演いただいた高田さんのような馬場造園課の方々の努力があるんだ。

あまり表舞台には立たないそういった彼らの働きも、機会を見て紹介したいなと思っている。4トンを支えているのは、他でもない彼らの熱意のたまものなんだからね。

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2007年9月17日

ただ勝つだけではなく、いかに本番につなげるか、がテーマだった東西トライアル。勝ったのはロックドゥカンブダイワスカーレットとどちらも1番人気の馬だったが、GIに向けての採点簿はどうだったかというと……

まずはセントライト記念。レースの流れとしては速くもなく、遅くもなくの平均的なものだった。ロックはそのペースを先団の4~5番手。燃えやすい気性だけに心配したが、スタート直後に少し行きたがっただけで落ち着いてレースを進めた。

この「とぼけ」というか精神面の余裕は僕にとっては意外な事で、3~4コーナーでもあまりに余裕があるのか、一度手応えが悪く見えたほどだった。柴山が気合いを入れたらグッとハミを噛んで行く気を表に出し始めたが、これはこれまでのロックには見られない場面だったと思う。

印象的なシーンはもうひとつあって、それは直線、1頭で抜け出した時。そこでもゴールデンダリアが差し込んで来るまでは少し力を抜いた感じの走りだったんだ。

これを精神面での成長と見るか、それとも休み明けの産物と見るかで、菊花賞での評価がガラッと変わってくる。もしもこの感じで走れたなら、課題とされる距離面が克服できるだろうからね。

対してローズSのダイワスカーレットはどうか。実はこちらも、少し「とぼけ」たんだよ。

場面は直線で後続を離しに行ったところ。鞍上としてはもっと突き放すイメージだったと思うんだけれど、馬自身がスピードアップを少し加減したように見えた。

振り返ればスタートでも燃えすぎずに、すんなりとハナに立つ事ができていた。馬が怒ってしまって、落ち着かせるのに少し時間がかかったベッラレイアとは対照的だったね。


これはロックとスカーレットのどちらにもいえる事だけれど、折り合いという意味では「とぼけ」はアドバンテージになる場合が多い。でも、もしも直線での攻防でそれが出てしまうと、ちょっと厳しいよね。

たとえセーフティリードを作っても、一瞬の切れ味を持つ馬に離れたところから差してこられたら……せっかくのリードもなくなってしまうかもしれない。

というように、精神面の余裕というキーワードで、勝ち馬に収穫と課題との両面が見えたのが、先週の東西トライアルだったように思う。一番の理想は道中落ち着いていて、直線で燃え上がる事なんだけれどねェ。後は本番までに陣営がどういう手を打ってくるか、だ。

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まだちょっと蒸すけれど、それでも徐々に秋が近づいている事を感じる。昨日はトレセンに涼しい風が吹き抜けたし、今日も気づけば随分日が短くなっている。僕の大好きな、果物が美味しい季節がやってくる。


気候の変化に敏感なのは人間だけじゃなくて、馬もこの時期は「天高く馬肥ゆる~」のたとえのようにグンと成長するもの。今週のセントライト記念、ローズSにも休み明けの馬が何頭か出てくるけれど、プラス体重でもほとんどが成長分じゃないかな。逆に避けたいのが、休んでいたにも関わらず馬体が細くなっている馬。成長力に欠けるタイプの可能性が高いからね。

ロックドゥカンブは、間隔を空けた事がちょうどいい休養になった1頭だと思う。調教助手に聞いたところ「昔は1回使うとガクッと反動が出たが、今回はそれがない」というからね。夏を越して、体が大人になって強くなってきたんだろう。

さらに、「先週末のイマイチな動きから一変して、今週は満足のいく追い切りができた」という。まさに戦闘態勢が整った、という感じ。鞍上は前走に引き続き柴山が務める事になった。ラジオNIKKEI賞同様、積極的に勝ちに行く競馬をするんじゃないかな。

調教の動きでは、ロック以上だったといえるのがゴールデンダリア。体全体を使って、ノビノビと走っていた。馬場が悪い割に時計も速かったし、追い切りの評価は1番かもしれない。

この2頭は春の実績馬。それに立ち向かう上がり馬的存在としては、マイネルダイナモシグナリオの名前を挙げたい。

マイネルはスムーズなレースができなかったにも関わらず、古馬相手に3着という内容を評価したい。シグナリオは厩舎の期待馬。同僚のクランエンブレムと併せた追い切りでも、目立った動きの良さだった。


ローズSはダイワスカーレットの成長を拝見、といったところ。ベッラレイアレインダンスピンクカメオがどれだけ迫れるかじゃないかな。

ひとつ気になるのはダイワの父アグネスタキオンがどれだけ成長力を伝える血を持っているかという事。早熟タイプの産駒も少なくないだけに、そこだけは心配だ。


最後に豆情報を。土曜札幌12Rのアトス。連闘でも調教の動きが鋭く体調も良さそうだ。前走11着からの巻き返しが期待できると思うよ。

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2007年9月12日

今朝の美浦は雨。それもかなりの豪雨だった。これだけ降ると乗っている方も視界が悪くて往生するんだよなァ。

ちなみに、普段の調教時はゴーグルやサングラスをしている乗り手が多いが、これだけの雨の場合、ゴーグルを着けていると逆に前が見えにくくなるんだよね。車にたとえて、ワイパーのないフロントガラスだと思ってもらえれば分かりやすいかな。だから、今日みたいな日は何も着けない事が多いね。

トレセンの馬場状態も悪化していて、そういう点でもみんな気をつかったと思う。ウッドチップは脚がもぐるような感じになるし、逆にダートは浅くなってしまって、歩様がゴツゴツした馬なんかだと少しおっかない。

といったように、ファンのみんなにはなかなか見えてこないけれど、雨は実際に作業している人間にかなり影響があるんだ。

そんな中でも、シグナリオクランエムブレムの手塚厩舎勢や、ゴールデンダリアなど、セントライト記念組が追い切りに臨んでいた。

手塚厩舎2騎はどちらも伏兵的な、興味深い存在。今日はこの2頭で併せ馬をして、追いかける形だったシグナリオが併入。この馬はテン乗りで北村(宏騎手)が手綱を取るが、この追い切りで手応えを感じられたんじゃないかな。

ゴールデンダリアはヨシトミ(柴田善騎手)が乗って併せ馬で先着。相手が追っているのに対して、こちらは引っ張ったまま。さすがはダービー6着馬という内容だったといえるんじゃないかな。

これらの馬に跨った乗り手がどんな感触を得たか、さらに今日は追い切りをしていなかったロックドゥカンブの動きも気になるところ。気になる事ばかりだから、明日もトレセンに行くつもりだ。金曜日はより詳しい報告ができると思うよ。

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2007年9月10日

前日の3歳上500万下(9月8日中山12R・芝1600m)の勝ちタイムは1分33秒7。対して京成杯AHのそれは、1分32秒6だ。

この約1秒差を「1秒も離れている」と見るか「1秒しか離れていない」と見るかはそれぞれだろうが、僕はハッキリいって後者だ。オープンのレース、それも重賞なんだから、開幕週の絶好の馬場だけに、もっと速い時計が出ていてもおかしくなかったと思う。

つまり、このレベルの戦いにしては、全体的に遅い流れだったという事。ストーミーカフェがそこまで行かなかったのが大きな要因だろうが、乗っている方にしても、「思っていたより遅かった」というのが本音なんじゃないかな。

この「思ったより遅い」流れが幸いしたのが勝ったキングストレイルだ。元々速い流れには向かないタイプなだけに、今回の展開はピッタリ。流れに乗ってスムーズなレース振りだった。

もちろん、ノッているカツハル(田中勝騎手)の騎乗も見事だったね。内々を回ってソツのない競馬。抜け出してから速い脚でスッと後続を離せたのも、道中ロスなく立ち回ったアドバンテージがあったからこそだろう。

掲示板は、この流れを利した馬が独占したといっていいと思う。後方待機の4、5着馬にしても、位置取りは後ろだったが動き出しは早かったからね。

ヒロ(田中博騎手)が乗ったヴリルは6着。本人は悔しがっていたが、この馬の力を出し切った騎乗だった。ヒロもだいぶ重賞の雰囲気に慣れてきたんじゃないかな。ウン、もう少しだ。

隼人(吉田隼騎手)のインセンティブガイだけれど、この馬は気性面が相当難しいんだと思う。あれだけ手応えが良いのに、追われてから全く伸びないというのだから、どうしてもそういう考えになってしまう。

僕も現役時代は似たようなタイプによく当たったんだけれど、上手くいかない時は一か八かのレースを試してみたりしていた。ポツンと1頭でいってみたり、とかね。この馬にも、そんな療法が必要かもしれないな。

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気になっていた台風も、午後には関東を抜けてすっかり台風一過。週末も晴れ模様ということで、中山競馬場も良い芝状態でレースをむかえられそうだ。重賞のある日曜日には良馬場になっているんじゃないかな。

その京成杯AHだけれど、どの馬も一長一短がある、ちょっと頭を悩ますようなメンバー構成になったね。

調教が一番良く見えたのは、隼人(吉田隼騎手)が乗るインセンティブガイなんだ。追い切りは併せ馬で余裕の先着。気持ち良さそうに脚を伸ばしていて、いかにもスムーズな走りだったね。ムラっ気のあるタイプだけれど、中山は3勝している得意の舞台でもあるし、ここで一発があっても不思議じゃない。

古馬に正面から戦いを挑むのがマイネルシーガル。カンファーとは5歳も離れているんだよね。良い頃の迫力はまだ感じられないけれど、力を出せる仕上がりにはなっている。斤量も有利だし、能力的にも確かなものを持っている馬。きっと上位に食い込んでくるだろう。

8歳馬だけれど、カンファーベストも元気だ。追い切りを見ても順調そうだったし、助手に聞けば、「まだ力は衰えていませんよ」とのこと。さすがに疲れは残りやすくなったというが、キッチリ1ヶ月の間隔を空けており、その心配もなさそう。

老いてますます盛ん、とまではいかなくとも、昨年2着の借りを返せるデキなんじゃないかな。やっぱり、競馬はこういうベテランがいなくちゃね。頑張ってもらいたいな。

そうそう、この馬の好不調を見るには、パドックや返し馬に注目するといい。ヤンチャなくらいが良くて、猫のように大人しいとあまり期待できないことが多いんだ。みんなもぜひチェックしてほしい。


阪神のメインはアグネスラズベリアイルラヴァゲインに注目している。後者はマサミ(松岡騎手)が乗るが、アイビスSD前とは少し調教を変えてきたようだ。本番に向けていいレースを期待したい。

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いつものようにトレセンに行った後、ちょうどお昼頃かな。今日は中山競馬場で馬場を見てきたんだ。

午前中に馬場のお清めが終わっていたらしく、コースにはテントが張られてあった。思い起こせば、僕も現役時代は毎回出席していたなァ。いわゆるお祓いなんだけれど、開場の前には必ず行うことになっているんだ。

肝心の馬場だけれど、一見外側が荒れているように見えるんだよね。でも、そこはレースで馬が通るコースではない、いわゆる大外の大外みたいな場所だから、実際の競馬には影響がないと思う。

中山競馬場の馬場

また、歩いていると局部的に芝の立ち上がりが遅れているところがあった。でも、芝はちゃんと根付いていたし、気にすることはないだろう。馬場造園課の高田さん(『坂井千明のコースの達人』にも登場している)に話を聞いたが、「スプリンターズSの頃までにはきれいに立ち上がっていますよ」とのことだ。

馬場造園課の高田さん
馬場造園課の高田さん

そんな感じで馬場を見たり、話を聞いたりしていたんだけれど、その間じゅう雨が降ったり止んだり。どうやら台風も関東に近づいているらしく、週末の天気も気になるところ。せっかくだから、良い馬場状態で開幕してほしいんだけれどね。

そのあたりの、天候を考慮した馬場状態面、さらに今朝トレセンで聞いた関係者の話、追い切りの動きといったところを総合して、週末のレースに迫っていきたいと思っている。結論は金曜日、お楽しみに!

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2007年9月 3日

いつもとちょっと趣向を変えて、今回は僕の弟子ふたりにスポットを当ててレースを振り返ってみたい。

まずはヒロ(田中博騎手)。この新潟2歳Sが重賞4度目の挑戦だったんだよね。初めてグレードレースに乗ったのは今年の福島牝馬S。ただ、その時は15番人気(今年の福島牝馬S・マイネルーシッド)で気楽に乗れる感じだった。

それが今回は6番人気の馬(リーベストラウム)。穴馬の1頭として取り上げている専門誌も少なくなかった。それだけに、固くなっているかもしれないと思ってレース前に話をしたんだ。

そうしたらやっぱり、少し力が入りすぎているように感じられた。だから僕は「まずは流れに乗ること。楽しんでくるくらいの気持ちで乗ってこい」ってアドバイスしたんだ。

重賞というのは、他のレースと比べて独特の緊張感がある。実際に馬と馬との間隔も狭く、なかなか自分の思ったように馬を動かせないんだ。それが上位人気馬となれば、なおさらなんだよね。それだけに、時には流れに乗ることすらおぼつかなくなってしまう。

それでもヒロは頑張った。ちゃんと流れに乗ってレースを終えることができたよね。本人は「駄目でした」って残念そうだったけれど、この経験は必ず生きてくるはずだよ。


もうひとり、こちらはかなり惜しかった札幌記念の津村。12番人気のアグネスアークに乗ってクビ差の2着なんだからほめてもいいもんだが、あえて僕は厳しいことを口にした。

「考えすぎるな」とか、「追い出しのタイミングが…」とかね。次に生かしてもらいたいからそうやってバンバン指摘したんだけれど、ホントは評価できる点もあった。

それは道中、すごく巧く流れに乗っていたところ。オッ、と思うほどスムーズにレースを運べていたんだよね。


負けたレースでも、いいところはある。それはヒロや津村だけじゃなくて、他の騎手にもいえるところ。だからといって負けた悔しさがなくなる訳じゃないけれど、そういうところもキチンと見ていってあげたいな、と思っている。たまに口うるさくいってしまうのは、まァ、ご愛敬だ(笑)。

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