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坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ウハウハ競馬・テレビ埼玉など)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。


ファイナルチーム
坂井千明・伊藤友康を筆頭とした最高の人材が、「真の関係者情報」を公開します。

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2007年10月31日

トレセンに着いたのは6時20分くらい。もうすぐ11月とはいえ、この時間ならもう明るいね。そんなに寒くもないし。今日着ていたのは、シャツ1枚とジャンパー。これだけで十分だ。

追い切りは、朝一番にゴーウィズウィンドチェストウイング。ゴーウィズは休み明けということもあり、これといって良くも悪くもないという感じだったね。

良かったのはチェストの方。久々を使った反動は見受けられず元気一杯。むしろさらに状態アップという感じ。ハンデも54キロと恵まれたし、今回は期待できるんじゃないかな。騎乗予定の隼人(吉田隼騎手)は天皇賞の2着をとにかく悔しがっていたから、その思いを晴らす気持ちで頑張ってほしいね。

同じく前走オールカマーで久々を叩かれたネヴァブションだが、馬体がしまってきたように見えた。それに落ち着きも出てきているね。前走時と比べると「変わってきたな」って印象の1頭だ。

変わってきたといえば、トウショウナイトも徐々にいい感じになっている。動きもだいぶキビキビしてきた。ただ、まだ絶好調時と比べると、体の張りがもの足りないように思う。使いながら良くなるタイプだし、もう少しだね。ここを使った後くらいがちょうどいいんじゃないかな。

他では、エリザベス女王杯に出走予定のアサヒライジングも印象に残っている。馬なりでそんなに速い時計は出していなかったけど、気持ちよさそうに脚を伸ばしていた。いい精神状態でレースを迎えられそうな、1週前追い切りだったよ。

今日の追い切りで変わり身を感じたのは、トウショウナイトとネヴァブションかな。ただ、どちらもハンデをある程度背負わされている分、そことの兼ね合いをもう少し考えたい。軽ハンデ馬にもおもしろい馬がいることだしね。

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今日はマサミ(松岡騎手)や隼人(吉田隼騎手)と東京まで出てきた。彼らを腕利きの整体師さんに見てもらうためだ。

その人、小波津(こはつ)さんというんだけど、かなりの名人で、無痛療法というか、指一本で神経を動かすような治療をするんだよね。ちょうど『北斗の拳』のケンシロウみたいな感じかな(笑)。

終わった後は、ふたりして元気に遊びに行ったよ。「千明さんも行きますか?」なんて誘いもしないんだよ。まったくゲンキンだよね(笑)。


さて、天皇賞を振り返りたいが、メールでエイシンデピュティが降着になったことについての質問が何件かあり、今回はそれについて書いていきたいと思う。

原因は、最後の直線で五十嵐君が乗ったコスモバルクが外側にヨレたことだよね。エイシンデピュティはそれに驚いて、さらにヨレてしまった。結果的にはダイワメジャーアドマイヤムーンをはじめとした4頭の走行を妨害してしまうことになった。

もともとの原因はコスモバルクでありながら、柴山の方がより重い制裁を受けたのは、馬の反応があまりに過敏だったということからだと思う。そこを御すべきだった、ということだよね。こういう制裁はしばしばあるので、特に珍しいことではない。

僕も似たような経験があった。その時は「向こうが悪いのに」と思って抗議したものだ。心中は納得のいかない思いも、悔しい気持ちもあると思うが、柴山は言い訳をしていないよね。そこは彼らしいな、と思う。

ただ疑問に思うのは、五十嵐君が「追い出すとヨレる馬なんです」とコメントしたこと。これまで何回も騎乗している騎手がいうべきセリフではないと思う。同じミスを繰り返している、ということを自分で認めているようなものだからね。

GIで、しかも3強対決ということで、久々に盛り上がりを見せた天皇賞だった。実際に売り上げもアップしているらしいしね。

さらに勝ったメイショウサムソンは石橋からユタカ(武豊騎手)へのバトンタッチ、凱旋門賞回避の無念、そして天皇賞春秋制覇とドラマが満載だった。

そんなレースであったのにもかかわらず、どこか後味が悪いというのは、やっぱり残念だよね。見た人の胸に、チクリと刺さるトゲのようなものを残したのが、今年の天皇賞だったんじゃないかな。

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今日はすごい雨だね。降ったり止んだりだけれど、降った時にザッと来る。明日もこんな感じというから、日曜日の馬場状態は気になるな。天皇賞でシャドウゲイトに乗るカツハル(田中勝騎手)は「重ければ重いほどいい」っていっていた。なるほど、極端な馬場になれば注目したい1頭だ。

その天皇賞は、メイショウサムソンアドマイヤムーンダイワメジャーの3頭に人気が集まりそう。

3強のなかでも期待しているのはメイショウサムソンだ。宝塚記念以来、さらに馬インフルエンザの影響もあり、状態面が焦点になっているけど、調教を見た感想では、態勢は整っていると見る。

追い切りでユタカ(武豊騎手)は追っていなかったよね。もし僕が調教師なら、ユタカほどの騎手で追い切るんだから、「追うか追わないかはお前に任せる」というと思う。

つまり、体ができているかどうかの最終判断を乗り手に任せるという事。乗り手が「できてない」と思えば追うし、「できている」と思えば追わない。

現に、これまではビシッと追っているところを、今回は馬なりできたからね。もちろん動き自体も良かったが、そこで僕はピンと来たんだ。ライバルの体調が疑問な分も、この馬が一歩リードという感じかな。

関西馬では、ポップロックの調教も良かった。距離はもう少しあった方がいいと思うけど、3強の牙城を崩すとすればこの馬だと思う。

ペリエはこれまでの勝ちパターンを崩すようなレースをしてくるかもしれないね。ポイントは、今回それがどんな形で結果に影響するか、じゃないかな。結果が出ている馬でパターンを崩すのは、先々を考えればあまり良くないんだけどね…。

メジャーは動き、馬体に迫力が戻っていたのが好材料だね。外枠もこの馬にとってはいいんじゃないかな。外から被されると走る気をなくすタイプだからね。展開的には逃げる可能性もあると思っている。調教過程が去年と同じだけど、軽めに追っている事だけが気になるね。

同じ関東のチョウサンは「死ねるかどうか」(自分の競馬に徹する事)がポイントだね。毎日王冠のような脚が使えるかどうかはそこにかかっている。

さて、3強で最後に残ったムーンだが、残念ながら僕の目にはいい状態のようには映らなかった。先週、今週と2週続けて追い切りで首が使えていなかったし、反応も鈍かった。とてもいい動きとはいえないんだ。

3強といわれる天皇賞だが、そのなかで唯一不安を感じたムーン。僕の嫌な予感が当たれば、力を出し切れずに終わり、2番手グループが台頭する呼び水になる可能性も十分にあると思っている。

今年の天皇賞は、アッと驚くようなレースになるかもしれない。

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今朝は美浦トレセンに『ウハウハ競馬』のメンバーが。鈴木和幸さん、我山亜希子さんらと天皇賞出走馬の追い切りを取材したんだ。その成果は土曜日の放送で報告させてもらうから、みんなぜひチェックしてほしい。

さて、追い切りだが、まずマツリダゴッホから。北馬場のダートコースで3頭併せをしていたんだけれど、終始馬なりだった。乗り手も少し手を動かした程度かな。もうほぼ仕上がっているんだろうね。好調キープというところだと思う。

前走毎日王冠でレコード勝ちを飾ったチョウサンは、坂路で併せ馬。ウン、良い雰囲気だったね。本番でも面白い存在になってくるんじゃないかな、って期待を持たせる動きだった。

最後は美浦の総大将・ダイワメジャー。GI実績は間違いなくトップの有力候補だけに、追い切りの様子も、誰もが固唾をのんで見守る、という感じだった。

いやぁ、良い動きだったよ。前走時の追い切りでもの足りなく思えた迫力も復活していて、1回叩いた上積みを感じさせた。

時計的にはそれほど速くなかったんだけれど、走る気持ちが出てきているんだよね。これが何より大きいと思う。毎日王冠よりも良い状態な事は確か。美浦の総大将はまだまだ健在、という感じだ。

もうひとつ、スワンS組では、キングストレイルに騎乗予定のカツハル(田中勝騎手)に話を聞いた。「馬が変わってきているんだ」って凄く強気だったね。普段はあまり強気なコメントを出さない男だけに、自信のほどが感じられた。こちらも注目したい1頭だね。

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菊花賞の、京都コースの3000mについていろいろと教えた事もあって、柴山が乗るロックドゥカンブには思い入れを持っていたんだ。

だからスタート後、後方のインに位置しているのを見た時は、「アッ」と思ったね。これはちょっとマズいかもしれない、と。

こういう時の予感に限って良く当たるもので、ロックは4コーナー過ぎでゴチャッとしたところに入って、抜け出すのに手間取ってしまう羽目になった。

ここで、ロックの俊敏な脚を使えないところが出てしまったんだよね。エンジンがかかれば凄い脚を使う反面、スッと反応良く動く事ができないというところが。ちょっとロスがあったのは否めない。

ようやく馬群を縫って、最後の直線は鋭い脚(上がり3ハロン35秒4はメンバー最速)を使って伸びてはいるんだけれど、上手く流れに乗ったアサクサキングスアルナスラインには届かず、結果は3着。

柴山はかなり悔しい思いをしていると思う。「3着でも負けは負け」というのがジョッキーだし、何より1番人気を背負っていたのだから、勝ちたい気持ちはいつも以上だったはずだ。

応援していた僕にとっても敗戦は残念だった。負けて強しのレースだっただけに、惜しかったなァ、っていうのが正直な感想だ。でも、同時に僕はこうも思っている。「これからだぞ」と。

南半球生まれのロックはまだまだ成長途上。柴山だって、これからどんどん良くなる騎手だ。中央に入って3年目。いろんな事を経験して、多くの事を学んでいっている。

競馬は続いていくし、乗り役稼業だって続いていく。ロックも柴山もここからがホントの勝負だ。この人馬のこれからを、大いに期待して見ていきたいと思っている。

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2007年10月19日

水曜日に書いたように、菊花賞でポイントになるのは折り合い。でも、実は有力馬のなかで折り合い面が心配な馬を見つけてしまったんだ。

その馬について触れる前に、まずはその心配が少ない馬について。

ロックドゥカンブは前走のレースを見る限り、折り合い面に不安はなさそうだ。ドッシリしているし、落ち着いている。追い切りではエンジンが掛かってからは素晴らしい伸び脚で、状態の良さが伝わってきた。

距離を不安視する向きもあるようだけれど、僕は持つんじゃないかなと思っているんだよね。鞍上の柴山には京都コースについてできるだけ教えておいた。あとは馬を信じて乗るだけだ。頑張ってほしい。

同じく調教で良い動きだったのがアルナスラインデュオトーン。さらに関東馬のサンツェッペリンブルーマーテル

ヒロ(田中博騎手)のブルーマーテルは、走り方が長距離向きなんだよね。ハミにもたれないで走るというか、いい感じにリラックスして走る事ができる馬。3000mの長丁場だからこそ注目したい。

トライアルのレースが評価されたのか、前々日のオッズで3番人気と、思ったよりも人気が出てきているホクトスルタン。こちらは好調キープといったところ。同じ神戸新聞杯組のアサクサキングスフサイチホウオーはあまり動きが良く見えなかったね。

さて、冒頭の折り合いが不安な馬だが、それはズバリ、ヴィクトリーだ。

確かに、今週の追い切りの動きは抜群だったし、これまでにないくらい折り合っていた。でも、それは前の馬を壁にして折り合うという調教での事で、実戦でそれができるかどうかは別だ。

しかも京都3000mの大外枠というのは壁を作りにくい。スタート後すぐにカーブで、さらにそこからすぐ下りだから。スピードも出やすくなるし、折り合いをつけながら内に入るというのは至難のわざなんだよね。

ただしこのヴィクトリー、潜在能力はメンバーのなかでもピカイチ。それだけに、気になるのは折り合うか、折り合わないかという事。もし折り合えば…あの暴れん坊・エアシャカール以来の皐月・菊花二冠があるかもしれない。

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2007年10月17日

菊花賞は、僕にとっては思い出深い舞台。ヤシマソブリンナリタブライアンに勝負を挑んだレースの事は、忘れられないなァ。

そんな淀の3000mは、いかに折り合いをつけられるかが重要になる。あとは乗り役のヘッドワークかな。距離が長いから、その分戦略的に考える事もたくさんあるんだよね。僕はそこが好きだったけれど、なかには「短距離の方が好き」ってジョッキーもいるからね。そこは個性ってやつかな。

さて、そんな長丁場に臨む馬たちが、今朝も追い切りを行っていた。

美浦で注目したのはサンツェッペリン。調教師自らが跨って、南ウッドで併せ馬。時計的にはそれほど速くなかったけれど、動きを見れば前走時から調子が上がっている事は一目瞭然。元々叩き良化型でもあり、1回レースを使った事で変わってきているんだろうね。距離が延びて良いタイプだし、良いレースを期待したい。

朝一番で追い切ったヒロ(田中博)のブルーマーテルもなかなかの動きだったね。特に首の使い方が印象に残った。ヒロは京都3000mがはじめてだから、良く教えておかないとな。

栗東ではフサイチホウオーが気になる。神戸新聞杯の敗戦からどこまで立て直しているか、だ。先週の秋華賞とは違って混戦模様だけに、潜在能力の高いこの馬は軽視できない。距離はどの馬にとっても未知数だから、やっぱり折り合い次第。ホウオーに関しても、ポイントはそこだろうね。

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レースで何よりも大切なのは、流れに乗る事。それができたダイワと、できなかったウオッカ、ベッラで3強の明暗はハッキリと分かれた。

流れに乗ったダイワスカーレットのポイントは2コーナー過ぎ。飛ばすヒシアスペンに反応して馬が掛かり気味になったが、少し外に開いてヒシを前に行かせる事で、アンカツ(安藤勝騎手)は馬を落ち着かせた。

あそこは、さすがアンカツといったところ。そこからは完全にこの馬のペース。逃げ馬とも後続とも離れた2番手で、気持ち良さそうに走っていたよ。

ダイワを追いかけなかった川田の騎乗を疑問視する人もいるけれど、個人的には、しょうがないかな、と思う。自分の馬に色気を持っていたんだろう。そんな時は、前の強い馬を無理に追いかける策はなかなかとれないものだ。

乗り役ってのは、「下手に動くと負ける」って心理になる時があるんだよ。

同じように、ウオッカの四位も責められない。勝てなかったんだからベストとはいえないが、ベターなレースをしていたからね。

スタートをゆっくり出たのは、掛かってしまった宝塚記念の教訓を生かしたんだろう。それに久々を考えて折り合いに気を付けたいから、ダイワを追いかけるようなリスクの高いレースはできない。

そうなると、あの位置取りはベターだった、という事になるんだよね。まぁ結果的には、あそこでは流れに乗る事ができなかったんだけれど。

レースの流れに乗るのが巧いユタカ(武豊騎手)も、テンションが高くなってしまったベッラレイア(追い切り時の不安が的中してしまった)を落ち着かせるために、後方のインで我慢せざるを得なかった。これもやむを得ないね。

なんだか「仕方ない」「やむを得ない」ばかりになってしまったが、各ジョッキーの心理や馬の癖など、すべてが絡まってレースは流れていくんだ。

その流れを、どれだけ自分の方にたぐり寄せられるかで勝負は決まる。そこをアンカツが完璧にできたというのが、今回の秋華賞なんだよね。


勝ったダイワの次走はマイルCSというプランもあるらしい。そうすると、メジャーとの兄弟対決だよね。アンカツがどっちを取るか、そこも興味深い。

エッ? 僕なら? ウ~ン、将来性を取って、スカーレットかなァ。

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ハッキリいって、これだけのメンバーが揃う秋華賞っていうのも珍しい。

ダイワスカーレットローブデコルテはもとより、NHKマイルCの覇者ピンクカメオ、さらにはダービー馬ウオッカと、牡馬相手にGIを制した強豪の参戦で、かつてないほどレベルの高いレースが見られそうだ。ホント、胸が高鳴る感じだよね。

これらGI馬のなかでも、やっぱりダイワとウオッカの力は抜けていると思う。特にダービー史上最速のラストスパート、上がり3ハロン33秒0の脚を使ったウオッカ。僕はこの馬がダイワ以上の存在、能力的にはこのメンバーで1番だと思っている。

ただ、追い切りの動きでは、ダイワに分があるんだよね。ゆったりとしていて、気持ち良さそうに脚を伸ばしていた。一度使った上積みもある。実際、同世代の牝馬でウオッカに勝っているのはこの馬だけだ。状態の良さを生かせば、ライバルに再度土をつける可能性も十分ある。

2頭に続くのがベッラレイア。ポイントは、先週と今週で、追い切りの動きがガラッと変わった事。ユタカ(武豊騎手)が跨った昨日は、ハミのかかり方からして違った。グッと気合いが入ってきている感じ。

この気合い乗りがいい方に出るか、それとも折り合いに苦労する結果になるのか。そこが2頭に割って入れるかどうかの分かれ目になると思う。だからパドック、返し馬には注意してほしい。

ウオッカ、ダイワ、ベッラの3頭がスムーズなレースができなかった時には、追い込みにかけるピンクカメオ、状態が良いラブカーナ、さらにはレインダンスザレマといった伏兵が台頭してくるだろう。あと、これは穴中の穴、調教の動きが良かったヒシアスペンにも注目してほしい。

隼人(吉田隼騎手)には、「前走とは頭の中を変えてレースをしろ。悔いのないように」と話をしたんだ。

3強以外の馬に乗る騎手としては、間隙を縫うようなしたたかさと、どれだけ馬の力を引き出す事に集中できるかが求められるからね。

果たして誰がそんな騎乗をできるのか。3強・秋華賞のもうひとつの見方として、そんなところに注目しても、おもしろいかもしれない。

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月曜日まで競馬があった関係で、トレセンは火曜日が全休日に。全休日明けは強い調教を控える厩舎が多いから、GI週といっても、今日は追い切りをしている陣営が少なかったね。

そんな状況だったけれど、追い切り馬がいなかった訳じゃない。秋華賞組では4頭かな。そのなかで僕が注目したのは、アルコセニョーラハロースピードの2頭。

アルコセニョーラは紫苑Sが先行して粘り込む味のあるレースだった。まさしく上がり馬という戦績だし、穴候補の1頭に考えている人も多いかもしれない。

追い切りはしまいを伸ばす感じで、動きはまずまず。好調キープという感じじゃないかな。ただ、この馬、調教はあまり良く見えないタイプなんだよね。走りがこぢんまりとしているというか。それだけに状態面が分かりにくいから、パドックや返し馬は注意して見てほしい。

アルコとは対照的に、近走は思うような結果を残せてないハロースピードだけれど、今日の追い切りの動きは悪くなかった。跨った助手に聞いたら、「この間はちょっと苦しがるようなところがあったんですが、今回はそれがなかったんです」だって。前走よりも調子が上がっていることは間違いないだろうね。

本番でそのハロースピードに乗るのがマサミ(松岡騎手)。今朝も会ったから、毎日王冠の話をしたんだ。

色々と話したなかでも印象に残ったのは、「手綱を通して、チョウサンがこれまで大事に乗られてきたんだな、って事が伝わってきました」という言葉。

そういうのって、乗っている方にしてみればすぐにピンとくるもの。ずっと乗っていたノリ(横山典騎手)、それに厩舎スタッフは、チョウサンを本当に大事に扱ってきたんだろう。今回の勝利は、その延長線上だったといえるんじゃないかな。

色んな人が関わって、1頭の馬を作り上げる。そういう事なんだよね。

それに、重賞を勝ってそういう話ができるっていうマサミも、いい事をいうようになったな、って思う。ここだけの話、聞いていてちょっと嬉しかった。

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2007年10月 8日

重賞でのマサミ(松岡騎手)と隼人(吉田隼騎手)のワンツーフィニッシュだった毎日王冠。弟子の活躍は、素直に嬉しいよね。

でも、負けた隼人はやっぱり悔しかったみたい。電話で話したんだけれど、「悔しい、悔しい」って。

自分では敗因を分析できていて、それが余計思いを募らせる感じかな。ただ、乗り役はそうやって辛い気持ちを消化していきながら成長していくものだから、僕はそれが悪い感情だとは思わない。一歩一歩着実に、進んでいってもらえばいいと思っている。

さて、レースを振り返ろう。今回勝負を分けたポイントは、3~4コーナーだった。ちょうどトップガンジョーダイワメジャーに並びかけていったところ。

あそこでアンカツ(安藤勝騎手)は動いた。というより正確には、動かざるを得なかったんだよね。もちろん、ペースのわりに早い仕掛けになることは本人も分かっていたはずだ。

本当は動きたくなかったかもしれない。でも、動かなくてはいけない。なぜなら、自分が動いて勝ちにいかなくてはいけない状況だからだ。1番人気のダイワメジャーに乗る騎手としては、当然といえば当然の心理かな。

これに合わせる形でブライトトゥモローの後藤も仕掛けていった。こちらも同様の心理だったと思うよ。

結果、ハイペースで、人気馬が早めに動くという展開になった。馬の力を引き出す事に集中していたマサミにとっては、まさに「ハマった」というレースになったよね。

それにしても、他の馬に惑わされずにジッと我慢して、あれだけの末脚を爆発させたのは見事だった。

隼人も良く頑張った。道中は他の馬からのプレッシャーも結構キツかったんじゃないかな。シッカリ馬の力を出していると思うよ。

毎日王冠でふたりが見せてくれた頑張り、それに今日は津村も勇人(的場騎手)も勝って、ホントに気分がいい。こんな日くらいは久しぶりに、ほめたままで終わろうとしようかな。

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2007年10月 5日

競走馬は、レースが近づくにつれ自分で体を作るという話は聞いた事があるだろうか。これはホントの話で、もちろん個体差はあるが一流馬であるほど自分で体調を上げていくんだよね。

なぜそんな話をするかというと、今週出走予定の馬の中で、そんな馬がいたからだ。いやぁ、「オッ」と思うほど変わっていたね。

その話の前に、まずは京都大賞典から。ここで僕が注目しているのはポップロックインティライミトウショウナイトの3頭。

特にインティライミは前走の勝ち方を評価している。そこで披露した鮮やかな末脚(最速の33秒3)は、開幕週の馬場でより生きるだろう。

展開も、スローペースの瞬発力勝負になりそうだからね。この馬にとっては有利だと思うよ。スイープトウショウトウカイカムカムの回避で相手も手薄になった。レースの中心はやはり、インティライミじゃないかな。

さて、最初に書いた「自分で体を作る馬」に話を戻そう。それは、他でもない、ダイワメジャーだ。

水曜日の追い切りを見て「動きに迫力が足りない」と書いたのを覚えている人も多いと思うけれど、今日見たら状態がかなり上向いていたんだよね。さすがGI4勝馬、自分で体を作れなきゃ、これほど体調はアップしていないはずだ。

管理する上原調教師も「本当に頭が下がる馬です」っていっていた。この状態なら、大幅に体が減って惨敗した宝塚記念のような事はないと思う。

メジャーに挑む一番手はブライトトゥモロー。強気で負かしにいくのではなく、相手を油断させて直線勝負にかけるような乗り方ならば活路が開けるかもしれない。

後は鉄砲実績のあるエイシンデピュティ、ブリンカー着用でおもしろいピサノパテック、調教からトップガンジョー、それにマサミ(松岡騎手)のチョウサンも忘れちゃいけない。

毎日王冠の注目は、天皇賞(秋)連覇に向けてダイワメジャーがどんなレースをするかだろう。「GI馬の本能」で臨戦態勢を整えた、関東の総大将の走りに期待したい。

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最近は毎日涼しい。ちょっと前までは暑すぎたから、過ごしやすくなったといえばそうなんだけれど、気温は例年を下回っているという。寒暖の差でカゼをひいてしまう人もいるというから、手放しでは喜べないよね。

さて、今日の追い切りについてだが、まずは京都大賞典を予定しているトウショウナイトから。

う~ん、ちょっともの足りない感じを受けたんだよね。というのも、僕のイメージでは気を抜くと悪さをするヤンチャな馬なんだけれど、今日は素直すぎるくらい大人しかったから。

でも、この馬ももう6歳。僕が乗っていた頃は2歳だから、大人になったって事かな。いつの間にか変わっていた親戚の子って感じ? 少し寂しくもあるね(笑)。

東の天皇賞前哨戦、毎日王冠組では、トップガンジョーカンファーベスト、そしてダイワメジャーに注目した。

トップガンジョーは調教師(和田師)がかなり手応えを感じているようだった。「今度は違いますよ」って終始強気だったね。ひと叩きして落ち着きも出てきたし、メンバー的に前が速くなりそうで、この馬が台頭する余地も十分。巻き返しが期待できそうだよ。

次走が40戦目になる8歳馬・カンファーベストは、年を感じさせないほど元気一杯。夏場からの好調がキープできているんじゃないかな。

この馬を買うか斬るか、そこがレースの焦点といってもいいほどの存在がダイワメジャー。南ウッドで5ハロン63秒台と確かにタイムは速いんだけれど、どうも動きに迫力が足りない気がした。入厩遅れという不安もあるし、パドックで注意して見てほしい1頭だね。


最後に、頂いた質問に答えたい。馬場の硬さが馬に与える影響について。

まず前提にしたいのは、あくまでも「馬にとって」硬いか、柔らかいかという事。馬場は馬主体のものだからね。

ということで影響なんだけれど、硬すぎる馬場は馬の脚もとに負担がある。逆に柔らかいと負担は軽減されるんだ。ただ、柔らかすぎると踏ん張れなくて、スピードが出ない。人間でいえばスポンジの上を走るような感じかな。

馬場もバランスが大事という事だ。硬すぎず、柔らかすぎず。馬場を整備する人達は、理想のバランスを追いかけて試行錯誤する事になる。この話はまたいずれ。

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傘の花が開くパドック。アイルラヴァゲインを先頭にした出走馬が周回するなかで、僕の目に印象的に映ったのはアストンマーチャンスズカフェニックスという対照的な2頭だった。

何が対照的だったか。それは「それ以上」という点においてだ。

まず素晴らしかったのは、+10キロながら、それ以上に馬体を大きく見せていたマーチャン。たくましさが増して、どこか可憐さを残していた春当時とはちょっとイメージが違うつくりだったね。10キロ増はすべて筋肉だったんじゃないか、ってくらい。ホント馬が変わっていた。

それに対してスズカフェニックスは、-8キロの馬体減以上に体が小さく見えた。本来はGI馬らしい雰囲気があって、体重以上に大きく見せる馬なのに、だ。ただ痩せたのではなく、筋肉の量が減ってしまった感じ。ヨロ(人間でいう太ももの部分)のあたりが特に目立っていたかな。

結果はご存じの通り(マーチャン1着、スズカ9着)だけれど、それを導いたひとつの要因として、僕はこの対照的な「それ以上」を挙げたいと思う。

馬にとっての±10キロというのは、人間でいえば1キロの増減と同じようなもの。どうしても数字に目を奪われがちだけれど、本当に大事なのは、数字じゃなくて「それ以上」なんだ。

馬体重以上に大きく見えるか、それとも小さく見えるか。競走馬がその力を発揮できる仕上がりになっているかというのは、多くの場合そこから分かってくるものなんだよね。

英二(中舘騎手)が13年振りにGIのトップゴールを駆け抜けた感動のレースはもちろんだが、パドックでの印象がハッキリ分かれた2頭の姿も、強く印象に残った今年のスプリンターズSだった。

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