傘の花が開くパドック。アイルラヴァゲインを先頭にした出走馬が周回するなかで、僕の目に印象的に映ったのはアストンマーチャンとスズカフェニックスという対照的な2頭だった。
何が対照的だったか。それは「それ以上」という点においてだ。
まず素晴らしかったのは、+10キロながら、それ以上に馬体を大きく見せていたマーチャン。たくましさが増して、どこか可憐さを残していた春当時とはちょっとイメージが違うつくりだったね。10キロ増はすべて筋肉だったんじゃないか、ってくらい。ホント馬が変わっていた。
それに対してスズカフェニックスは、-8キロの馬体減以上に体が小さく見えた。本来はGI馬らしい雰囲気があって、体重以上に大きく見せる馬なのに、だ。ただ痩せたのではなく、筋肉の量が減ってしまった感じ。ヨロ(人間でいう太ももの部分)のあたりが特に目立っていたかな。
結果はご存じの通り(マーチャン1着、スズカ9着)だけれど、それを導いたひとつの要因として、僕はこの対照的な「それ以上」を挙げたいと思う。
馬にとっての±10キロというのは、人間でいえば1キロの増減と同じようなもの。どうしても数字に目を奪われがちだけれど、本当に大事なのは、数字じゃなくて「それ以上」なんだ。
馬体重以上に大きく見えるか、それとも小さく見えるか。競走馬がその力を発揮できる仕上がりになっているかというのは、多くの場合そこから分かってくるものなんだよね。
英二(中舘騎手)が13年振りにGIのトップゴールを駆け抜けた感動のレースはもちろんだが、パドックでの印象がハッキリ分かれた2頭の姿も、強く印象に残った今年のスプリンターズSだった。



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