坂井千明・プロフィール

坂井千明
元JRA騎手。現在は競馬番組キャスター(ケイバdeブレイク・BSフジなど)を始め新聞・雑誌で幅広く活躍中。また、乗馬学校、JRAイベントなどでの実地の騎乗指導にも力を入れている。

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坂井千明のコースの達人
元馬場委員長としてJRA全競馬場の改修に携わり培った知識が凝縮したコース本の決定版です。

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メイン

昨日は東西で大きな重賞レースが行われたけど、2レースとも見ていて熱く、楽しくなれるレースだったね。まずは西で行われた神戸新聞杯だけど、ダービー馬の強さが際立ったレースだったと思うよ。勝ったディープスカイと2着のブラックシェルはわずかクビ差だったけど、レースの内容が全然違うよね。

ディープスカイは春まで追い込み一辺倒の馬だったんだけど、今回は中団で折り合い、以前よりも前で競馬をしていた。この位置取りを見て驚いたファンも多かったと思うけど、こういう経験を馬にさせるのは本当に良いことなんだ。この相手に自分の形じゃない競馬をして勝つのだから能力は相当高いと思うよ。今回は体にもまだ余裕があったし、次走はあらゆる面で上積みが期待できるんじゃないかな。どうやら次走は天皇賞に出走するみたいだけど、昨日の走りなら古馬相手でも十分に戦えると思うよ。

ブラックシェルは敗れはしたけど、精神面での成長を感じたね。今回も道中、少し掛かったように見えたけど、春先ほどガムシャラになってないように見えた。もちろん、ユタカ(武豊騎手)がうまくなだめているんだろうけど、以前よりスムーズに競馬をしていたと思うよ。

3着のオウケンブルースリはあの位置からよく追い込んできたね。向こう正面で内にいるのを見たときは、「ちょっと厳しいところに入ったなぁ」と思ったんだけど、最後はダービー馬にコンマ1秒差まで迫ったんだから、ホント大したもんだよ。本番の菊花賞はここからさらに600m伸びるわけだけど、長距離向きのオウケンにも巻き返しのチャンスはあるんじゃないかな。使われるごとにどんどん良くなっているからね。

オールカマーのほうはマツリダゴッホが強い競馬した。まさに完勝といえる内容だったんじゃないかな。ここでは力が1枚も2枚も上だったということだね。

2着に入ったキングストレイルはノリ(横山典)が本当にうまく乗った。スタートして、自分が逃げると周りに主張し、600m(スタートから)を過ぎたあたりで一気にペースダウン。見ていて唸り声をあげたくなるような絶妙な騎乗。あまりにペースが遅すぎたのか、カツハル(田中勝春騎手)が3コーナーあたりで一気に仕掛けたけど、あれも悪くない! このレースには乗り役の色んな駆け引きがあって本当に見応えがあったねぇ。馬券の的中、不的中はあると思うけど、ファンもこういうレースをもっと見たいんじゃないかな。

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昨日のセントライト記念は伏兵馬ダイワワイルドボアが見事に重賞初制覇。鞍上北村(北村宏司騎手)の仕掛けが抜群にうまかったね。マイネルチャールズが動くのを待っていたのかな? チャールズからワンテンポ遅らせてからの追い出しがズバリと嵌った。先週のブログでも書いたけど、この馬は追い切りでも素軽い動きを見せていたし、状態はかなり良かったと思う。陣営の見事な調整と北村の素晴らしい騎乗がうまく噛み合った勝利だったと思うよ。

2着に敗れたマイネルチャールズは仕掛けが気持ち早いかなって思ったんだけど、外からノットアローンがきていたのであのタイミングで動くのは仕方ないかな...。ゴール寸前でワイルドボアには差されたけど、ノットアローンとの叩き合いには負けなかったし、やっぱりいい勝負根性を持っているよね。タラレバを言っても仕方ないけど、良馬場だったら結果は違っていたかも知れないし、昨日の負けは少し運がなかっただけ。あの内容なら次走も大いに期待できるんじゃないかな。

3着に敗れたノットアローンは距離がもつのかなって僕は思っていたんだけど、折り合いもピタリとついていて、いい競馬をしたと思う。ただ、本番の菊花賞はやっぱりこの馬にとっては長いと感じるし、ベストは1600m~2000mあたりなんじゃないかな。

阪神で行われたローズSは重馬場にしてはペースが速かったね。人気のレジネッタはスムーズな競馬をしたと思うけど、先頭に立つのが少し早かったかな。追い込み馬というのは抜け出すと脚を伸ばさなくなる馬が多いんだけど、昨日のレジネッタにもそういうところが少し見えた。まぁ、差されはしたけど、最後はいい脚で伸びてきていたし、あの走りなら本番でも十分に期待できると思うよ。

勝ったマイネレーツェルは馬体もフックラ見せて、状態は良さそうだったし、外枠で揉まれずに行けたのが良かった。春に重賞勝ちを収めている馬でもあるし、終いの伸び脚は鋭かったよね。やっぱり力はあるよ。

2着に入ったムードインディゴには僕も驚かされた。そういえば、この馬について春先にユーイチ(福永騎手)に話を聞いたことがあるんだけど「この馬は秋以降さらに良くなるよ」って言っていた。ムードインディゴは9番人気と周りの評価は低かったんだけど、ユーイチは自信があったのかも知れないね。ユーイチも言っていたんだけど、この馬は良馬場なら、さらにいいらしい!(昨日は重馬場) どうやら本番でもこの馬は面白い存在になりそうだね。

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2008年9月17日

先週のセントウルSは好位で競馬を進めたカノヤザクラが見事に勝利。前回、1000mを使ったことがプラスに働いたようで、いい行き脚で先行集団にとりついたね。結果的にはこの判断が良かったんだと思う。着順を見ても分かるように上位に来ている馬はほとんど前の馬だし、馬場状態、展開を考えて鞍上の小牧くんがいい判断をしたということだよ。ガレていた体も戻っていたし、間隔をシッカリ空けて体調を立て直した陣営も本当にいい仕事をしたと思う。この状態を維持できれば先のスプリンターズSでも勝負はできるんじゃないかな。

2着のシンボリグランは先行するとは思わなかったね。前回もカノヤザクラに敗れているようだけど、この差はやっぱり最後の決め手だろうね。まぁ、力は出し切ったと思うし、自分の競馬はできていたと思うよ。

3歳馬のスプリングソングが逃げ粘っての3着。4カ月ぶりの実戦だったようだけど、この馬は間隔が空いてもコンスタントに力が出せるようだね。先週のブログでも書いたけど、調教の動きは本当に良かったし、やっぱり状態はかなり良かったようだね。いいスピードを持っている馬だし、秋以降も結構活躍が期待できるんじゃないかな。

1番人気のスズカフェニックスは出遅れが響いたね...。3コーナーあたりからスッと上がって行ったけど、もう少し仕掛けを我慢してもよかったんじゃないかな。8着に敗れはしたけど、スピード、瞬発力は間違いなくトップクラスだし、スプリンターズSでの巻き返しは十分にあるはずだよ。

京成杯AHはダンツキッスイ、ゴスホークケン、クーベルチュールがやり合ってかなりのハイペースになった。勝ったキストゥヘブンは後方待機策、鞍上のシンジ(藤田騎手)はこの展開を読みきった冷静な判断をしたね。仕掛けのタイミングも絶妙だったし、この馬のいいところをうまく引き出していた。さすがGIホース、最後の伸び脚は際立っていたよ。

昨日行われた朝日CCはドリームジャーニーの強さを再確認できるレースだったね。坂を上がってからエンジンがかかったように見えたけど、最後の決め手は別格。もっと大きな舞台でも活躍できる馬だし、秋のGI戦線でもかなりいいところまでいけると思うよ。

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2008年8月18日

ヤマニンメルベイユが楽にハナを切り、1000m通過が61秒ほどの超スローペースだったクイーンS。ただでさえ開幕週の馬場で逃げ馬有利の状況なのに、このペースで終始単騎で逃げられては、他の馬にはどこにも付け入るスキがなかった。

どの馬が逃げるにせよ、逃げた馬に展開利があるのはレース前からハッキリしていたこと。だから僕は先行争いが激しくなって、もっとゴチャゴチャしたレースになると思っていた。だけど、ハートオブクィーンが無理せず簡単に2番手に抑えたことで、この異常な流れになってしまったように思う。

そんな展開のなか、レジネッタは3コーナー過ぎから早めの進出。もっと一気に仕掛けて行きたいところだが、このペースで内側に馬が密集してコースロスが大きい。それに、この馬は一瞬しかいい脚を繰り出せないから、ああいうレースをするしかなかったね。それでもあれだけの不利な状況で2着というのは非常に価値がある。今回は自分で競馬をつくれない部分が出てしまったけど、一応の力は示せたんじゃないかな。

プラス24キロで出走したエフティマイアは2着と差のない5着。桜花賞前までは今回のように窮屈な競馬をすると力を発揮できなかったところがあったんだけど、昨日のレースではあきらめないで粘りを見せていた。これは大きな成長だね。もともと素軽い動きをする馬だから、今回の洋芝でのレースは合っていなかった感じもある。それだけに、ひと叩きされた次回は期待できると思うよ。

注目のユキチャンはスタートがちょっと遅かった。それに今回はペースがペースだけに、シュッと切れる脚がないこの馬には厳しい展開だったね。4コーナーでもエンジンがかかり切らずにどんどん他馬に入られてしまったのも痛かった。現状ではやはりダートの長距離がこの馬に合っているのだろう。

北九州記念はスリープレスナイトの圧勝。こちらはもう文句のつけようのない勝ちっぷり。スタートからダッシュよく自分の競馬・自分のペースでホントに危なげなかった。ダートで実績があって馬場が荒れても力を発揮できそうだから、スプリンターズSも道悪になって他馬が苦労するようなら、大きなチャンスがあるんじゃないかな。

あとは人気薄で4着と健闘したマッチメイト。他の馬とは違う内ラチ沿いでの競馬で「何とかして勝機を見出す」という、勝負に徹する川島の気持ちがレースから伝わってきた。軽量とはいえ能力的によく頑張ったといえるし、いい騎乗を見せてくれたね。

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2008年7月 7日

先週の福島は、見た目には馬場が荒れているように見えたかもしれないけど、内側を通った馬がジリジリと伸びているようにそんなに悪くはなかった。これは芝がハゲていたものの、根っこがシッカリと地面に根付いていたぶん、ボコボコにならなかったからだと思う。福島の馬場は僕が現役だった頃より、だいぶ管理されているね。

そんななか行われたラジオNIKKEI賞は、直前にかなり激しい雷雨。一時はどうなるかと思ったけど、レース発走時刻にはピタッと収まったから、馬場にはそんなに影響はなかったんじゃないかな。勝ったレオマイスターも雷雨で雑音に慣れたのか、レース前は非常に落ち着いていたように見えた。

レースは果敢にルールプロスパーが逃げるも、向こう正面ではペースが落ち着いて、1000m通過がほぼ1分という遅い流れ。普通ならそのままズルズルと行ってしまいそうな展開なんだけど、レオマイスターはペースが落ちた3コーナーで動き出すと、そのまま4コーナーもマクり気味に外から脚を伸ばし、粘るノットアローンを交わして勝った。

53キロという軽量もあったにせよ、今回はこの流れを読み切って動いたウチパク(内田博騎手)の好騎乗。最初は流れに乗せて、あとは上がり5ハロンだけの競馬に徹した好判断だ。もし、あのまま動けずにいたら前の馬に楽に逃げ切られたかもしれない。この臨機応変に乗れるところはやっぱりさすがだね。

直線で粘ったノットアローンも、道中2番手で掛かりながらも力は出し切った。早めに抜け出したことで最後差されてしまったけど、勝った馬と同じ斤量ならどうなっていたかわからない。この馬もよく頑張っていたと思う。今回は負けたけど、展開や条件次第で逆転は可能だろう。


函館スプリントSは、キンシャサノキセキが着差以上の勝利。この距離でも掛かるくらいだから、今回の相手ではスピードの差が歴然としていたと思う。追い切りはあまり良く見えなかったけど、一度レースを使ったことで精神面だったり、息の遣いもさらに良くなるだろうから、この先もかなり期待できそうだね。

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2008年6月30日

今年の春のグランプリ・宝塚記念を制したのは5番人気のエイシンデピュティ。最初から決めていたようにウチパク(内田博騎手)がダッシュを決めて、終始先頭を譲らずにそのまま逃げ切った。道中も単騎でマイペースに持ち込めたし、道悪を苦にしなかったのは大きいと思うけど、今回はとにかくシンプルに、自分の競馬ができたことが勝因だろう。

圧倒的な1番人気に支持されたメイショウサムソンも、テンから抑えて外に出し、4コーナーではマクっていくという自分の競馬ができていた。少し位置取りが後ろになってしまったが、スッと反応するような瞬発力がある馬ではないし、コーナーリングが上手くない馬だからこういうレース運びをするしかない。それに馬場が渋って伸びきれなかったこともあるから、今回の2着という結果は仕方がないと思う。でも、この馬の実力は示したし、一番強い競馬をしてはいる。

驚いたのは、あの不利さえなければ間違いなく勝ち負けになっていたインティライミだね。ここまで走ることができたのはインコースでジックリ回れたことと、重馬場が上手いことが要因。だけど、アサクサキングスにぶつけられる不利がありながら、あそこまで頑張るとは思わなかった。前の進路が開けているのとカットされるのとでは、馬の走りは大きく違う。もう少しで大金星も見えていただけに、陣営としては非常に悔しい結果となってしまったね。

あとは、テレビの画面ではあまり映らなかったものの、最後の最後で勢いよく突っ込んできたのがサクラメガワンダー。勝負どころで手応えが十分にあったからこそ、ユーイチ(福永騎手)は大外に回したのだろうが、もしあそこで内を突いていれば、もっと上の着順もあったと僕は思う。結果論っぽくなってしまうけど、そう思わせるくらいサクラメガワンダーの最後の末脚は鋭かった。

人気になりながらも下位に沈んでしまったアルナスラインは、跳びが大きく、いかにも今回は馬場に泣かされた感じ。アサクサキングスも早めに仕掛けたぶん余力がなくなって、直線では内側にヨレてしまった。この馬も渋った馬場で上手く走れていないようだったから、次走以降は良馬場なら見直してもいいと思う。

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先週からついに新馬戦が始まって、競馬もいよいよ新しいシーズンが到来という感じ。早速、土日で6つの新馬戦があったんだけど、例年に比べて能力の違いで逃げ切るような馬が少なく、意外にも終いを活かして勝つ馬が多かったように思う。

新馬戦では、もちろん勝つことも今後のローテーションを考える上で重要なんだけれど、それよりも大事なのが競馬を教えるということ。まずスタートでゲートから上手く出して、ダッシュをつけてからいったん息を入れる。そして直線でラストスパートというように、レースでどのようにすべきかを実戦で馬に体験させてあげるんだ。これを怠ってしまうと掛かりやすくなったりすることもあるから、気を付けないといけない。

そういう点を考えると、先週に新馬勝ちした馬たちは今後に繋がるレースができていたと思う。特に千葉が乗っていたバイラオーラや、ノリ(横山典騎手)のコパノマユチャンあたりは良い競馬ができたんじゃないかな。勝ち方としては印象的だった隼人(吉田隼騎手)のコスモユウコリンは、極端に上がりの速い競馬をしたから脚元が少し心配。2歳馬はまだ骨格がシッカリしていないからね。でも鮮やかなレコード勝ちだったし、この先はとても楽しみ。このあとも注目して見ていきたいところだね。

さて、マーメイドSの話をしよう。とはいっても昨日の結果じゃあ、ハッキリいって回顧のしようがない(笑)。ホントに参ったよ。能力的には断然ベッラレイアが勝つと思っていたんだけど、直線に向いたところではフラフラとしていて、完全に頭が上がっちゃっていたからね。重馬場が得意でないにしても、道中はスムーズに運べていたし、あの負け方はちょっと想定外。馬場が相当悪くなっていたのかも。

でも、マーメイドSのすぐ後に行われた三宮特別はマイルで1分35秒台の勝ち時計。距離は2ハロン短いけど、単純に考えて1ハロン14秒で走れば条件馬でも2000mを2分3秒台、つまりマーメイドSでも十分勝負になったということ。だから1000万クラスのトーホウシャインが勝てたとも言えるんだけど、ベッラレイアザレマブリトマルティスの敗因まではわからないね。今回ばかりはホント回顧に困っちゃうよ。

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CBC賞を勝ったスリープレスナイトは、これまでダートでの実績しかなかったけど、それを感じさせないくらいの強い競馬。好スタートからスッと2番手につけて、道中で少し行きたがるところはあったものの、ほぼ完璧なレース運び。4コーナーの手応えも十分にあったようだし、これは着差以上の完勝といっていいだろうね。いやぁ、今後がホントに楽しみな馬だよ。

2着のスピニングノアールは自分の競馬に徹して、4コーナーも内で我慢してから直線で追い出した。ユーイチ(福永騎手)の乗り方としては文句のつけようがないものなんだけど、今回は勝った馬が強かったし、展開もあまり向かなかったから、これは仕方がないんじゃないかな。

4着は「スンナリ逃げられれば面白い」と思っていたウエスタンビーナス。この馬は同型のタニノマティーニが控えたことで結構楽に逃げられたね。でも、3、4コーナーで外にモタれたぶん抑えざるを得なくなって、上手く勝負どころでスピードに乗れなかったように見えた。左回りはあまり得意じゃないのかもしれないけど、逆に右回りで内にモタれるのはロスにならないから、再度右回りのこの距離で期待したい。

1番人気に推されていたトウショウカレッジは、池添が4コーナーまでは上手く乗っていた。だけど、一か八かで内に入れると、直線では内も外も出るところがなくなってしまい結局9着。人気を背負っていただけに残念ではあるけど、今回は力負けではないし、勝負にいって行き場を失ったのだから仕方がない。

関東メイン、エプソムCはノリ(横山典騎手)のファインプレー。内側の馬場が悪くて直線は各馬が横いっぱいに広がったけど、そのなかでもサンライズマックスはホントにスムーズな競馬ができていた。最終追い切りの動きは決して良い動きではなかったんだけど、ノリが上手く馬の力を100%発揮させたね。

ファインプレーっていうと、すごい騎乗をしたとみんな想像するのだろうけど、僕は「ミスをしないこと」がファインプレーだと思っている。今回のノリはまさにそれ。特にここがすごいという騎乗ではないんだけど、悪いところも1つもなかった。ホントに文句のつけようのない騎乗だったね。

一方で「負けて強し」というレースをしたのがユタカ(武豊騎手)のヒカルオオゾラ。向こう正面では少し掛かっていて、早めに抜け出すハメになりながらも2着を確保するんだからね。この馬は強い。"たられば"になるけど、もし掛からずスムーズに運べていたら、この馬が勝っていたんじゃないかというほど。昇級戦・初重賞でこれだけやれるんだから、力があるのは示したし今後も要チェックだ。

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昨日は水曜日に追い切りを行った馬を中心に話したから、今日は木曜追いで動きが良かった馬について話していこうと思う。まずは前回のテレビ愛知オープンで後方からよく追い込むも4着に終わったスピニングノアール

この馬は休み明けを1度叩かれたんだけど、調子が上がってきたようだね。動きにキレがあってなかなか良く見えた。後ろから競馬をする馬だから、どういうふうに馬群をさばくかが大きなポイントなりそうだけど、まぁ、ユーイチ(福永騎手)なら大丈夫だと思うよ。

あと、久々の芝のレースに出走するスリープレスナイトも良かった。上村が跨って稽古をつけたんだけど、反応も良くて伸び脚は鋭かったね。ダートでしか実績のない馬だけど、最終週で馬場が荒れてきているし、走り方からも芝が向いていないとは思わない。持っている能力を発揮できれば十分やれるんじゃないかな。

この2頭とは逆に、あまり動きが良くなかったのがカノヤザクラ。この馬も休み明けを1度叩かれたんだけど、イマイチ調子が上がっていないように感じる。追われて内にササっていたし、良い頃と比べると僕にはいい動きには見えなかった。

今の中京の馬場状態を考えるとダートで実績を残してきた馬でも、リミットレスビッドワイルドシャウトが好走しているように、今年も良い成績が残せるかも知れない。荒れた内側の馬場を嫌って外へ回る馬が多くなると思うけど、そのぶん内を上手くさばければ、ロスのない競馬ができるわけだからチャンスがあると思う。最終週の開催ということを頭に置いてレースの予想をした方がよさそうだね。

あっ、そうそう、昨日は取り上げなかったんだけど、エプソムCに出走するサンライズマックスも「どうかな~」という感じの調教内容だったから付け加えておくよ。体全体を使った走りができていないようで、体が硬くなっているのかも知れないね。それとこの馬は黒鹿毛なんだけど、これから暑くなって陽射しが強くなると、真っ黒の馬体はマイナスになるんだよ。それは人間が夏に黒いTシャツを着るのと同じだと考えて欲しい。そろそろ夏バテになる馬も出てくるから気を付けたいところだね。

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最終追い切りでは少し馬体が細く映ったものの、安田記念で発表されたウオッカの馬体重はプラス8キロ。パドックでの周回や返し馬も、勝ったダービーの時と同じようにとても落ち着いていた。正直、追い切りの動きはあまり良く見えなかったんだけど、結果的に精神面を重視した調教パターンがこの馬に合っていたのだろう。やっぱり若くしてGIをいくつも勝っている角居調教師はさすがだね。

レースはそのウオッカに初めて騎乗する岩田が思い切って先行した。これは好判断だったね。すぐに先団のインに潜り込めたことで、ウオッカはそのあと落ち着いて走れていたし、2番手に付けていたアルマダがいい感じに壁になってくれた。もちろん、馬の力に自信を持っているからできることなんだけど、テン乗りのぶん今までの固定観念がないから、こういった思い切りのいい騎乗ができたんだと思う。

そんなウオッカの横から、果敢にハナを奪ったのはコンゴウリキシオーのシンジ(藤田騎手)。あれだけ押して前に出れば、どの騎手も「ハイペースになるだろう」と思って控えようとするだろう。だけど中間の半マイルは46秒2と、思ったほどペースが速くならなかった。これは流れが速くなると見せかけたシンジの上手さ。その結果、直線の坂まで先頭をキープできたわけだし、バテることなく6着に粘る結果にも繋がったね。

でも、コンゴウがどれだけいい競馬をしようと、このペースで絶好の位置にいたウオッカには関係なかった。3、4コーナーもロスなく内側を通っていたし、追い出しのタイミングも残り400mまでシッカリ我慢した完璧なレース運び。一番強い馬に一番流れが向いては、他の馬は手の出しようがなかったと思う。

香港勢の一角、アルマダもスムーズで無駄のないレースをしたけど、決め手の差が出て2着が精一杯。スズカフェニックスもスタートで出負けして、それから慌てて馬群に突っ込んでは厳しかった。この馬たちにとって今回は、展開のアヤというか、流れが向かなかったように感じる。上位3頭がいずれも先行した馬たちだったことからも、それは明らかじゃないかな。

とはいえ、久々のマイル戦で4着にまで追い上げたエアシェイディには驚いた。「気性的に落ち着いてきたからマイルはどうかな」とも思っていたけど、これだけの走りをするんだからね。今ならマイルで差したり、2000mで先行したりと、どんな競馬でもできるといった感じ。後藤も今回の内容を受けて「展開に応じた競馬ができる」と確信したと思う。それだけに次走で一番変わってくるのは、エアシェイディかもしれないね。

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昨日のダービーはNHKマイルCを制したディープスカイが、中2週という過酷なローテーションを乗り越えて見事優勝。レース前は2000m以上のレースで実績がなく、前走から一気の距離延長ということもあり不安が囁かれていたが、それを全く問題にしない圧勝だった。

ペースは逃げたレッツゴーキリシマだけが飛ばす流れで、2、3番手以降はそんなに速いわけではなかったが、四位は焦ることなく冷静に周りを見て、後方でホントに馬を楽に走らせていた。前走のNHKマイルCでも、道中で楽に走らせる競馬ができていたから、その内容がこの大舞台で活きたんだと思う。レース間隔がなくてもプラス体重と、状態が非常に良かったことも勝因だろう。

レースはまず1コーナーでブラックシェルの進路が狭くなる不利。ユタカ(武豊騎手)にしてみれば「あれがなければ」というかもしれないけど、挟まれて後ろに下げたことによって、僕は上手く後方で落ち着くことができたんじゃないかと思う。というのも、挟まれるまではハミをくわえ込んで走っていたから、もし挟まれずにスムーズに進んでいても、あとで掛かりやすくなってしまったんじゃないかな。

逆にスタートで少し遅れたものの、スムーズに先団につけることができたのがスマイルジャックだね。スタートで特に接触することもなく、2コーナーを回ったあともゴチャつかないところでジッと我慢。スプリングSのように積極的な競馬で自分の流れに持ち込み、単独3番手で気持ちよく走らせることができた。他馬に突っつかれると弱いところがある馬だから、このポジショニングで上手く流れに乗れたことは大きかった。これが結果的に最後の粘りに繋がったと思う。

マイネルチャールズレインボーペガサスは、同じようなスタートから同じような位置取り。だけどレインボーの場合はゴチャついたところですでに掛かり気味。さらに2コーナーで外に出して前に壁がなくなると、完全に行きたがってしまったね。直線で伸びきれなかったのは、このロスが原因だと思う。チャールズの道中はマサミ(松岡騎手)が馬群に入れて上手く折り合っていた。でも直線は渋太く伸びているものの、切れがイマイチ。仕掛けのタイミングなどはバッチリだったけど、今回は決め手の差が出てしまったようだね。

とにかく今回のダービーは四位が自信を持って乗っていたし、勝負所でも冷静に前を見ていた。また、4コーナーで少し詰まるところはあったけど、馬の力を信じて最後の最後まで追い出しを我慢できていた。自信を持っているからこそ、こういう冷静な判断ができるわけだけど、ダービーという大舞台でこういう騎乗ができるんだから四位は素晴らしい騎乗をしたと思う。

四位もいい騎手なんだから、来週のウオッカも乗せてあげればいいんじゃないかな。今の競馬の世界はちょっとおかしいと思っちゃうよね(笑)。

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昨日のオークスは2歳女王のトールポピーが馬群を縫うように抜け出して勝利。直前の追い切りがかなり軽い内容だったから、こんな調整で大丈夫なのかって心配になったけど、どうやら状態自体は問題なかったようだね。パドックでの気配も「桜花賞よりは良くなったな」という程度で、そんなに良くは見えなかったけど、この馬のゆったりとした走りや、他馬にぶつかっても怯まない勝負根性があの展開に合っていたのだろう。

そのパドックで一番良く見せていたのはエフティマイア。結果的に2着に食い込んだわけだけど、馬体の張りにしても、柔らかい歩様にしても、前回よりも随分と良くなったように感じた。レースでも道中はちゃんと我慢できていたし、直線でゴチャゴチャした内側とは関係なく、スムーズに走れたのも好走できた要因だと思う。マサヨシ(蛯名騎手)はホントに文句のつけようのない騎乗をしていたよ。

レジネッタマイネレーツェルソーマジックに関しても、この馬たちなりの良い競馬ができていた。けど、直線で前を塞がれる不利があったのが痛かったね。あれがなければもう少し好勝負していただろう。

一部のマスコミでは池添のあの騎乗に対して、批判的に取り上げているところがあった。でも勝負事なのだから、多少乱暴な騎乗になってしまっても勝ちにいかなければ仕方がない。もしあのまま控えていたら、5、6着に終わっていたと思うし、池添が内に切れ込まなければ今回の勝ちはなかった。

抜け出せるだけの脚がなければあんな騎乗はできないのだから、その騎乗に対してとやかく言うべきじゃないと思う。勝ちが目の前にあるのに黙ってジッとしている騎手なんかどこにもいないし、池添にしたってあれは騎乗停止を覚悟しての乗り方だっただろう。勝負の世界なら当たり前のことなんだから、乗り方はともかく、僕は池添の「勝ちたかった」という気持ちを評価してあげたい。

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2008年5月19日

1000メートル通過が1分ジャストという超スローペースだったヴィクトリアマイル。スタートしてから行きたい馬が全くいなかったし、どの馬も1番人気のウオッカを牽制するように控えたぶん、直線だけの瞬発力勝負になった。そういう展開だったから、結果的に道中でウオッカよりも後ろに控えた馬たちには出番がなかったね。

1200、1400mでしか実績のなかったエイジアンウインズだけど、スピードがあるにもかかわらず、今回は無理をしないで好位でジックリと待機。普通ならペースが遅いから前に行きたいところなんだけど、結局これが最後の伸びに繋がったし、初めてのマイルを克服する要因にもなった。また、直線で狭いところを突く勇気も素晴らしかったし、上手く流れにも乗れていたと思う。今回の勝利はシンジ(藤田騎手)の好判断によるところが大きい。

ウオッカは道中でちょっと窮屈になるところがあったけど、折り合いを欠くことなくスムーズな競馬ができていた。やっぱりマイルの速い流れは合っていたようだね。ただそれだけに、敗因がハッキリしない感じも受ける。能力的に7~8割のデキでも勝てると思っていたけど、馬体重はデビュー以来で最も軽い478キロ。上がり33秒台の末脚を使ったとはいえ、最後はツメが甘かったし、本来の状態ではなかったのかもしれない。

3着は後藤が上手く乗ったブルーメンブラット。でもあれだけ上手く乗ったのに勝てないというのは、この馬にとって距離が長いんだと思う。直線も最後の坂を登ってからは脚が止まっていたからね。ベッラレイアは久々ということもあってか、一生懸命に走りすぎて力んでしまっている感じ。位置取りもいつもより前で楽ができていなかったから、伸びを欠いてしまったように見えた。シャドーロールを付けて追い切りの動きが変わったローブデコルテも注目していたんだけど、全く見せ場をつくれず14着。この馬は集中力以前に何か精神面で問題があるんだろうね...。

あと、隼人(吉田隼人騎手)のニシノマナムスメは3番手で先行する積極的な競馬。勝ちにこだわった隼人なりの答えだったのだろうけど、結果的に馬の長所を活かせずに終わってしまった。期待していたぶん僕もかなり悔しいけど、現時点ではGIで人気馬に乗ることが少ないから、この経験を大事にしてこれからも頑張ってほしいと思う。

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昨日のNHKマイルCはディープスカイの圧勝。内側の馬場が荒れていたこともあって、馬場の2分~3分のところに馬が密集した流れだったけど、そのなかでもディープはちゃんと折り合って落ち着いたレース運びをしていた。

この馬は未勝利を突破するのに6戦も要しているけど、勝ち上がったあとは差しの競馬もだいぶ板についてきた。前走の毎日杯の勝ちっぷりはとても良かったし、馬が1戦ごとに競馬を覚えてきている。馬の仕草を見ていると気性的に子供っぽいところもあるけど、そのぶんまだ成長が見込めると思うからこの先がかなり楽しみな馬だね。

前走の皐月賞は6着に敗れたものの「跳びが大きいからコーナーが緩やかな東京コースなら見直せる」と感じていたブラックシェルが2着に入った。スタートから後藤がガッチリ抑えて、持ち前の渋太さを活かす良いレース内容。最後は勝った馬の瞬発力に負けた部分はあるけど、早めに抜け出すというベストの競馬をして負けたのだから仕方がない。今回はホントによく頑張っていたし、次回以降も期待していいと思う。

ブラックシェルについてはレース前、前脚を投げ出して走るような走り方で、馬場に脚をとられて滑ってしまうことも危惧したけど、それ以上にこの馬にとって立ち回りやすい東京に替り、走りやすくなったという部分が大きかったんだと思う。馬体重が520キロ以上もあるかなり大きな馬だからね。結果論になってしまうけれども、父クロフネというパワーのある血統面も味方したんじゃないかな。

あと、期待していた2歳チャンピオンのゴスホークケンは、好調時の行きっぷりの良さがないように感じた。今回は馬場が合わなかったのかもしれないけど、能力のある馬だからこのまま終わる馬ではないと思っている。

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GI初挑戦だったアドマイヤジュピタの優勝で終わった天皇賞。そのジュピタは腰を低くしている時にゲートが開いて少し出遅れてしまったんだけど、前半は少しペースが速かったから、むしろゴチャつかないところでいい感じに抑えることができたんじゃないかと思う。

レースはまず、スタートでホクトスルタンが好スタートを切ると、そのまま先頭に立って主導権を握った。他にも前に行きたい馬はいたのだろうけど、そこはノリ(横山典騎手)が平均よりも少し速めの絶妙なペースで逃げたこともあって、他の騎手も行くに行けない状態だった。

そしてノリは、1回目のスタンドを通過し終えたところの1コーナーでペースダウン。ここで馬群を引きつけると、また3コーナーを過ぎたあたりから再び加速して、後続の馬に脚を使わせようとしていた。ここまでは完全にノリの思惑通りの流れになっていたんじゃないかな。

だけど残り800mくらいで、アサクサキングスが予想以上に早めに動いた。こうなると、もう少し楽に行きたかったホクトスルタンは厳しくなってくる。他馬もアサクサについていこうと一斉に動き出して、雪崩のようにアサクサ、サムソン、ジュピタが外から襲いかかった。

直線はもうこの4頭の戦いで、そのなかでサムソンを見ながら一番最後に仕掛けたジュピタが鋭く抜け出して1着でゴール。岩田にしてみれば、道中や流れが一気に動いた勝負どころで、ユタカ(武豊騎手)という絶好のペースメーカーが前にいたのが良かった。

瞬発力勝負になればサムソンよりもジュピタに分があるのは仕方がないけど、サムソンはシッカリと最後まで食らい付いていた。あの根性と渋太さはこの馬の真骨頂。昨年あれだけ強かったサムソンがそういう強さを見せてくれたことは素直に嬉しかったね。これは見事に復活したと見ていいだろう。

ともあれ、アサクサが動いた時の騎手同士の駆け引きはとても見応えがあった。この上位4頭はあの勝負どころでの動き方次第で結果も変わっていたと思う。それくらいあの4コーナーは重要だったと思うし、改めて騎手の判断の差が勝敗を分けることを思い知らされたね。

今回の天皇賞はこれぞGIという、良いレースを見させてもらってホントに満足しているよ。

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フローラSを勝ったレッドアゲートは、ホントにソツのない競馬を見せたね。やっぱり前走のフラワーCは明らかに脚を余した内容だったから、直線の長い東京は合っていたんだろう。今回は脚を余すことなく走っていたし、ウチパク(内田博騎手)もペースが遅いのを見計らっていい位置に付けていた。意外な感じもするけど、ウチパクはこれが中央移籍後重賞初制覇。本人に会って直接「おめでとう」と伝えたいね。

2着に粘り込んだのはカレイジャスミン。状態は良かったし、道中も気分良く走っていたね。直線に入ってからの追い出しもギリギリのところまで我慢できていたから、最後まで脚を持たせることができたと思うよ。

キュートエンブレムはマサミ(松岡騎手)が内側に潜り込ませてロスのないレース。14番枠はこのコースでは不利なんだけど、それを上手くカバーできていたね。最初のコーナーで掛かっていたものの、向こう正面に入ってからは落ち着かせていたから、いい騎乗だったと言えるんじゃないかな。

展開に関係なく自分のレースをしたのが4着に入ったメイショウベルーガ。道中は最後方で直線だけの競馬に徹していたね。その競馬がハマってメンバー最速の上がりで好走できたんだと思う。シングライクバードはモロに外枠の影響を受けてしまった感じ。この馬は終始外を通って、他の馬よりも長い距離を走りながら掲示板を確保したのだから、能力の高さは十分に見せた。

ユキチャンもコースロスが響いたね。ジリ脚だから展開が向かなかったというのもあるけれど、もう少し内を通って我慢できていれば、もう少し上の着順はあったと思うよ。白毛ということで人気先行のイメージがあるが、抜かれたあともシッカリ走っていたし、思った以上にユキチャンは強いかもしれないね。

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2008年4月21日

最終追い切りを坂路で行い、抜群の動きを見せていたキャプテントゥーレが皐月賞を制覇。マイナス18キロではあったけれども、みっちり稽古をこなしての馬体減だったから、それを感じさせないスッキリとした体に仕上がっていたね。

馬体重という数字に騙されそうなところだけど、同じように大幅な馬体減のフサイチアソート(マイナス16キロ)とはデキが全く違うように見えたから、僕の眼もまだ錆び付いちゃいないなと再確認できたよ(笑)。

レースの方はまずスタートで、川田がハナに行くようなゲートの出し方。そして思い切って先頭に立つと、向こう正面で上手くペースを落として、単騎で逃げられる絶好のカタチをつくった。中間の1000mは61秒4だったし、ホントにこれは最高の逃げだと思う。この前半の貯金に加えて具合の良さもあったから、最後まで乱れのないフォームで走り切ることができたんじゃないかな。とにかく今回は状態が際立っていたよ。

渋太く伸びて2着を確保したタケミカヅチは、ヨシトミ(柴田善臣騎手)が1枠を上手く利用した好騎乗。スタートからゴールまでずっと内側でジッとして、ロスなくコーナーを回っていたから、これだけの結果に繋がったんだと思う。また、前回のレースで木幡がテンから馬を怒らせるような乗り方をしていたのも、今回の反応と伸びの鋭さに繋がったように感じるね。

マイネルチャールズは3、4コーナーの勝負どころでゴーサインを出した時に、思ったほど手応えがなかったように見えた。折り合いもちゃんとついていたから、これは馬場の影響かもしれないね。ともあれ、ダービーを意識する競馬はできていたし、馬体もマイナス2キロとはいえ大きく見せていたから、皐月賞後の中間も順調に持って行ければ、次も期待できると思う。

もっとゆったり回れるコースがいいな、と感じたのはブラックシェル。跳びが大きい馬だから、ちょっと走りづらそうにしているのが気になった。それに追い出してからジリジリするところもあるから、長くいい脚を使える東京とか、阪神・京都の外回りの方が合っているかもしれないね。

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2008年4月14日

12番人気のレジネッタが勝ち、15番人気のエフティマイアが2着に突っ込むという、まさかの結果となった桜花賞。今思えば土曜日のポルトフィーノの出走取消が、波乱の予兆を示していたのかもしれないね。

もともと阪神の外回りコースはスローに流れる傾向がある。それに加えてこのポルトフィーノの出走取消があって、騎手たちは「前に行けば残れるかもしれない」と思ったんじゃないかな。だから前半の800mが46秒4と速くなったんだと僕は見ている。

道中はその速い先行集団と控えた後方集団が真っ二つに分かれる展開。ペースが速かったわけだから、後者の方が有利な流れではあった。でも、トールポピーはマイナス10キロと本来のデキには見えなかったし、オディールも勝負どころで先行集団を追いかけるのに脚を使わされて、直線は伸びを欠いてしまったように感じた。また、リトルアマポーラも34秒3とメンバー最速の上がりで猛追したとはいえ、あれだけ4コーナーで外に回しては厳しかったみたいだね。

そんななか、自分の競馬に徹することができたのがレジネッタ。この馬はパドックでかなり落ち着いていたし、踏み込みも良かったから非常に良い状態に見えた。レースでは前半から勝負どころまでは掛かり気味だったけど、直線までシッカリと我慢できたぶん、最後まで長くいい脚を使うことができたんだと思う。

4コーナーや直線での不利がなければ勝負になった、と思ったのはソーマジック。4コーナーではオディールに馬体をぶつけられていたし、直線に向いてからはレジネッタに先に抜け出されて前をカットされたからね。終いまでちゃんと伸びているように手応えが十分にあったわけだから、これらの不利は後藤にとって、かなり悔しいものだったと思うよ。

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昨日の大阪杯は、掛かりながらハナを切ったダイワスカーレットがそのまま逃げ切った。この馬はいつもスタートしてから行きたがるところがある。だけどアンカツ(安藤勝騎手)が馬の力を信用して、手綱を放したまま単騎の逃げに持ち込むことができたから、上手く落ち着かせることができたね。そのあとはレースの主導権を握って、最後まで脚を伸ばして粘り込むダイワらしい競馬。普通の馬だったらこの乗り方はできないけど、それをやってのけるんだから強い競馬をしたといえる。

メイショウサムソンは前回の有馬記念と同様に、スタートからユタカ(武豊騎手)が押して先行するカタチ。まだ反応が好調時に戻っていない感じで、道中も力みながら走っていた。勝負どころでも仕掛け気味に外から進出したから、最後は脚が止まってしまったね。もっと気温が上がってくれば昨年の天皇賞時のように変わってくるだろうし、今回は59キロという斤量も堪えたんだと思う。

3着に入ったアサクサキングスは調教でいい動きを見せていた通り、大幅な馬体増をものともせず堂々とした競馬を見せた。このプラス16キロは成長分だろうし、まだまだこの先が楽しみな馬。1度叩いたことで本番にはさらに良い状態で臨めるだろうね。

終始内々をロスなく通ったエイシンデピュティは、力を出し切って2着。鞍上の岩田は前にいたダイワを壁にして、勝負どころでもよく我慢できていたから、最後まで粘らせることができた。GI馬を相手によく頑張ったと思うよ。


一方で中山のメインのダービー卿CTは、外枠の馬が内枠の馬にフタをするようにかぶせたことで、1コーナーでは各馬が窮屈になって大渋滞。後ろの馬たちは行きたくても行けないゴチャついた感じになってしまい、結局前に行った3頭がそのままゴールまで粘り込んだ。

ペースと外枠に恵まれたとはいえ、1コーナーでスローペースになるとすぐに判断し、大外から果敢に先手を取ったノリ(横山典騎手)の乗り方は素晴らしかったね。レースだけを見ていれば、最初から最後まで着順があまり入れ替わらない平凡なレースに見えるかもしれないけど、こういう騎手の判断の差が出るレースは僕にとっては非常に面白い。「さすがはノリ」ってところを見せてくれたね。

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2008年3月31日

これまではスタートから抑えて直線一気の競馬をしていたファイングレイン。幸が前回までに抑えることをシッカリと教えていた甲斐もあり、今回のレースでは放しても掛からずに、とてもスムーズな競馬ができた。今までは相手に合わせた競馬をしていたこともあって、速い持ち時計がなかったけど、今回は自分のペースでレースを進めて速い流れにもキッチリ対応。馬に「競馬を教える」ということが、この本番で見事に活かされた。

2着には、これまでマイルや1400mのレースで掛かっていたキンシャサノキセキが入った。やはり、折り合いを気にせずに走れる1200mがこの馬に合っているのだろうね。また、スタートからハイラップで飛ばした直前の調教が良かったこともあって、馬体も短距離馬らしいコロンとした良い体に仕上がっていた。そんな力を十分に発揮できる状態でレースに挑めたのも大きかったと思う。

1番人気だったスズカフェニックスは、ユーイチ(福永騎手)がハナから押して行こうとしたことで、馬が慌ててつまずいてしまった。ユーイチにしてみれば、前残りの馬場ということが頭にあったから、なるべく前に行きたかったのだろう。今回は結果的に悪い方向に出てしまったけど、僕はこのチャレンジを尊重したい。1番枠で終始窮屈な競馬になってしまったから、3着というのは仕方ないね。

逃げたローレルゲレイロは、外からハナをうかがったエムオーウイナーが早めに控えたことで自分のペースで逃げることができた。この馬も直線で伸びてはいるんだけど、今回は決め手の差でやられた格好。力は発揮できているし、このペースで逃げて4着に粘るんだから今後も期待したい。

スーパーホーネットは久々が少し影響したかな。でもそれなりに伸びているし、4コーナーでは外を回らざるを得なかったから、この結果はしょうがない。次走は叩いて良化してくるだろうから注目だね。


あとは土曜日の日経賞で、マツリダゴッホが昨年とは明らかに違う姿を見せてくれた。折り合いから何までトータルで成長したと感じたし、特に一瞬の切れをシッカリと溜められるようになったのは、今後に向けて非常に大きい。今までは直線の長い東京などで結果が出なかったけど、我慢が利くようになった今なら、その長所を活かして違う結果を出せるかもしれない。

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2008年3月24日

追い込んで届かないような、いつもジリジリとした競馬をしていたスマイルジャック。だけど今回のスプリングSでは、小牧が積極的に前につける競馬をして、持ち味を十二分に発揮させた。少し枠順に恵まれた感じはあるものの、こういうレースを自ら作って勝つのだから立派。これまでに強い相手と戦ってきた経験がここで活きたね。本番に繋がる良い競馬ができたんじゃないかな。

勝ったスマイルジャックとは対照的に、本番に繋がる競馬ができなかったのがショウナンアルバ。折り合いに関しては、この馬の以前からの課題ではあったけど、行かせるでもなく抑えるでもなく、かなり中途半端な競馬になってしまった。ゲートは行かせるような感じで出したのに、結局ハナを切れずに抑えて、引っ掛かったら我慢できずに先頭。本番はさらに1ハロン延びるんだから、これは課題が残るね。そんな気性だから1回くらい、ぶっ放して好きなだけ行かせちゃうか、結果を無視した抑え続ける競馬が必要かもわかんない。力がある馬だからこそ、このままではもったいないと思えてしまうんだよね。

2着には内をスルスルと抜けてきたノリ(横山典騎手)のフローテーションが入った。やっぱりノリは、今の中山の馬場状態をちゃんと把握してるし、ホントに無駄のない立ち回りを見せた。このレースで1番上手く乗ったと思う。ただ、4コーナーで内にササッてしまったのは誤算だろうね。これはこの馬のクセなのか、苦しがっていたのかはわからないけど、あれがなければスマイルジャックを差し切れたと僕は思う。

途中までいい感じだったドリームシグナルは、やっぱり距離が長いかな。でも、気性的にはホント素直な馬で、最後まで頑張っていたから、もう少し上がり重点の競馬をさせれば距離は持ちそう。今回は勝ちに行ったぶん、残り100mくらいで垂れたけど、2000mくらいまでなら乗り方次第でこなせると感じた。逆にアルカザンは最後までシッカリとしたフットワーク。一瞬の決め手には欠けるところがあるけど、ダービーとかには向いてそう。

サダムイダテンは調教は良かったのに、ここでは力を発揮できなかった感じ。もしかしたら輸送に難があるのかもしれないね。体重もプラス2キロじゃ、ベストの体重に戻っていなかった可能性もある。


阪神大賞典の方は、アドマイヤジュピタが強い勝ちっぷり。早め先頭からアイポッパーポップロックの追撃を凌ぎきるんだから大したもの。血統的に長丁場は厳しいと思う方もいるだろうけど、長丁場で大切なのは我慢強さと落ち着き。そういう点でジュピタは、終始落ち着いてレースを運べていたし、このくらいの距離に問題はないと思う。

人気になっていたポップロックは、道中でもハミを噛みっぱなし。ちょっと馬が怒っているような、リラックスしていない状態に見えた。これはまだ本調子ではないのかもしれないね。

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ペースはそれほど速いわけじゃなかったフィリーズレビュー。だけど、先行馬が横いっぱいに広がってゴチャついた競馬になったから、前の方で落ち着いてレースを進めたい馬にとっては、突っつかれるような厳しい流れになってしまった。

そんな流れもあって、先行馬のほとんどは直線で失速。1番人気のエイムアットビップも抑えずにある程度前に行かせたことが、裏目に出てしまった感じがした。仕掛けどころで先行馬が塊になっていたけど、ユーイチ(福永騎手)は馬の力を信じてマクり気味に進出。結果的にこれが距離のロスにもなってしまったね。まぁ、とにかく今回は展開が向かなかったし、熱発明けということで馬の状態も良くなかったんだろう。まだまだこの馬はやれると思うし、また次回に期待したい。

このレースで1、2着だったマイネレーツェルベストオブミーは、ゴチャついた先団を見る絶好の位置取り。掛かるようなところもなくスムーズに流れに乗っていたから、自分の力を100%発揮できた。特に池添の4コーナーの回り方は、スピードを殺さず馬の負担にもならないキレイな乗り方だった。またアンカツ(安藤勝騎手)は、ペースが上がったところでも内でジッと我慢。最短距離を選んだのはとても良い判断だったね。ともに鞍上の判断が、能力以上の結果へ導いたと思う。

中山牝馬Sも、ゴチャついた先団の前でレースを進めたヤマニンメルベイユが勝った。このレースもヤマニンが単独2番手でシッカリ折り合っていたし、ペースも速くなかったから絶好のポジショニングだったと言ってもいいだろうね。

ニシノマナムスメレインダンスは久々で馬に力みがあったし、状態もそれほど良い様には見えなかった。この2頭はスローペースの好位でレースを進めたけど、流れには乗れていなかったね。

これはフィリーズレビューでも同じことが言えるんだけど、スローペースでも馬が流れに乗れなければ、能力を十分に発揮することはできない。逆にペースが速くても、リズム良く運べれば前めのポジションでも馬は持っている力を出すことができるんだ。だからペースよりも、その馬に合ったレースをさせたり、気分良く走らせることの方が重要なんだよね。

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2008年3月10日

先週は土曜日のオーシャンSを隼人(吉田隼騎手)が勝って、日曜の弥生賞をマサミ(松岡騎手)が勝った。2人ともホントにいつも研究熱心に頑張っているから、結果が出て嬉しかったなァ。これからもさらに期待したいところだね。

弥生賞のマイネルチャールズは、2コーナーまで少し掛かり気味。でも、マサミはよほど馬の力に自信を持っていたのか、抑えるそぶりは全くなし。結果的にそれがいい方向に出て、馬の気を損ねることなく流れに乗れたと思う。ただチャールズは、マイナス4キロの体重だったとはいえ、少し細く見えた。それだけに今後はそれをどう立て直すかが、大きなポイントになってくるだろうね。ともあれ、これで中山2000mは3勝目。同じ舞台で行われる本番に向けて、さらに楽しみが広がる内容だった。

前残りの展開のなか、よく追い込んできたブラックシェルは2着。前走からマイナス6キロではあったんだけど、追い出してからの反応がイマイチで、まだ体が太く映った。もう少し絞れてくれば、この馬本来の切れが戻ってくると思うよ。でも、そんな状態なのにシッカリと権利を獲るあたり、やはり素質の高さを感じるね。

いつも自分の力を出して頑張るタケミカヅチは、今回もいい競馬ができていた。けど、この馬は追い込んでも届かないし、先行しても勝ちきれない。こういうタイプはこの先、厳しくなってくるかもしれない。フサイチアソートも、今回はいいところを見せられなかった。この馬の場合は距離だと思う。

このレースで驚きだったのは、5着のテラノファントム。デビュー2戦目であのような競馬ができるんだから、次はもっと変わってきそう。伸びしろはかなり大きいと思うし、今後もちょっと注目していきたい馬だね。


チューリップ賞は、トールポピーオディールが牽制し合う隙をついてエアパスカルが逃げ切った。オディールはあそこまで我慢させる必要はなかったかもしれないけど、馬込みで折り合うような、本番を見据えた乗り方をアンカツ(安藤勝騎手)はしたかったんだろう。結果は伴わなかったが、収穫としてはかなりあったんじゃないかな。

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2008年3月 3日

いつも追い込んで届かなかったカンパニーが、好位抜け出しで勝った中山記念。ノリ(横山典騎手)はスタートしてからすぐに押していたから、あれはレース前から考えていた作戦だと思う。道中は2番手だったけど、そんなに無理をして先行したわけではないから、カンパニーにしてみれば、少しペースが速いレースのいつもの競馬をすればよかった。こういう決め打ちは、テン乗りだからできることでもあるんだけどね。

外から見ればシンジ(藤田騎手)のコンゴウリキシオーが、1000mを59秒で逃げていて主導権を握っていたように見えるかもしれない。でも、レースを動かしていたのは、2番手で前へプレッシャーをかけていたカンパニー。馬は戸惑うこともなく、流れにもちゃんと乗れていたから、自分の競馬ができていたね。逆にコンゴウリキシオーは、後ろからのプレッシャーもあったけど、あのペースで最後たれてしまうのだらから、本調子ではなかったんだと思う。

終始内ラチ沿いを通っていたエアシェイディは、4コーナーで窮屈になってしまって動くに動けない状態。こうなってしまうと厳しい。でも今回は力負けではないし、スムーズな競馬ができていれば勝ち負けになったと思う。まだ今後も期待できるよ。

エイシンドーバーは上手くハマったけど、この競馬で勝てないっていうのはキツいね。平均的に高い能力があるけど、飛び抜けた特長がないから、今回みたいにペースやいろいろな要素が揃わないと、いいレースはできない。


西の阪急杯は、ローレルゲレイロが楽な競馬で逃げ切った。注目していたスズカフェニックスは59キロを背負っていたから、ある程度前へ行って、馬に負担をかけない騎乗をユタカ(武豊騎手)はしていた。昔は1200mでも掛かりやすい面があったけど、今回の競馬を見ても、そんな面は全くみせていない。直線でも狭いところから伸びてきたし、この馬はもう、完成された古馬といえるかもね。

土曜日のアーリントンCに出走したポルトフィーノは、去年のアストンマーチャンを見ているよう。カリカリして返し馬もロクにできなかったから、精神面の成長が課題だね。

返し馬は予想の時にあまり参考にされないけど、1頭1頭で違う特徴があって面白い。その違いを見極めることができるようになれば、予想にもかなり役立つんじゃないかな。

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2008年2月25日

金曜日にこのブログで「動きが少し重そう」と書いたとおり、ヴァーミリアンの昨日の馬体重はプラス7キロ。他の馬とは実力が違うとはわかっていても、フェブラリーSのレース直前はそれだけが心配だった。

でも、レースではそんな不安を一掃したね。スタートも良かったし、マイルの流れにも全く戸惑うところがなかった。4コーナーでは少し外めを通ったけど、あれは完全に馬なりの状態。スタートしてから隣のワイルドワンダーにマークされるカタチになったけど、逆にマークしているワイルドの方が脚を使わされてしまったね。まぁ、これは勝ちに行ったぶん、仕方のないことなんだけど。

上手く立ち回ったな、と思ったのは幸のブルーコンコルド。GIだからみんな勝ちに急ぐところがあるもんなんだけど、直線に向いて前が開くまで追い出しをシッカリ待っていた。そのぶん、早めに動いたワイルドを最後にかわすことができたんだと思う。

リミットレスビッドに乗っていたマサヨシ(蛯名騎手)も、もう少し仕掛けを遅らせることができれば、上の着順はあった。けど、これも勝負に行ったぶん、伸びを欠いてしまったのは、GIだから仕方のないことかもしれないね。

このレースは、誰かが特別に上手く乗ったとか、下手に乗ったとかはなくて、実力通りに決まったレースだった。フィールドルージュはスタート直後にアクシデントがあって、残念な結果になってしまったけれど、馬のためを思ってレースを止めたノリ(横山典騎手)の判断を僕は尊重したい。

ともあれ、これでヴァーミリアンはGI4連勝。ドバイは各国の強豪馬が揃うレースで、ペースも速くなる傾向があるけど、この馬にはそんなペースが合っているだろうから、ぜひ期待したいね。

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2008年2月18日

ステイヤーの「Stay」って、我慢するとか、抑制するという意味があると思うんだけど、3400mのこのレースは、まさに「我慢」が必要とされるレース。

アドマイヤモナークについては、乗ったことがある一誠(村田騎手)が「すぐ怒るところがある」って言っていたから、この距離では我慢できないと思っていた。だけど、道中はケンカすることもなく、アンカツ(安藤勝騎手)がうまく折り合いをつけて乗っていたね。57.5キロという斤量も背負い慣れているというか、全く苦にする様子もなかったぐらい。追い出しのタイミングも、他の馬が仕掛けてから待つくらい余裕があったから、完全に本格化したといえるんじゃないかな。

スタートしてからゴールまでの6つのコーナーを、最短距離で回ったコンラッドも、最後方でシッカリ我慢できていた。カツハル(田中勝騎手)は本当にキレイに立ち回ったと思うし、無駄のないレース運びを見せたね。

3着のレーザーズエッジはハンデに恵まれたとはいえ、よく頑張っていた。この距離が合っていたのだろうし、次につながるレースはできたと思う。マサミ(松岡騎手)のエーシンダードマンは、少し流れが向かなかったかな。4コーナーではどの馬も手応えがあったから、位置取り的にも外を回らざるを得なかった。それでも、ここまで追い込んでくるのは、菊花賞で4着している実力だと思うよ。ブラックアルタイルが伸びかけたのに伸びなかったのは、距離の壁かもしれない。


西のメイン・きさらぎ賞は、乗り方によっては面白いと、金曜日に言っていたレインボーペガサスが勝った。スタートして2、3ハロン目くらいまでは、折り合いを欠いてケンカしていたけど、ペリエが手綱をガッシリ抑えて上手くなだめていた。抑えることを馬に教えながらも結果も残したのだから、最高の騎乗と言ってもいい。ただ、次も掛かって我慢できないようだと、さらに距離が延びるのは厳しいとも感じた。

スマイルジャックレッツゴーキリシマは、スタートして好位のポジションがとれているように、万全の競馬ができていたよね。でも、レッツゴーキリシマは外枠からの発走で、前に壁が作れなかったのが痛かった。気性的にカリカリしている点が直れば、持ち味の先行力をもっと活かせるだろうね。

ブラックシェルは体が重そうだったし、出遅れたのが痛かった。ペースもそんなに速くならなかったし、あれだけ外を回っては厳しいね。アルカザンはブラックシェルをマークしていたから、この結果は仕方がない。この2頭は次走以降、まだ見直せると思う。

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共同通信杯はショウナンアクロスが果敢にハナを切って、1000mを58秒台で引っ張った。でも、後続とは10馬身ほど離れていたから、後ろの集団にとっては平均から、やや遅めのペースだったね。

勝ったショウナンアルバは道中、集団の2、3番手の位置取り。前走の若竹賞は逃げて勝っていたこともあったし、いいスタートを切ったことで、最初は口を割るくらい馬が行きたがっていた。けど、向こう正面の中間のあたりではマサヨシ(蛯名騎手)が上手くなだめていたね。

そして、勝負の分かれ目が4コーナーの位置取りにある。ショウナンアルバは好位からスムーズに最後のコーナーを回ったのに対し、サダムイダテンは大外に回った。ただでさえ、徐々に順位を上げていくために脚を使うのに、外に回ったことでさらに脚を使ってしまったんだ。アンカツ(安藤勝騎手)にしてみれば、それでも届くというくらい、自分の馬の力を信じていたのかもしれないけど、あれが結果的に相当なロスになった。

逆に内をロスなく回った、ヨシトミ(柴田善騎手)のタケミカヅチは2着。津村のマイネルスターリーも、道中はサダムイダテンと同じくらいの位置にいたけど、内が開くのをシッカリ待って、経済コースを通ったから3着と健闘できた。ヨシトミはこのレースで1番上手く乗ったし、津村の判断もとても良かったと思う。このレースの結果は、4コーナーの位置取りで決まったと言えるかもしれないね。


シルクロードSは、テレビの回顧で「スタートでファイングレインが出遅れましたね」って言っていたけど、あれは出遅れではなく、幸が意識的にゆっくりゲートを出したんだ。今の京都の内側の馬場はボコボコだから、それを避けたかったんだと思う。

そんなことができたのも、幸がファイングレインの力を信じていたからこそ。仕掛けのタイミングも良かったし、特に馬を力ませずに回った4コーナーの乗り方は上手かったね。馬の力を信じていなかったら、あの乗り方はできないよ。

だから、馬の力を信じすぎてもダメだし、信じられなくてもダメ。競馬は相手がいてやるものだから、レース展開を冷静に見極めることも重要。上手く説明はできないけど、だからこそ競馬は奥が深いんだよね(笑)。

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今日の根岸Sを勝ったワイルドワンダーは、パドックから非常にいい雰囲気だった。この馬はダート馬にしては華奢な体をしているんだけど、この日は体重以上に大きく見せていて、いかにも「短距離のダート馬」という、ゴロンとしたゴツい体にシッカリと仕上がっていたからね。

レースでも道中は、内々に潜り込んでジッとする競馬ができていたし、追い出してからの反応も抜群。雪の影響はあったけど、1日順延されたことで、ノメるようなグチャグチャの馬場ではなかったから、実力を十分に発揮できたように思う。これでフェブラリーSがとても楽しみになった。

2着のタイセイアトムは、道中のアクシデントと、エイシンロンバードが逃げられなかったことで楽な展開になった。でも、いいスタートからハナを切って、長い直線でも粘って2着に残すんだから、よく頑張ったんじゃないかな。

注目していたマサミ(松岡騎手)のマイネルスケルツィは、体調の良さが逆に災い。プラス16キロは重すぎたかもしれない。アドマイヤスバルも得意の距離ということもあって、よく追い込んできてはいるんだけど、不利が最後まで響いてしまった感じだね。

とはいっても、ワイルドワンダーはこの距離ならやっぱり強かった。フェブラリーSには、この馬とユタカ(武豊騎手)が乗るヴァーミリアン、ノリ(横山典騎手)のフィールドルージュ、幸四郎のメイショウトウコン、アンカツ(安藤勝騎手)のサンライズバッカス、幸のブルーコンコルドなど、JCダートに続いて豪華なメンバーが揃うから、とても楽しみになったね。

ヴァーミリアンは出走するか微妙だけど、出てくれば当然注目すべき存在。「距離が短い」と言われるかもしれないが、JCダートや東京大賞典でも掛かり気味に追走していたぐらいだから、僕はマイルもこなせると思うよ。

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2008年1月28日

AJCCのパドックで見て驚いたエアシェイディの馬体。前回のプラス2キロは数字以上に太く見えたんだけど、今回は6キロ増えていたにもかかわらず、とても締まった馬体に見えたからね。同じプラス体重でも、今回は前回とは内容が全く違うし、金曜日にも書いたけど、モサッとしていて落ち着きもあった。これはレース前に「行ける」と思ったね。

エアシェイディは実際にレースでも本当によく折り合っていた。前半の1000mが61秒2というスローペースで、残り6ハロンから一気に速くなる激しい競馬だったけど、最初から最後までドリームパスポートをマークした絶好の展開で、最高の競馬をしたと思う。馬の状態が良かったことはもちろんだが、後藤は今ホントに乗れているね。

2着のトウショウナイトはテンを遊ばせて入る競馬をしたのが良かった。切れがない分、最近は少し前めにつける競馬をしていたけど、やはりこの馬は脚を溜める競馬の方が合っている。直線では前が詰まる不利があっても、馬が走る気になっていたしね。これは陣営にとって大きな収穫になったと思う。

平安Sのクワイエットデイは、前がゴチャついたなか、好位の内々で上手く“死んで”いた。流れにも乗っていたから、最後のあの踏ん張りに繋がったんだろうね。ペースが速くないのも幸いだった。

メイショウトウコンは逆にペースが速くないのが災い。前の馬が止まらないから4コーナーでは外々を回されることになったからね。それでも2着にくるのだから強いよ。今回は仕方のないレースだったと思う。ロングプライドはトウコンより先に動いた分、先に止まってしまったね。

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2008年1月21日

見どころは3~4コーナー過ぎ、直線の手前だ。マサミ(松岡騎手)は馬を外に出そうとしたが、ピッタリとマークしていた丹内が、ステルスソニックに馬体を併せるようにして、マイネルチャールズを封じ込める。

結果、チャールズは内に進路を取らざるを得なくなった。それでも馬群を割って抜け出してきたのは、馬の根性をほめるべきだ。もしあそこで馬が怯んでいたら……チャールズは力を出し切れなかっただろう。

1番人気を苦しめた丹内は、3着とはいえ攻めの騎乗ができた。僕はよく若手に話すのだが、レースは綺麗な騎乗だけでは勝てないもの。時には勝負に対する泥臭いまでの執念が必要なんだ。今回の丹内のレース振りには、それがすごく良く現れていたと思う。

マサミも巧く乗った。道中はジッと中団待機。馬の力を信じて、冷静な騎乗ができた。折り合いもスンナリとついて、4コーナーまでは思い通りのレースだったんじゃないかな。

丹内にしてみれば、ものすごく悔しいレースだったと思う。でも、アイツとマサミが演出してくれた4コーナーのせめぎ合いは、このレースの価値をグッと高めたんじゃないかな。「勝ちたい」という気持ちのぶつかり合いが、観る者の心を打つんだよね。

最近は、強い馬が自分のいきたいところを通って、アッサリ勝つようなレースをしばしば観る。それが悪いという訳じゃない。でも、「もっと何とかしようよ」という気持ちもある。競馬っていうのは、戦いでもあるんだから。

今年の京成杯は、“これが競馬だ”という、見応えのあるレースだった。その立役者が僕の教え子だったというのも、また嬉しいね。彼らにはこれからも、こんな気持ちの入った勝負を期待したいと思う。

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2008年1月14日

ガーネットS、シンザン記念と、先週の重賞はこのブログで紹介した馬が活躍してくれた。少しは皆さんのお役に立てたかな?


今回は、取り上げた馬のほとんどが掲示板に載ってくれたガーネットSについて。

このレースが行われた中山ダート1200mという条件は外枠が有利というのは、多くの人が知っていると思う。理由は芝スタートで、スピードのある馬ならば先手を取りやすいからだよね。

このアドバンテージをフルに活かしたのが勝ったタイセイアトム。好スタートを切り、ちゅうちょせず思い切って逃げたユタカ(吉田豊騎手)のファインプレーだ。軽ハンデも味方したが、スピードタイプの馬にこの競馬をされると、後続は手も足も出ない。

この馬は、「外枠が有利」という分かりやすい例だったと思う。でも競馬というのは、有利とそうでない場合が裏表なもの。勝ち馬に対して、外枠があだになってしまった馬もいるんだ。

それはトウショウギア。外枠で前に馬を置くこともできず、道中は常に外に逃げるような格好をして、折り合いを欠いてしまった。乗り役としては「どうにかしよう」と思うのだが、馬がこうなってしまうと、どうにもならない。結果、16着と残念な結果に終わってしまった。

本来有利なはずの外枠も、クセのある馬にとってはマイナスなんだよね。これは覚えておいてもらいたい。

同じく力を出し切れなかったのは、プリサイスマシーン。ノリ(横山典騎手)はロスなく乗っていたのだが、追い出されてからの伸びに欠けた。間隔を詰めていたこともあり、調子自体がイマイチだったのかもしれないね。

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有馬記念からわずか中12日というのに、久々に感じられたJRAの競馬開催。僕と同じ気持ちの競馬好きも多いんじゃないかな。

足を運んだ中山競馬場は、前年比1.8倍の入場者だったという。このレースが対象になった「JRAプレミアム」の効果らしい。どおりで、「例年よりも多いな」と感じたんだ。

さて、中山金杯だが、まずはパドック。僕が見ていいデキだと思ったのは、アドマイヤフジメイショウレガーロサイレントプライドの3頭。2番人気のエアシェイディも気にしていたんだけど、ちょっといつもの活気がないように感じられた。プラス2キロという体重面以上に、動きが重たかったんだよね。

レースはカツハル(田中勝騎手)のメイショウレガーロが絶妙のペースで逃げた。道中も馬がリラックスして走れていたね。これが最後の粘りにつながったんだ。ただ、この馬は物見をするクセがあるのか、1週目、そして最後のゴール前と、少し頭を上げるような仕草をしていた。これがなければ、2着はあったかもしれないね。

勝ったアドマイヤフジも、川田の好騎乗といえると思う。GIで一線級の馬たちと戦ってきただけに、フジにとってここは正直相手が一枚落ちる感じだった。そんな力関係を冷静に把握して、強気の競馬ができたんじゃないかな。

早めに動いて、力でねじ伏せるというレース振り。まさに勝ちパターンという感じで、他の馬にとっては、こういう競馬をされるとちょっと敵わない、というところかもしれない。

2着のエアシェイディは、前半にモタついて位置取りが後方グループになってしまった。これは僕が感じた「動きの重さ」が原因なんじゃないかと思っている。それでも、最後の直線で見せた末脚はさすがだったね。

パドックでは良く見せていながら、6着という残念な結果に終わったのはサイレントプライド。いい位置につけて、タイミングよく追い出されていながら、直線で伸びに欠けてしまった。

敗因としては、揉まれ弱い精神面か、それとも良馬場の発表以上に荒れていた馬場状態か、だと思う。ノリ(横山典騎手)の乗り方にも、状態面にも問題はなかったからね。

払戻金が5%程度(この中山金杯では最大6.8%)上乗せされる「JRAプレミアム」。馬券が当たった皆さんは、二重の喜びだったんじゃないかな。こういった試みで少しでも多くの人が競馬を観に来てくれるというのは、嬉しいこと。今後も続けてほしい施策のひとつだ。

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今日はグリーンチャンネルの番組収録(12月30日21時~放送予定)と、雑誌の取材。明日、明後日も一日中予定があって、よく師走というけれど、今年はホントギリギリまで忙しい。まぁ、出番があることは嬉しいんだけどね(笑)。

さて、昨日の有馬記念。もちろん僕も中山競馬場でレースを観戦したが、今年を象徴するように、流れの重要性が際立ったレースになったね。

これは何度もいっていることだが、レースの流れを作るのは2番手の馬。今回も例に違わず、流れを作ったのはチョウサンの後ろにつけたダイワスカーレットだった。

この馬は不思議な馬で、自分で流れを作ったときは必ず落ち着いた流れになる。常に自分の形になるんだよね。それはこの馬が生まれ持った運なのかもしれない。あるんだよね、そういうのって。

ただ、もし自分が乗っていたら、3~4コーナーで抜け出してきたマサヨシ(蛯名騎手)をあれほど簡単には出さなかったかな、と思う。それで結果が変わったかどうかはわからないけれどね。

そのマサヨシのマツリダゴッホは、すごくうまく流れに乗れていた。無駄な動きをせず、ロスのない競馬ができていたね。今回はそれが一番の勝因だと思う。馬自体に関していえば、精神面で大人になって、折り合いがつくようになっていたのが大きいと思う。大一番で力を出せるようになっていたということだね。

3着ダイワメジャーはデムーロがうまくインコースを回ってロスのない競馬ができていた。でも、もうちょっとスカーレットと勝負させてもよかったんじゃないかな。

4着ロックドゥカンブは、器用な馬じゃないだけに、ゴチャつく後ろ目の位置が痛かった。レースで一度でもキネーンが乗っていたら違ったとは思うのだけれど…もっとやれる馬なだけに、ちょっと残念な結果だったね。

力を出せなかったのはメイショウサムソンウオッカ。前者はユタカ(武豊騎手)の騎乗を批判する声もあるようだが、それはハッキリいって間違い。パドックからして、あの馬の状態は本物じゃなかった。プラス2キロ以上にボテッとして、覇気のあるサムソンらしさがまったくなかった。

実際、レースでユタカがどれだけ押しても反応しなかったからね。サムソンの今回の敗因は状態面。それは間違いないと思う。

ウオッカは、道中折り合いを欠いていた。パッと見じゃわかりにくいかもしれないけど、いつもは安定している四位の体があれだけ揺れているというのは、かなり我慢しているということ。そうなってしまうと、ダービー馬とはいえ好走は難しい。4コーナーで接触したのも痛かったね。

結果的には、マツリダゴッホをはじめ、流れに乗れた馬が上位を占めた。先に書いた流れの重要性ということはもちろんだけれど、流れに逆らっても勝ちきるような、そんな傑出した馬がいなかったというのも、今年の有馬記念だったんじゃないかな。

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今回はなんといっても、隼人(吉田隼騎手)のフェアリーS。いやぁ、嬉しかった。今年初の重賞勝ち、さらにこの日は1Rで70勝も達成した。いつもは厳しいこともいうけど、今日ばかりは手放しでほめたいね。

レース前は、「外枠だから思い切って乗ります」っていっていたんだ。あの枠(8枠15番)だと、どんないいスタートをきっても、内の馬には先行争いで遅れをとってしまうからね。道中後方2~3番手という位置取りは、そういった考えあってのことだと思う。

ハイペースのなか、勝負を焦らずシッカリ我慢ができたのは間違いなくファインプレーだったし、馬群の間があいたところを割ってくる、ロスのないレース運びだったよね。僕はいつもみんなに「セコく乗れ」っていっているんだけど、今回はそれがキッチリ実践できたんじゃないかな。

もちろん、馬の力もたたえたい。狭いところを割ってくる根性は大したものだったし、思ったよりも掛からなかったのは今後に向けて好材料だと思う。

レースの後には、ちゃんと報告の電話があった。隼人は若手のホープと持ち上げられているけど、悩みもあるし、時には電話で愚痴もこぼす。そんなところも知っているだけに、今回の勝利は嬉しかった。よかったな、隼人。おめでとう!

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2007年12月10日

早くから自分が注目していた馬が活躍するというのは、嬉しいもの。デビュー前から「これは走るゾ」と期待をかけたゴスホークケンが、見事にGIを勝ってくれた。

初めてブログに書いたのは、ちょうど東スポ杯の前かな。確か、「まだ子供っぽくて、ゆるい体つきなのに、あれだけの時計で走れるのは素晴らしい」というようなことを書いたと思う。

その「ゆるさ」が出て東スポ杯は4着。その結果、抽選になってしまったけど、GIでも素質は全く引けを取らないと思っていたんだ。

レースは「強い」のひと言だよね。ポンとゲートを出て、ペースを緩めずに最後まで脚を伸ばして上がり35秒2、そして1分33秒5という勝ち時計。現時点でも一番強い馬だと思うし、これからもっと強くなるという、伸びしろを感じさせるレース振りだった。

それでも、今後に向けての課題がないわけじゃない。これから距離を延ばしていくことを考えると、もう少し道中に遊びがほしいんだよね。素直で真面目なタイプだから、ずっと力んで走る感じなんだ。

そこをもう少し、ゆったりとした気持ちで走らせることができれば、距離もこなせるだろうし、もうワンランク上のレベルにいけると思う。

いまは2歳牡馬のナンバーワンだけれど、来春は3歳のベストになってもらいたいね。まさに関東期待の星。僕にとってこのレースは、来年に向けて大いに楽しみが広がるレースだった。

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2007年12月 3日

レースを振り返ってみると、ほとんどの場合「この馬がカギを握っていた」という馬がいるものだ。それは必ずしも人気馬というわけではない。多くはレースを作る2番手の馬だが、今回の阪神JFでは、それでもなかった。

では、どの馬か。これは僕の個人的な意見だが、それはカレイジャスミンだったと思う。

レースは、ある程度前でレースを進むと思われていたエイムアットビップが控え、逆に差して結果を出してきたエイシンパンサーが逃げるという、意外な展開になった。

鞍上だけではなく馬も戸惑ったのか、流れはかなり速くなり、先行グループもゴチャついて、他の馬にぶつかって怒り出す馬も何頭か出た。

怒ってしまった、その1頭がカレイジャスミンだったんだよね。ジャスミンはレースの前半に接触して、折り合いを欠いてしまったんだ。

3~4コーナー手前ではちょうどエイムアットビップの後ろあたり。位置取りは良かったけど、接触の影響で馬の気持ちが前に前にいっていたから、北村(宏司騎手)はその気持ちを優先して、動くことにしたんだと思う。ただしこれは、ペースからすれば少し早すぎる仕掛けだ。

オディールの外をスーッと上がっていくジャスミン……気を抜くと見過ごしそうなシーンだけど、ここに、レースのひとつのポイントがあったんだ。

それは、ジャスミンの動きによって、アンカツ(安藤勝騎手)が早めに仕掛けざるを得なかったというところだ。

本来ならばアンカツも、もう少し仕掛けを遅らせたかったはずなんだ。でも、外からジャスミン被せられたことで、早いことが分かっていながら、動かなくてはいけない状況になった。

結果、有力馬のなかで最も早く動いたオディールは、後方待機のトールポピーレーヴダムールにかわされ4着。それでも、流れに逆らっての上位入線という意味では、1番強いレース内容だったといってもいい。

そのオディールの敗戦は、ジャスミンの動きが影響していた……。そういう意味で、レースのポイントとなったのは、カレイジャスミンだったと、僕はそう思っているんだ。

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2007年11月26日

今日はある知人の紹介で、柔道の田村亮子選手に会ったんだ。テレビではよく見ているけど、実際に会ったのはこれが初めて。やっぱりあれだけ注目されている人だから少し緊張したね。印象はテレビで見ているよりも、目つきがとても優しくて、柔道をやっている時の目つきとは全然違うと感じた。やはり一流の選手だから、オンとオフがハッキリしているんだろうね。

さて、先週のジャパンC。金曜にこのブログで挙げていた3頭がシッカリと走ってくれたんだけど、断然の1番人気を背負っていたメイショウサムソンを応援していた人にとっては、残念な結果になってしまったね。

そのレースは、スタートしてからチョウサンが勢いよくハナを切ったことで、すぐ横にいたアドマイヤムーンは1コーナーあたりで掛かってしまった。それにつられるようにポップロックコスモバルクも掛かって、始めの1、2ハロンはかなりペースが速くなったと思う。サムソンに乗っていたユタカ(武豊騎手)は、そういった状況判断が早いから「ペースが速くなる」と察して下げたのだと僕は考えている。

だけど、その先行争いが収まると今度は極端に流れが落ち着いた。これは逃げたら不気味なノリ(横山典騎手)がハナに立ったことで、マサミ(松岡騎手)もノリを牽制して2番手に抑えてしまったからだと思う。乗っている馬がバルクだけに折り合いに専念したかっただろうしね。

この流れはユタカにしてみれば大きな誤算だ。1コーナーの先行争いを見ている限りは、明らかにペースが速くなりそうな状況だった。それが1000mを通過しても依然12秒台のラップ。これでは掛かったムーンやポップロックも息を吹き返してしまう。

ユタカも早めに仕掛けていこうとしたけど、前めに付けていた馬も早めに動き出したから、大外を回されることになってしまったんだ。あれだけ外を回ったら3馬身くらいの差は出てしまう。それに、スローからの瞬発力勝負だとサムソンには分が悪かったね。

でも、シッカリ追い込んで3着に来るのはサムソンの強さだし、最後方から競馬をしたウオッカも、この展開で4着と意地は見せた。もし、もっと順調に行けたなら勝機はあったはず。

ムーンは今回のジャパンCで引退してしまうけど、不完全燃焼のサムソンとウオッカ(出走は未定)の有馬記念での巻き返しに期待したい。

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このレースで焦点になっていたのは、何といってもダイワメジャーの状態面だろう。天皇賞で不利があった時に体をよじった…それで陣営も出走のゴーサインが遅れた…など、どちらかというと疑問視するむきが多かったように思う。

僕も心配だった。だけど、追い切りを見たり、関係者の話を聞いたりと情報量が増えていくにつれ、その心配はなくなったんだよね。それは前回のブログを見てもらえばわかると思う。

でも、パドックを見た時には正直不安が頭をよぎった。ちょっと馬体が寂しく見えたからね。

まぁ、結論的にはそれもいらぬ心配だったんだよね。返し馬の走りは、いい時のメジャーの姿。僕もそれを見てホッと胸をなでおろしたよ。

レースは平均~スローの流れになって、「メジャーの流れ」。アンカツ(安藤勝騎手)の強気の競馬もピッタリ合って、この馬の実力がいかんなく発揮できた。

最後の直線でスーパーホーネットに並ばれてからのしぶとさは、まさしく真骨頂という感じだよね。闘志に火がついて、もうひと伸びした。逆にホーネットにしてみれば、馬体を併せるのではなく、離して差してくればもっとおもしろかったかもしれない。

レース前を振り返ると、追い切りでは一杯に追うのではなく、馬なりに近い形で脚をスッと伸ばしていい時計が出ていた。これがメジャーの調子のバロメーターなのかもしれないね。道中の闘志の入り方も、前走以上だった。

「終わってみればやっぱり強かった」というのが、今回のメジャー。年内で引退というのはちょっともったいない気もする。あとを引き継ぐマイラーとしては、伸びしろのありそうなマイネルシーガル、気性が大人になってきたスズカフェニックス、そして上り馬らしい勢いで頑張ったスーパーホーネットだろうね。

世代交代はならなかったが、これらの馬たちは可能性を感じさせてくれた。メジャーからバトンを受け取る次代のチャンピオンマイラーは、このなかにいるかもしれない。

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ご存じの方もいると思うけど、今日は水沢競馬場で『馬券ブレイク賞』があったんだ。それで、僕はそのプレゼンターとして水沢に行ってきたんだよね。

東京からはるばる3時間弱。途中で雨が降ったりと天候にはあまり恵まれなかったけど、無事にレースは終了。優勝騎手には僕の手で賞状を渡してきたんだ。

水沢はかなり久々だったんだけど、懐かしい人に会ったり、急遽飛び入りでトークショーに参加したりと、盛りだくさんな1日を過ごして楽しかった。来月発売の『馬券ブレイク!』でその様子がレポートされるみたいだから、興味のある人は見てください。

さて、先週のエリザベス女王杯。これはズバリ、ダイワスカーレットの強さが際立ったレースだったね。

アサヒライジングはスタートのタイミングがあわず、フサイチパンドラも自ら動いたのは3コーナー過ぎと、同型が競ってこなかったことでダイワにとって楽なレース展開になったのは確か。

それでも、4コーナーで外に膨らんでみたり、直線でフラフラしたりと、遊びながら走って勝つのだから、まさに余裕十分といった感じだよね。本気になったのは、フサイチパンドラに迫られたゴール前くらいじゃないかな。

アンカツ(安藤勝騎手)は「行ってもいいや」という気持ちで、ゲートを出した。そのことで行き脚がついたけど、グッとおさえられても嫌気を出さずに我慢していたのは、ダイワがレースを覚えてきたということだろう。

勝ち方を知っている馬、そして騎手。そうそうたる顔ぶれが揃った今回だが、他の馬はその勝ちパターンにきれいにハマってしまった。素晴らしい競馬をしたダイワとアンカツにとっては、「勝ってください」というようなレースだったんじゃないかな。

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競馬っていうのは流れが大事で、それに乗れないとどんな実力馬だって負けることがある。たとえばディープみたいな怪物だったら関係なしに勝ってしまうかもしれないけど、逆にいえば怪物級じゃないと、流れにさからって勝つのは難しい。

アルゼンチン共和国杯。このレースは、流れに沿った者にだけ勝利の女神がほほえんだという、「流れ」の大切さが際立ったレースになった。

勝ったアドマイヤジュピタ、2着のトウカイトリックと、ネヴァブションら人気で負けた馬たちの差は、純粋な能力差ということではなかったと思う。

カゼノコウテイが飛ばしたものの、2~3番手は離れていた。つまりペース自体はスローだったんだよね。それに加えて、後方待機組に厳しい馬場状態。結果的にはある程度前にいくか、自分の競馬に徹しきる(それでも勝つまでは難しかっただろう)かしか上位を狙う手はなかった。

ある程度前でレースを進めたのが1、2着馬で、自分の競馬に徹したのが4着のダンスアジョイ。後藤が強気で乗ったリキアイサイレンスも、うまく流れを掴んだ1頭だったんじゃないかな。

結論的には、流れを一番うまく利用した馬が勝ったということ。それがアドマイヤジュピタだったんだ。もちろん勝った馬はたたえたいが、その強さよりも、流れに乗れたか、否かということが勝負を分けたんだよね。

もうひとつ、ファンタジーSのことも書きたい。びっくりしたのは、エイムアットビップのスピード。いやぁ、速かったよね。アッという間に後続を離していたもんね。

ただ、みんなは気がついたかな? この馬、コーナーを逆手前で走っていたんだ。あのスピードで逃げて、しかも手前が逆だったら、さすがに勝てない。それこそ化け物だよ。

それでも、素質はありそうだ。スピードを出したくなる気持ちを我慢してレースができるようになれば、さらに変わってくるかもしれない。こちらも流れにさからって走ったようなものだからね。

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今日はマサミ(松岡騎手)や隼人(吉田隼騎手)と東京まで出てきた。彼らを腕利きの整体師さんに見てもらうためだ。

その人、小波津(こはつ)さんというんだけど、かなりの名人で、無痛療法というか、指一本で神経を動かすような治療をするんだよね。ちょうど『北斗の拳』のケンシロウみたいな感じかな(笑)。

終わった後は、ふたりして元気に遊びに行ったよ。「千明さんも行きますか?」なんて誘いもしないんだよ。まったくゲンキンだよね(笑)。


さて、天皇賞を振り返りたいが、メールでエイシンデピュティが降着になったことについての質問が何件かあり、今回はそれについて書いていきたいと思う。

原因は、最後の直線で五十嵐君が乗ったコスモバルクが外側にヨレたことだよね。エイシンデピュティはそれに驚いて、さらにヨレてしまった。結果的にはダイワメジャーアドマイヤムーンをはじめとした4頭の走行を妨害してしまうことになった。

もともとの原因はコスモバルクでありながら、柴山の方がより重い制裁を受けたのは、馬の反応があまりに過敏だったということからだと思う。そこを御すべきだった、ということだよね。こういう制裁はしばしばあるので、特に珍しいことではない。

僕も似たような経験があった。その時は「向こうが悪いのに」と思って抗議したものだ。心中は納得のいかない思いも、悔しい気持ちもあると思うが、柴山は言い訳をしていないよね。そこは彼らしいな、と思う。

ただ疑問に思うのは、五十嵐君が「追い出すとヨレる馬なんです」とコメントしたこと。これまで何回も騎乗している騎手がいうべきセリフではないと思う。同じミスを繰り返している、ということを自分で認めているようなものだからね。

GIで、しかも3強対決ということで、久々に盛り上がりを見せた天皇賞だった。実際に売り上げもアップしているらしいしね。

さらに勝ったメイショウサムソンは石橋からユタカ(武豊騎手)へのバトンタッチ、凱旋門賞回避の無念、そして天皇賞春秋制覇とドラマが満載だった。

そんなレースであったのにもかかわらず、どこか後味が悪いというのは、やっぱり残念だよね。見た人の胸に、チクリと刺さるトゲのようなものを残したのが、今年の天皇賞だったんじゃないかな。

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菊花賞の、京都コースの3000mについていろいろと教えた事もあって、柴山が乗るロックドゥカンブには思い入れを持っていたんだ。

だからスタート後、後方のインに位置しているのを見た時は、「アッ」と思ったね。これはちょっとマズいかもしれない、と。

こういう時の予感に限って良く当たるもので、ロックは4コーナー過ぎでゴチャッとしたところに入って、抜け出すのに手間取ってしまう羽目になった。

ここで、ロックの俊敏な脚を使えないところが出てしまったんだよね。エンジンがかかれば凄い脚を使う反面、スッと反応良く動く事ができないというところが。ちょっとロスがあったのは否めない。

ようやく馬群を縫って、最後の直線は鋭い脚(上がり3ハロン35秒4はメンバー最速)を使って伸びてはいるんだけれど、上手く流れに乗ったアサクサキングスアルナスラインには届かず、結果は3着。

柴山はかなり悔しい思いをしていると思う。「3着でも負けは負け」というのがジョッキーだし、何より1番人気を背負っていたのだから、勝ちたい気持ちはいつも以上だったはずだ。

応援していた僕にとっても敗戦は残念だった。負けて強しのレースだっただけに、惜しかったなァ、っていうのが正直な感想だ。でも、同時に僕はこうも思っている。「これからだぞ」と。

南半球生まれのロックはまだまだ成長途上。柴山だって、これからどんどん良くなる騎手だ。中央に入って3年目。いろんな事を経験して、多くの事を学んでいっている。

競馬は続いていくし、乗り役稼業だって続いていく。ロックも柴山もここからがホントの勝負だ。この人馬のこれからを、大いに期待して見ていきたいと思っている。

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レースで何よりも大切なのは、流れに乗る事。それができたダイワと、できなかったウオッカ、ベッラで3強の明暗はハッキリと分かれた。

流れに乗ったダイワスカーレットのポイントは2コーナー過ぎ。飛ばすヒシアスペンに反応して馬が掛かり気味になったが、少し外に開いてヒシを前に行かせる事で、アンカツ(安藤勝騎手)は馬を落ち着かせた。

あそこは、さすがアンカツといったところ。そこからは完全にこの馬のペース。逃げ馬とも後続とも離れた2番手で、気持ち良さそうに走っていたよ。

ダイワを追いかけなかった川田の騎乗を疑問視する人もいるけれど、個人的には、しょうがないかな、と思う。自分の馬に色気を持っていたんだろう。そんな時は、前の強い馬を無理に追いかける策はなかなかとれないものだ。

乗り役ってのは、「下手に動くと負ける」って心理になる時があるんだよ。

同じように、ウオッカの四位も責められない。勝てなかったんだからベストとはいえないが、ベターなレースをしていたからね。

スタートをゆっくり出たのは、掛かってしまった宝塚記念の教訓を生かしたんだろう。それに久々を考えて折り合いに気を付けたいから、ダイワを追いかけるようなリスクの高いレースはできない。

そうなると、あの位置取りはベターだった、という事になるんだよね。まぁ結果的には、あそこでは流れに乗る事ができなかったんだけれど。

レースの流れに乗るのが巧いユタカ(武豊騎手)も、テンションが高くなってしまったベッラレイア(追い切り時の不安が的中してしまった)を落ち着かせるために、後方のインで我慢せざるを得なかった。これもやむを得ないね。

なんだか「仕方ない」「やむを得ない」ばかりになってしまったが、各ジョッキーの心理や馬の癖など、すべてが絡まってレースは流れていくんだ。

その流れを、どれだけ自分の方にたぐり寄せられるかで勝負は決まる。そこをアンカツが完璧にできたというのが、今回の秋華賞なんだよね。


勝ったダイワの次走はマイルCSというプランもあるらしい。そうすると、メジャーとの兄弟対決だよね。アンカツがどっちを取るか、そこも興味深い。

エッ? 僕なら? ウ~ン、将来性を取って、スカーレットかなァ。

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2007年10月 8日

重賞でのマサミ(松岡騎手)と隼人(吉田隼騎手)のワンツーフィニッシュだった毎日王冠。弟子の活躍は、素直に嬉しいよね。

でも、負けた隼人はやっぱり悔しかったみたい。電話で話したんだけれど、「悔しい、悔しい」って。

自分では敗因を分析できていて、それが余計思いを募らせる感じかな。ただ、乗り役はそうやって辛い気持ちを消化していきながら成長していくものだから、僕はそれが悪い感情だとは思わない。一歩一歩着実に、進んでいってもらえばいいと思っている。

さて、レースを振り返ろう。今回勝負を分けたポイントは、3~4コーナーだった。ちょうどトップガンジョーダイワメジャーに並びかけていったところ。

あそこでアンカツ(安藤勝騎手)は動いた。というより正確には、動かざるを得なかったんだよね。もちろん、ペースのわりに早い仕掛けになることは本人も分かっていたはずだ。

本当は動きたくなかったかもしれない。でも、動かなくてはいけない。なぜなら、自分が動いて勝ちにいかなくてはいけない状況だからだ。1番人気のダイワメジャーに乗る騎手としては、当然といえば当然の心理かな。

これに合わせる形でブライトトゥモローの後藤も仕掛けていった。こちらも同様の心理だったと思うよ。

結果、ハイペースで、人気馬が早めに動くという展開になった。馬の力を引き出す事に集中していたマサミにとっては、まさに「ハマった」というレースになったよね。

それにしても、他の馬に惑わされずにジッと我慢して、あれだけの末脚を爆発させたのは見事だった。

隼人も良く頑張った。道中は他の馬からのプレッシャーも結構キツかったんじゃないかな。シッカリ馬の力を出していると思うよ。

毎日王冠でふたりが見せてくれた頑張り、それに今日は津村も勇人(的場騎手)も勝って、ホントに気分がいい。こんな日くらいは久しぶりに、ほめたままで終わろうとしようかな。

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傘の花が開くパドック。アイルラヴァゲインを先頭にした出走馬が周回するなかで、僕の目に印象的に映ったのはアストンマーチャンスズカフェニックスという対照的な2頭だった。

何が対照的だったか。それは「それ以上」という点においてだ。

まず素晴らしかったのは、+10キロながら、それ以上に馬体を大きく見せていたマーチャン。たくましさが増して、どこか可憐さを残していた春当時とはちょっとイメージが違うつくりだったね。10キロ増はすべて筋肉だったんじゃないか、ってくらい。ホント馬が変わっていた。

それに対してスズカフェニックスは、-8キロの馬体減以上に体が小さく見えた。本来はGI馬らしい雰囲気があって、体重以上に大きく見せる馬なのに、だ。ただ痩せたのではなく、筋肉の量が減ってしまった感じ。ヨロ(人間でいう太ももの部分)のあたりが特に目立っていたかな。

結果はご存じの通り(マーチャン1着、スズカ9着)だけれど、それを導いたひとつの要因として、僕はこの対照的な「それ以上」を挙げたいと思う。

馬にとっての±10キロというのは、人間でいえば1キロの増減と同じようなもの。どうしても数字に目を奪われがちだけれど、本当に大事なのは、数字じゃなくて「それ以上」なんだ。

馬体重以上に大きく見えるか、それとも小さく見えるか。競走馬がその力を発揮できる仕上がりになっているかというのは、多くの場合そこから分かってくるものなんだよね。

英二(中舘騎手)が13年振りにGIのトップゴールを駆け抜けた感動のレースはもちろんだが、パドックでの印象がハッキリ分かれた2頭の姿も、強く印象に残った今年のスプリンターズSだった。

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学校(ジャパン・ホースマン・アカデミー)の帰り道、先週末の2重賞を振り返りながらの車内で考えたのは、折り合いについて。

たとえばオールカマー。勝ったマツリダゴッホは久々にこの馬らしい勝ち方を見せてくれたが、それをもたらしたのは道中の落ち着きだった。

鞍上は去年のセントライト記念以来となるマサヨシ(蛯名騎手)。そのレースは落馬競走中止となった残念なものだっただけに、雪辱を期していたのだろう。とにかく見事に折り合っていたんだよね。ウン、完璧だった。

馬が素直なタイプだから、勝負所ではちょっと気合いを入れただけでハミをグッと噛んで反応してしまったが、レースの流れにそぐわないものではなく仕掛けのタイミングとしては問題ないだろう。

ゴール前でイマイチ伸びきれないという、近走の歯がゆいレース振りからも分かるように、ゴッホはレースの前半でどれだけリラックスして走れるかが好走するためのポイント。そこをキッチリとクリアした事が今回の勝利につながったんだよね。

同じように神戸新聞杯のドリームジャーニーも折り合いがカギだった。

ただ、こちらのハイライトはスタート。ユタカ(武豊騎手)は大きく踏み出すのではなく、軽く踏み込ませるような感じで最初の一歩を出させたんだ。

これはユタカだからこそできるような非常に難しい技術だが、こうして出すとドリームジャーニーのような繊細な馬でも燃えすぎずにスタートを切る事ができる。

実際に、その後すぐに折り合いがついて、道中は手綱がプラーンとなったまま。そのおかげで、一瞬の切れ味という武器を最大限に生かす事ができた。

ジャーニーに関してはこの距離を折り合って、さらにあれだけの脚を使えたのは菊花賞に向けて大きな収穫だろう。そういう点で、このレースが2400mに距離延長されたのは意味のある事だったといえるんじゃないかな。


車内に吹き込む秋風は爽やか。季節が動き始めトライアルも一段落し、いよいよ今週末はGI・スプリンターズS。日曜日は中山に行ってみようかな、と思っている。

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2007年9月17日

ただ勝つだけではなく、いかに本番につなげるか、がテーマだった東西トライアル。勝ったのはロックドゥカンブダイワスカーレットとどちらも1番人気の馬だったが、GIに向けての採点簿はどうだったかというと……

まずはセントライト記念。レースの流れとしては速くもなく、遅くもなくの平均的なものだった。ロックはそのペースを先団の4~5番手。燃えやすい気性だけに心配したが、スタート直後に少し行きたがっただけで落ち着いてレースを進めた。

この「とぼけ」というか精神面の余裕は僕にとっては意外な事で、3~4コーナーでもあまりに余裕があるのか、一度手応えが悪く見えたほどだった。柴山が気合いを入れたらグッとハミを噛んで行く気を表に出し始めたが、これはこれまでのロックには見られない場面だったと思う。

印象的なシーンはもうひとつあって、それは直線、1頭で抜け出した時。そこでもゴールデンダリアが差し込んで来るまでは少し力を抜いた感じの走りだったんだ。

これを精神面での成長と見るか、それとも休み明けの産物と見るかで、菊花賞での評価がガラッと変わってくる。もしもこの感じで走れたなら、課題とされる距離面が克服できるだろうからね。

対してローズSのダイワスカーレットはどうか。実はこちらも、少し「とぼけ」たんだよ。

場面は直線で後続を離しに行ったところ。鞍上としてはもっと突き放すイメージだったと思うんだけれど、馬自身がスピードアップを少し加減したように見えた。

振り返ればスタートでも燃えすぎずに、すんなりとハナに立つ事ができていた。馬が怒ってしまって、落ち着かせるのに少し時間がかかったベッラレイアとは対照的だったね。


これはロックとスカーレットのどちらにもいえる事だけれど、折り合いという意味では「とぼけ」はアドバンテージになる場合が多い。でも、もしも直線での攻防でそれが出てしまうと、ちょっと厳しいよね。

たとえセーフティリードを作っても、一瞬の切れ味を持つ馬に離れたところから差してこられたら……せっかくのリードもなくなってしまうかもしれない。

というように、精神面の余裕というキーワードで、勝ち馬に収穫と課題との両面が見えたのが、先週の東西トライアルだったように思う。一番の理想は道中落ち着いていて、直線で燃え上がる事なんだけれどねェ。後は本番までに陣営がどういう手を打ってくるか、だ。

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2007年9月10日

前日の3歳上500万下(9月8日中山12R・芝1600m)の勝ちタイムは1分33秒7。対して京成杯AHのそれは、1分32秒6だ。

この約1秒差を「1秒も離れている」と見るか「1秒しか離れていない」と見るかはそれぞれだろうが、僕はハッキリいって後者だ。オープンのレース、それも重賞なんだから、開幕週の絶好の馬場だけに、もっと速い時計が出ていてもおかしくなかったと思う。

つまり、このレベルの戦いにしては、全体的に遅い流れだったという事。ストーミーカフェがそこまで行かなかったのが大きな要因だろうが、乗っている方にしても、「思っていたより遅かった」というのが本音なんじゃないかな。

この「思ったより遅い」流れが幸いしたのが勝ったキングストレイルだ。元々速い流れには向かないタイプなだけに、今回の展開はピッタリ。流れに乗ってスムーズなレース振りだった。

もちろん、ノッているカツハル(田中勝騎手)の騎乗も見事だったね。内々を回ってソツのない競馬。抜け出してから速い脚でスッと後続を離せたのも、道中ロスなく立ち回ったアドバンテージがあったからこそだろう。

掲示板は、この流れを利した馬が独占したといっていいと思う。後方待機の4、5着馬にしても、位置取りは後ろだったが動き出しは早かったからね。

ヒロ(田中博騎手)が乗ったヴリルは6着。本人は悔しがっていたが、この馬の力を出し切った騎乗だった。ヒロもだいぶ重賞の雰囲気に慣れてきたんじゃないかな。ウン、もう少しだ。

隼人(吉田隼騎手)のインセンティブガイだけれど、この馬は気性面が相当難しいんだと思う。あれだけ手応えが良いのに、追われてから全く伸びないというのだから、どうしてもそういう考えになってしまう。

僕も現役時代は似たようなタイプによく当たったんだけれど、上手くいかない時は一か八かのレースを試してみたりしていた。ポツンと1頭でいってみたり、とかね。この馬にも、そんな療法が必要かもしれないな。

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2007年9月 3日

いつもとちょっと趣向を変えて、今回は僕の弟子ふたりにスポットを当ててレースを振り返ってみたい。

まずはヒロ(田中博騎手)。この新潟2歳Sが重賞4度目の挑戦だったんだよね。初めてグレードレースに乗ったのは今年の福島牝馬S。ただ、その時は15番人気(今年の福島牝馬S・マイネルーシッド)で気楽に乗れる感じだった。

それが今回は6番人気の馬(リーベストラウム)。穴馬の1頭として取り上げている専門誌も少なくなかった。それだけに、固くなっているかもしれないと思ってレース前に話をしたんだ。

そうしたらやっぱり、少し力が入りすぎているように感じられた。だから僕は「まずは流れに乗ること。楽しんでくるくらいの気持ちで乗ってこい」ってアドバイスしたんだ。

重賞というのは、他のレースと比べて独特の緊張感がある。実際に馬と馬との間隔も狭く、なかなか自分の思ったように馬を動かせないんだ。それが上位人気馬となれば、なおさらなんだよね。それだけに、時には流れに乗ることすらおぼつかなくなってしまう。

それでもヒロは頑張った。ちゃんと流れに乗ってレースを終えることができたよね。本人は「駄目でした」って残念そうだったけれど、この経験は必ず生きてくるはずだよ。


もうひとり、こちらはかなり惜しかった札幌記念の津村。12番人気のアグネスアークに乗ってクビ差の2着なんだからほめてもいいもんだが、あえて僕は厳しいことを口にした。

「考えすぎるな」とか、「追い出しのタイミングが…」とかね。次に生かしてもらいたいからそうやってバンバン指摘したんだけれど、ホントは評価できる点もあった。

それは道中、すごく巧く流れに乗っていたところ。オッ、と思うほどスムーズにレースを運べていたんだよね。


負けたレースでも、いいところはある。それはヒロや津村だけじゃなくて、他の騎手にもいえるところ。だからといって負けた悔しさがなくなる訳じゃないけれど、そういうところもキチンと見ていってあげたいな、と思っている。たまに口うるさくいってしまうのは、まァ、ご愛敬だ(笑)。

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2007年8月27日

成長したなァ、と強く感じさせたユメノシルシの新潟記念。なにせ去年の今頃は500万下を走っていたんだから。

その頃は直線で抜け出してもお終いは止まってしまうというパターンで、好走はするもののイマイチ勝ちきれない馬というイメージだった。でも、今回でそんな悪い印象をすっかり払拭してみせたね。ゴール前の粘り腰、自在性のあるレース運びと、肉体、精神の両面で成長していることがうかがえた。

最後までキッチリと走りきっているし、課題のひとつに挙げていた勝ちタイムも優秀だった。これならば、更に上の舞台でも良いレースができそうだ。今回のようにマイペースで行く事ができれば、もう少し長い距離にも対応できるんじゃないかな。

久々に出てきた夏の上がり馬、という感じ。秋に向けて楽しみな存在になってきそうだね。

成長といえば、もう1頭取り上げたいのがマサミ(松岡騎手)が乗ったダイイチアトム。前回はこの馬の事を「さぼり癖がある」と書いたけれど、手を抜くところもなく、マジメに走っていた。勝ち馬と0秒3差の4着というのは現時点での力の差。それでも、精神面でグッと大人になっているなと感じさせるレースだった。次走でも引き続き注目したい。

最後にアドマイヤモナークについて。前走見せた切れ味はこの馬の成長だと思った。それに違わず今回も33秒9という最速の脚で上がってきているんだけれど、個人的には「もうワンテンポ仕掛けが早ければ」と思ってしまう。

2、3着馬は道中同じような位置取りだったが、動き出しが早かったから上位に来る事ができた。つまりアドマイヤとの差は、仕掛けのタイミングの差だったように思う。

今週末にはカレンダーが一枚めくれて、はや9月になる。天高く馬肥ゆる秋、競馬がグンと面白くなる季節。何事もなく、このまま競馬が続いていくことを願うばかりだ。

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2007年8月20日

その当時、僕はまだ競馬場に入ったばかり。今のマサミ(松岡騎手)とか、隼人(吉田隼騎手)よりも若い二十歳の頃だ。まァ、早い話がアンちゃんだよね。

それでも、若いからこそ希望に燃えていたし、何より巧くなりたかった。だから少しでも多くの馬に乗りたいって思っていたんだ。

そんな時だ、馬インフルエンザが流行したのは。1ヶ月間に90%以上の馬が感染するというもの凄いスピードで病気は蔓延して、約2ヶ月という長い期間、競馬は中止になってしまった。

一番レースで乗りたい時期なのに、乗れないっていうのはやっぱりキツかったね。「早くレースで乗りたい」って思っていたし、馬がすごくツラそうだったから、「早く治ってもらいたい」と願ってもいた。

事態が収束するまでは、長かったなァ。2ヶ月っていわれているけれど、もっと長かったんじゃないかな。ホントのところはどうかわからないけれど、僕の実感としては、もっと長かった。

あの時と今とで一番違うのは、ワクチンの存在じゃないかな。71年当時はワクチン接種が義務づけられていなかったから、今よりもうんと症状が重かったんだ。レースに出られるかどうか、っていう問題じゃなく、ほとんど全部の馬を休ませていたからね。

今は当時と比べると症状は軽いし、現時点では頭数も少ない。だから、「今週は開催できるかもしれない」と、毎週のようにギリギリまで結論が伸びているという側面もあるんだけれどね。

トレセンの事務所で働く人達に話を聞くと、みんな不眠不休で頑張っているという。彼らは馬券の売り上げとかそんなことは全く頭になくて、ただファンのみんなに競馬を見せたいという思いで仕事をしている。今はJRAに非難ごうごうだけれど、現場の人達は純粋な気持ちで一生懸命に働いているんだよね。騒動の裏側にある事だけれど、彼らのそういう気持ち、努力を知ってもらえると嬉しいな。

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前に行くタイプが多く、激しい先行争いが予想されていたけれど、蓋を開けてみれば平均やや遅めのペース。それが今回のクイーンSだった。

その要因は、先行するどの馬も相手の出方を見過ぎてしまって、積極的に動かなかったところにある。

結果的に逃げる形になったアサヒライジングにしても、ヨシトミ(柴田善騎手)は「何が何でも逃げる」というスタートではなく、むしろ「行く馬がいれば、どうぞ」というような感じの出方だった。

それでも先に書いたように他の馬は相手の出方をうかがうだけで動く様子がない。「それなら」という感じで、1コーナー手前あたりでスッと先頭に立ったんだろう。乗り手の心理としてはそんなところだと思う。

レースも中盤にさしかかると、ヨシトミは心中「しめしめ」だったんじゃないかな。道中は無理に競りかけてくる馬もいなかったし、何よりマイペースで単騎の逃げが打てたんだからね。

こういった平均の流れになると強いのがアサヒ。最後の直線でも良い脚で後続を突き放し、2着イクスキューズに1馬身半差をつけての勝利。GIでも善戦してきた馬だけに意外だれど、これが重賞初制覇なんだよね。

久々のレースで体重が10キロ以上増えていたのは成長分だと思う。馬体に張りがあったし、いい意味で立派な体つきになっていた。

勝負のポイントは、どの騎手も相手の出方をうかがいすぎたこと。つまり1コーナーまででレースはある程度決まってしまったとも言える。

こういう時は、得てしてゲートが開く前から心理戦は始まっていたりするんだよね。「誰がどう出るか」それがギリギリまで分からないから、乗り役ってのは難しいんだ。

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2007年8月 6日

上がり33秒3の末脚で後続を突き放し、さすがGIの常連という存在感を見せたカンパニー。1分31秒8という新潟マイルのタイレコードはもちろん、シンボリグランにつけた3馬身半差は実力の違いを証明するもの。これまで戦ってきた相手が違う、と言わんばかりの快勝だったね。

この強さを感じさせる勝ち方の裏には、新潟コースの適性があったように思う。平坦で直線の長い左回りという条件が、まさにピッタリと思わせる走りだった。

思えばこの馬の兄、レニングラードニューベリーも新潟で好走していたよね。その血統面も今回の勝利を後押ししていたんじゃないかな。

逆を言えば、今後の課題はこの走りが今回の条件以外でできるかどうかということ。たとえば坂のあるコース、東京ではどうか。秋の目標は天皇賞になるだろうし、少し先の話だが、そこは鮮烈な勝ちっぷり以上に記憶に留めておきたいポイントだ。

今後ということでは、期待できそうなのがシンボリグラン。今回は課題のスタートも成功し、スンナリ先行、道中折り合って、直線は早めに抜け出す……と、レース振りがチグハグだったこれまでとは雲泥の差。

これは精神面の成長あってこそのこと。特に印象的だったのは、前に馬を置かなくても折り合えたところだね。ムキになって走るようなシーンもなかったし、こんな感じだったら、これからは自分でレースの流れを作ることもできるんじゃないかな。良いレース内容だったね。

他に印象的だったのは、カンファーベストが今回は真っ直ぐ走っていたということ。結構難しいタイプの馬なんだけれどね。これは江田(江田照騎手)の教育の成果もあったと思う。

マイケルバローズカンファーベストストーミーカフェと、3~5着はどれも健闘しているというか、自分の時計では走っている。今回に関しては、勝ち時計が速すぎた、もっと言えばカンパニーが強すぎたということだと思う。それほど1頭が際立ったのが、今年の関屋記念だったということだ。

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2007年7月30日

ゴール100m前までは前残りのレースだった。小回り小倉コースの特性を生かしたニホンピロキースアラタマサモンズニルヴァーナが軽量も味方につけて粘り込みをはかる。そしてこの3頭で決着する……と思ったところを外から強襲したのがサンレイジャスパーだった。

サンレイは前回のブログ、メイショウカイドウの部分で触れた「一瞬の脚」を使って差しきった。そこでは「使うタイミングが難しい」と書いたんだけれど、テツ(佐藤哲騎手)は上手くタイミングを合わせてきたね。

具体的に説明すると、スウィフトカレントがスーッとマクっていった3~4コーナーあたり。1番人気馬に付いて行きたくなるのを我慢して、あえて追い出しをワンテンポ遅らせた。見た目には勝負所で置いていかれる形になったけれど、そこで我慢できたことがあの切れ味につながったんだ。

万が一負けていたら、なぜあそこで付いて行かなかったんだ、と非難されたかもしれない。でも、テツはそれを恐れず、自分の思うところに従ってレースをしたんだよね。

乗り役の判断というのはある種賭けのようなところがあり、一概には何が正解で、何が不正解かということは言いづらい。それでも、ソツのない乗り方ではなく、攻めのレースをしたという意味でも今回のテツは好騎乗だったと思う。

期待したアップドラフトは8着。もう少し相手の出方を見たレースをしても良かったかな、と思う。自分から勝ちに行って、たやすく勝てるほど甘い相手ではないからね。ただ、いいところは見せているし、これからドンドン良くなる馬だと思う。

スウィフトは先に書いた3~4コーナーで上がっていく脚は素晴らしかったが、そこで馬が気負ってしまった分、いざもうひと伸びとなると気持ちが途切れてしまった。結局直線はほとんど伸びずに7着。あそこで我慢して勝ったサンレイと比べると、何とも対照的な結果になってしまった。

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エリモハリアーの函館記念3連覇は、お見事のひと言。史上3頭目の同一重賞3勝というのも凄いけれど、屈腱炎を乗り越えての勝利というのが素晴らしい。馬はもちろん、復活へ諦めずに頑張ったスタッフにも拍手を贈りたいね。

レースは先行勢にとっては厳しい流れになった。ハイペースという訳ではないんだけれど、ナムラマースマイソールサウンドが入れ替わり立ち替わりして、一定ではなく、変化のあるごちゃついた流れになったんだ。

そうすると、道中ジッと我慢していた馬が台頭することになる。勝ったエリモハリアーもそうだが、ロフティーエイムサクラメガワンダーも同じクチ。

特にエリモはもともとの函館コースの適性に加え、直線で前がポッカリ開いた展開面、そしてそのごちゃついた流れと、勝つ要素が揃っていた。もちろん、我慢すべきところでキッチリ我慢した幸四郎もいいアシストをした。

残念だったのがナムラマースのレース振り。3コーナーで一度先頭に並びかけたまではいいとしても、マイソールサウンドが譲らないと見るとあえて馬を下げてしまったのは解せない。久々で馬が行きたがっていたのはわかるが、行くなら行く、ジッとするならジッとするで、ハッキリと意思表示のある騎乗をしてほしかった。

結果的にチグハグな競馬になってしまい、ナムラにとっては力を出し切らないまま終わったレースになってしまった。それでも6着というのだから、力のある馬であることは間違いない。次走以降に期待したいね。

4着のアドマイヤフジも、ナムラとマイソールサウンドの厳しい流れに巻き込まれてしまった1頭。決して楽な競馬ではない中でここまで粘るのだから、こちらも負けて強しを感じさせた。

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2007年7月16日

サンアディユが13番人気という低評価だったのは、ある意味では仕方ないかなと思う。なにせこれが初めての芝のレース(それも重賞だ)で、ここ2走はふたケタ着順と、評価する内容の方が少ないのだから。

でも、だからといって評価する理由がないわけでもない。

これはこの馬に限ったことではないが、脚もとに不安がある馬はあえてダートのレースばかりを使うことがある。それに、その不安がなくなってもダートで結果が出ていたら、芝に転向しづらくなるものだ。この馬のようにダートで3連勝しているような馬は特に、ね。

そのあたりをおさえつつ、陣営がなぜこのレースを選択したかということや、本来の主戦・小牧の「芝の方が走る」というコメントなどを総合すると、この馬はもともと芝の適性があったということが分かってくるんじゃないかな。

レース内容も良かった。スタートで遅れて、最初の1ハロンくらいまでおっつけながら進め、ちょっと無理して中団にとりつくという序盤ながら、追われてからは目が覚めるような脚で馬場の真ん中を伸びてきた。決してスムーズなレースではなかったのに、終盤であれだけの脚を使えるというのは評価できると思う。

イッセイ(村田騎手)の位置取りについても触れたい。周囲に馬がいないところでレースを進めたからこそ、サンアディユは道中リラックスして走れたんだ。これは大きいよ。思えば、ダートのレースで逃げないと好結果が出なかったのは、モマれたり、砂を被ったりするのが嫌だったからかもしれないね。

2着~5着の馬に関しては、皆自分の力を出していたように思う。特に、次走に期待したいのはナカヤマパラダイス。ズブさが出てきたのか、行きっぷりはイマイチだったが、鞍上のムチが入ってからはいい反応を見せた。距離を延ばして1200~1400mならもっとできそうだ。乗り方次第ではマイルまでもつかもしれないね。

隼人(吉田隼騎手)が乗ったアイルラヴァゲインはちゃんと手前を替えていたが、追ってからの反応があまりなかった。それほど極端ではなかったとはいえ、馬場状態も若干マイナスだったかな。

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大好きな福島の最終週ということで、競馬場に足を運んだ七夕賞。馬場を間近で見ると、かなり痛んでいるのが分かった。予想していた通りとはいえ、特に内側は悪化がひどく、馬を選ぶ馬場になってしまったな、と改めて感じたんだ。

実際に騎乗するジョッキーたちも、もちろんそのことを分かっている。だからこそレースではほとんどの人馬が馬場の良い外を回ることになった。

先行したニホンピロキースもそう。ヴィータローザユメノシルシという人気どころももちろん。ただ面白いことに、掲示板を占めたこれらの馬のなかでも、1着と2着、サンバレンティンアドマイヤモナークだけはひと味違うレースをしたんだ。

まずアドマイヤモナーク。ロスのないレースをしようと、アンカツ(安藤勝騎手)は決めていたんだろう。道中はあえて荒れた内目を通り、直線へ。そこで馬場の良い外に出し、脚を伸ばした。勝ち馬と並ぶ最速の上がりは、直線までに無駄のない競馬ができたたまものだろう。

そして、サンバレンティンだ。道中は後方待機。3~4コーナーから動き始め、思いきって内を突く。後藤は直線に入るまでの感触で、「いける」って感触を掴んだんじゃないかな。確信に満ちた、迷いのない抜け出し方だった。

はじめに「今回の馬場は馬を選ぶ」と書いたが、サンバレンティンはまさにそんなタイプだったね。それに、その特徴を十分に生かした後藤も見事だった。この日は2Rで落馬したが、そこで負傷した痛みに耐えての騎乗というのだからなおさらだ。

僕が注目していたアップドラフトは8着。直線までいい手応えで上がってきたが、そこで伸びなかったのは休み明けの影響だろう。次は変わってくるはず。長い目で見て、今後の活躍を期待したい1頭だね。

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あッ、柴山、自信を持って乗っているな、と伝わってきた。ラジオNIKKEI賞、ロックドゥカンブだ。

好スタートでゲートを出て、そのままの勢いで先行集団に加わると後は馬任せで好位を進んでいく。無駄な力が入っていない自然体の騎乗だったから、柴山が馬の力を信じているのが感じられたんだ。それに馬もすごくリラックスしていたし、スムーズに流れに乗れていたよね。

3~4コーナーでスーッと上がっていったのも、仕掛けたというよりは、流れに身を任せたという言葉の方がピッタリくるぐらい。それほどこの人馬は無理のないレースができていたんだ。

抜け出してからは、まさに横綱相撲。スピードの違いで一気に押しきったからね。ただ、自分からハミを噛んでいくようなところがなかったようにまだ子供っぽさも残る。それに今回はハンデにも恵まれた。強い勝ち方だったけれど、この馬自体の評価はもう少し待ちたいところだね。

人気を集めていた隼人(吉田隼騎手)のクランエンブレムだが、これは馬場が合わなかったのが敗因と見ている。4コーナー手前でロックが上がって行った時、隼人がゴーサインを出しているのにもかかわらずついていけなかった。

跳びが大きいこの馬には、今の福島みたいな荒れ馬場はちょっとキツかったということだろうが、あそこが勝負を分けるポイントだった。そこで追い出してからもイマイチ反応しきれないというのでは、厳しいね。

クラン以外にも、斤量の関係などで力を発揮しきれていない馬も見受けられたが、まだ3歳の初夏。そんな馬たちも盛夏の成長を経て、秋にはきっと、もっと熱いレースを見せてくれるはずだ。

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2007年6月25日

アドマイヤムーンメイショウサムソンという実力馬2頭のつばぜり合い。確かに、見応えのあるゴール前だった。

この名シーンの舞台裏でレースを演出したのは、他でもない。雨の影響で悪化した馬場状態だ。発表は稍重だったが、実際はそれ以上で、重にかなり近いくらいだったと思う。

それだけに、どの騎手も馬場の悪い内を避けようと、外へ外へと意識が向いていたんだ。実際に3、4コーナーはポジションの取り合いのような形になった。外に出ようとする馬と自分の進路を守ろうとする馬がぶつかり合って、間に挟まれた馬が力なく下がってしまうようなところも見受けられた。

要するにかなりゴチャついていたということだが、ウオッカはこの影響をモロに受けた1頭だ。ダービーのように前に馬を置こうとしたが、他馬が外を狙って終始動いていたためそれが叶わず折り合いを欠いてしまうことになり、徐々に消耗。4コーナーを回る頃には余力がなくなってしまった。

反対にムーンは外を回ってスムーズにレースを進められた。もちろん馬の能力もあるし、鞍上がソツなく乗ったということもあるが、一番の勝因ということになると、僕はそこだと思う。

馬場状態がポイントだったということは、ムーンはもちろん、サムソン、ポップロックなど、掲示板に載った馬がすべて外を回っていたという結果も証明しているんじゃないかな。

最後に次回につながる走りができた馬について少し触れたい。

アドマイヤフジ。これだけのメンバーで、ちゃんと勝負に行くレースをして4着というのは評価できる。

トウカイトリック。4コーナー手前から、前が詰まり何もできずにいた。ようやく動けるようになったのは直線の半ばあたり。それでも9着なのだから、良くそこまで来たというもの。距離はもう少し長い方がいいが、スムーズな競馬ができれば変わってくるはず。

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2007年6月18日

各馬の実力にそれほどの差がないレースで、何がものをいうか。斤量、展開、馬場状態……多くの要素が思いつくだろうが、そのひとつの答えを見せてくれたのがマーメイドSだった。

ディアチャンスのユタカ(武豊騎手)だ。シェルズレイがぶっ飛ばす流れを、慌てず騒がずインピッタリの道中。4コーナーまでジッと脚を溜め、絶妙のタイミングで外に出す。

ロスのないレース振りとは、まさにこのこと。後方から脚を伸ばした2着、3着のサンレイジャスパーソリッドプラチナムとはコース取りの差だと思っているんだが、それもユタカが道中この2頭を牽制して、インに入られないように封じ込めていたから。

単勝オッズで1~3番人気が横並びになる混戦模様。どの馬が勝ってもおかしくないレースだったように思うが、勝負を決めたのはユタカの素晴らしい騎乗だった。

それにしてもシェルズレイの岩田はどうしたんだろうか。騎乗経験もあり、この馬のことはよく知っているはずだが、ちょっと気合いを付けすぎてしまったのかな。あれだけ飛ばせば、最後はどうしたって止まるもの。今回はちょっと意外なレース振りだった。

コスモマーベラスも実力が出し切れなかった。こちらは状態面じゃないかな。ヴィクトリアマイルもこの馬にしては「らしくない」惨敗だったけれど、その悪い流れを引きずってしまった感じ。本来ならもう少しやれる馬だけに、次走以降の巻き返しを期待したい。


最後に『ぷくすけ』さん、まだ6月だっていうのに、今年はひとあし先に夏が来たみたいだね。お互い暑さに負けず頑張りましょう。

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去年の秋から始めたこのブログも、今回で100回目。早いもんだなァ、というのが正直な感想。ホンネを言えば、たまに少しおっくうな時もあったりするけれど、それでも続けてこられたのは読んでくれる皆さんのおかげ。いつも本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。


さて、レースの話をしようか。先週は東でエプソムカップ、西でCBC賞が行われた。この2レースを観て僕が感じたのは、いい騎乗をしたジョッキーが目立った、ということだ。

まず取り上げたいのはエプソムカップのダイサク(松田騎手)。ほとんどの人馬が荒れた内を嫌って外に進路を取っていたのにもかかわらず、思いきって内ピッタリを通って、あわやのシーンを演出した。

その判断にはトウショウカレッジ自体に道悪馬場の適性があることも頭にあったと思う。それにしてもソツのない騎乗が主流になっている昨今、ダイサクの思いきったレース振りは新鮮だった。これまでこの馬は短距離ばかりを使われていたけれど、こうして結果を出したことで、距離にメドがついたということも大きいんじゃないかな。

もちろん、勝ったカツハル(田中勝騎手)も素晴らしかった。「逃げる」とか「控える」とかを決めつけずに、あえて馬任せに乗った結果があの位置取りだったと思う。それが大正解で、馬はすごくリラックスして走ることができた。

勝負所の判断も冴えていて、直線で「ここしかない」というところにスッと入っていくタイミングなんて、ニクイほどだ。それが結果的に同じところを狙っていたダンスインザモアを封じることになったんだから。乗れているというのは、まさにこういうこと。よく周りが見えているんだろう。


もうひとり、最高の騎乗を見せてくれたのは、CBC賞の四位だ。まず評価したいのが、出遅れて慌てなかったどころか、腹をくくってインコースに進路をとったところ。マイナスをプラスにするという思考だよね。

そしてペールギュントをはじめとした有力馬が馬場のいい外を回るなか、最短距離で直線まで進め、そこではじめて少し外に出して馬場のいいギリギリのところで脚を伸ばした。馬の力はもちろんだが、勝利をたぐり寄せた鞍上のファインプレーは際立っていた。

いい騎乗、ファインプレーというのは、観ている方からすればレースの価値を高めてくれる素晴らしいもの。元騎手、そしてファンとして、これからもジョッキーたちの活躍を期待したい。

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2007年6月 4日

久しぶりの顔を見ると嬉しくなるもの。今日もはるばる新潟からお客さんが来てくれて、結構長い時間おしゃべりしたんだけれど、楽しかったな。そういえば、昨日も新潟からのお客さんが来たんだった。ちょっと面白い縁だね。


安田記念はダイワメジャーが横綱相撲。コンゴウリキシオーとの着差はクビだけれど、実質はクビ差以上。実際に馬上で競ったアンカツ(安藤勝騎手)とシンジ(藤田騎手)は特にそう感じたんじゃないかな。

でも、4コーナーあたりでは見ていてちょっと危ないなって思ったんだけれどね。アンカツが外のスズカフェニックスばかり気にしているもんだから。まぁ、さすがにすぐ目標を定めて、リキシオーを捕らえにいったわけだけれど。

メジャーが新境地に達したかもしれない、と思ったのはここ。ゴーサインを受けてからの反応がこれまでとはひと味違ったんだ。「スパッ」とまではいわないけれど、「スッ」という感じで脚を伸ばした。斬れる脚があるタイプじゃなかったのにね。

今回は調教のパターンを変えて、当週に強い追い切りをしたんだけれど、その影響かもしれない。走る気持ちがより高まったからなのか……まだ正確なところはわからないが、とにかくメジャーが新味を見せたのはその影響だと思う。

桜花賞のカタマチボタン、ヴィクトリアマイルのデアリングハートなど、春GIで惜敗が続いているシンジ。でも、全部巧く乗っているんだよ。今回もコンゴウの気分を損ねないように、道中マイペースで走らせた手腕は際立っていた。それが終盤の粘りにつながったんだからね。もちろん負けたことは悔しいだろうが、賞賛されるべきレース運びだったと思う。

そんな完璧なレースをした人馬ををねじ伏せるんだから、メジャーの力は一枚も二枚も上だったということ。安定感があり、さらに凄みもある。宝塚記念での好走も予感させるような、素晴らしい内容だった。

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2007年5月28日

東京競馬場に訪れた13万人の観客。その数多くの競馬好きと一緒に、僕は64年振りという歴史的な快挙を見届けた。

ウオッカ。パドックを悠然と歩く姿は、初めての長距離輸送とは思えないくらいに落ち着いていた。周囲からは「おい、牡馬みたいだな」という声も聞こえてきたほどだ。

展開も味方した。各馬の動きが少なく、このレベルのレースにしては珍しくゴチャつくようなこともなかった。僕の見解では、流れ的にタフというよりは、牝馬のレースに近くなったんだと思う。それは牝馬のように繊細で、少しでも衝突したりすると弱いドリームジャーニーが5着にまで来ていることに象徴されている。だからインコースでジッと脚を溜めていたウオッカも、揉まれることなく終始マイペースでレースを進めることができたんだ。

そして四位がゴーサインを出した時、その瞬間の反応は桜花賞時とは雲泥の差。アッという間にアサクサキングスを捕らえ、33秒0というダービー史上最速の上がりでトップゴールを駆け抜けた。劇的なレースを見せてくれたウオッカ、そして関係者に拍手を贈りたい。

残念だったのは、7着に敗れたフサイチホウオー。スタート良く出て、その後は道中ずっと引っ掛かり通し。あれでは勝てない、というかよく7着に来たと思うほど。

これはあくまで結果論だが、追い切りの時点でピークをむかえてしまったんじゃないかな。調教の動きが素晴らしかっただけに、そう思うね。体は仕上がっているから、馬はすぐにでも走りたかった。レースが待ち遠しかった。それで当日までに待ちきれなくて、実際に走る時は気持ちが空回りしてしまった……。

完璧に仕上げたのに力を出し切れなかったというのは皮肉なものだが、これも競馬の難しさ。64年振りの牝馬優勝という華やかさの裏にこういうことがあるのも、また競馬なんだよなァ。

レース後、4着だったサンツェッペリンのマサミと話をした。「悔いのないレースができたか?」って言ったら、「ハイ」とひと言。その顔つきは、いつもより少し引き締まっていたように思う。

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2007年5月21日

最後の直線。押し切ろうとするベッラレイアに、離れた外を通って襲いかかるローブデコルテ。どっちだ、と並んだところがゴール。態勢はローブデコルテが優位に見えたが、僕の気持ちはベッラレイアにあった。

僕は前回、鞍上の秋山のことを「きれいに乗るタイプ」と評した。そこには、もっと貪欲に勝ちに行く姿勢を見せてほしいという思いもあったんだ。

特に外の出し方。馬込みで脚を溜めるベッラレイアにとってのポイントだけに、そこは多少泥臭くてもいいから自分達のタイミングでいってほしかった。

秋山は僕の期待に応えてくれた。ここで出るんだ、という強い意志を持ってベッラレイアを外に出し、抜け出してからはガムシャラに馬を追った。その姿からは、勝ちたい、絶対に勝つぞという気持ちがビンビン伝わってきた。

結果はわずか9センチ差での敗退。勝てなかったんだからベストな騎乗ではない。もっと追い出しを我慢すれば、と批判する人間も多いだろう。でも、僕はこの大舞台で秋山が見せてくれた、勝利にこだわったレースを評価したいと思っている。

各馬のレース振りについて話そう。ローブデコルテはユーイチ(福永騎手)が好騎乗で勝利にエスコートした。Cコースに替わって走りやすくなったインコースをピッタリと回ったのが最大の勝因。ベッラレイアが早めに動いたことで、スペースができたこともこの馬にはプラスだったと思う。ちなみにパドックを見ても、メンバー中1番のデキの良さだった。

3着ラブカーナは、自分のスタイルを貫いたのが正解。ペースもハマったね。ミンティエアーは金曜日に美浦で見たよりもパドックで細く見えた。レースはマサヨシ(蛯名騎手)が巧く乗ったが、勝ち馬と0秒2差の4着。これは現時点での能力差だろう。夏を越して、体ができてくればもっと上を狙える馬だと思う。NHKマイルC馬のピンクカメオはこの距離で5着ならば健闘したほうじゃないかな。マサミ(松岡騎手)のハロースピードは折り合ってレースを進めていたが、この距離はちょっと長かった印象だね。


さて、今週末はいよいよダービー。水曜日、僕はフサイチホウオーヴィクトリーなど、有力馬の調教を見に栗東に行くつもり。その様子は次回報告させてもらうので、お楽しみに!

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2007年5月14日

レース前から、コイウタの具合がいいことは聞いていた。でも、いわゆる自信満々というのではなく、話しぶりからは相手が強いことを認めている、いや、把握しているといったほうがいいかな。とにかくコイウタと有力馬との力関係を現実的にとらえていることが感じられた。

「敵を知り、己を知れば百戦して危うからず」というけれど、思い起こせばこの時から、僕はマサミ(松岡騎手)の快挙を予感していたかもしれない。

マサミはコイウタに乗るのはこれが3戦目だ。レース前のイメージは、同じマイルでいい脚を使った前走のような競馬だったんじゃないかな。それでも、アサヒライジングとヨシトミ(柴田善騎手)が作った緩ペースに逆らわず、道中は先行集団の6番手あたり。ここで流れに乗れたのは大きかった。

「これはいけるかもしれない」と思ったのは4コーナー。ジッと脚を溜めているところを見て、前走の末脚を思い出した。あの脚が使えれば……とね。

それでも直線、アサヒが馬場のいいところを通って粘り込みをはかる。「アッ、このまま逃げ切られるかもしれない」と思ったね。そこでマサミが一旦内に切れ込み馬群を避け、さらに抜け出してから馬場のいいギリギリのところをめがけ再度外(アサヒに寄っていく形だ)に馬を誘導する。

勝利ジョッキーインタビューでも取り上げられていたが、ここでの判断の速さが勝負をわけた。迷わずに内を突き、そしてまた外へ出す。ファインプレーといっていいだろう。

アサヒを交わし、ゴールに入るまでは観ていて力が入ったなァ。勝ったのがわかったときは、もちろん嬉しかった。皐月賞の時だって、心の底は「マサミに勝たせたい」と思っていただけになおさらだよね。

その後マサミとどんな話をしたかって? 電話が掛かってきたから、「これで天狗になるなよ」って(笑)。「大丈夫ですよ」って笑っていたよ。

この勝利で周りからの期待はさらに大きくなると思う。それだけに、今以上に謙虚に、そして向上心をもって頑張ってほしいと思っている。それでも、やっぱりよくやった。上手く乗った。好騎乗だった。マサミ、おめでとう!

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2007年5月 7日

誰もが荒れる、荒れる……という予感を受けていたと思うんだけれど、まさかこれほどとは、というのが大部分なんじゃないかな。

馬連30800円、そして3連単9739870円(JRA重賞で最高配当)というのだからね。100円で1000万近くかァ、僕もさすがに3連単をとった人の顔が見たくなる。

この大波乱、分析すると考えられる要因は大きく天候とペースのふたつだろう。そこに騎手心理が絡んできての結果だと思う。

まず天候について話すと、降雨の影響はかなりあったはずだ。アサクサキングスの幸四郎も「雨がこたえた」といっていたが、一部の有力馬には厳しいマイナス要素であり、勝ったピンクカメオを筆頭に、シベリアンバードなどの上位入線馬には恵みの雨となった。馬場発表は稍重だが、実際に走った馬は重以上に感じていたんじゃないかな。

そしてペースだが、時計以上に厳しい流れだった。終始ひとかたまりになって泥んこの馬場を進むのだから、もまれるのと道悪とで馬にはかなりの負荷がかかったと思う。内枠の馬のほとんどが下位に敗れたのにも、そこが影響しているはずだ。反対に外枠をひいたムラマサノヨートーに関しては、元来気難しいところがあって、近くに馬がいると嫌がるタイプだけに大外枠も好走の要因だったと思う。

最後に騎手心理。今回はレースのあやが大きく運命を分けて皮肉な結果になった。勝ちにいって最高のレースをしたシンジ(藤田騎手)が負けて、勝ちたい気持ちを殺してベターな競馬をしたウチパク(内田博騎手)が勝ったんだから。

直線で前が壁になった時、ウチパクは腹をくくったと思うんだ。「これはもう、とにかく自分の思うとおりにやってみよう」と。そして、まだ馬に余力があることを感じてピンクカメオを外に出した。あとはままよ、だ。

直線の伸びは鞍上の予想を超えていたんじゃないかな。「まさか勝てるとは…」というレース後の感想からもそれはうかがえる。乗っている当人がそうだから、ローレルゲレイロと一度は先頭に立ったシンジも驚いただろう。ただ、シンジとローレルは僕から見ても完璧なレース運びだった。

完璧に勝っても負けるというのが競馬。天候などさまざまな要素が絡んだ今回のレースは、特にそういう部分を際立たせていたと思う。

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まず結論からいうと、メイショウサムソンの成長が今年の天皇賞の最も大きなポイントだった。

一抹の不安要素だった距離が精神面の成長で克服できたということだ。

レースを見たみんなも気付いたと思うけれど、サムソンはこれまでのレースで時おり見せたような折り合い面の不安をまったく見せることなく、淀の3200mをピタッと折り合ってみせた。

そうなれば、前回にも話したようにサムソンの能力はこのメンバーでは抜けている。この勝利は当然といってもいいすぎじゃないくらいのことだと思う。

では、なぜサムソンは成長できたのか。ここからは僕の推測になるが……答えは調教法じゃないかな。

ちょっとした何かだと思うんだけれど、高橋成厩舎に移籍してから調教が変わった。それが意図的かどうかも難しいところだが、ともあれそれがサムソンの精神面に好影響を及ぼした……僕はそう考えている。

さて、2着以下の馬だが、エリモエクスパイアはユーイチが上手く乗った。騎乗だけなら勝っていたが、ここぞというところで前の馬が下がってきたのが痛かったね。そこはレースのあやだが、あれがなければ…と思わせるシーンだった。

トウカイトリックは長距離適性をいかんなく証明した。4着のアイポッパーは、乗った本人も納得がいかないレースだったんじゃないかな。

僕がひそかに期待していたトウショウナイトは5着。まさにギリギリのつくりだった。見ているほうは「ここで動け、あそこで動け」と力が入るけれど、乗っているほうはどうだったんだろう。そっちのほうが以外と冷静だったかもしれないね(笑)。

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これは厳しいかな、と思ったんだけれどね。ベッラレイア。直線で前が壁になったときには、よくて3着かというところだったと思う。

それでも外に出してからの弾け方、これはハンパじゃなかったね。強い。乗り方としてはスタートがよかっただけに、もっと前にいっても……と思ったけれど、オークスの2400mを見越して抑えたのかもしれない。まぁいずれにしてもこれだけの能力を見せたことで、本番に向けて楽しみが広がったといえるだろう。

そのベッラレイアに対して、上手く乗ったのに負けたのが2着のミンティエアー。4コーナーで勝ち馬がもたつく間にその内をスーッと伸びた。レース振りにでは上をいったのにも関わらずこの結果だから、能力の差なのかもしれないね。ただ、この馬もオークスで再度注目してみたい存在だ。

3着のイクスキューズは、途中までハマりかけていたんだけれどね。あれだけスローで流れて、最後我慢できない、止まっているわけじゃないんだけれどもう一度伸びてくれないというのは距離の壁なんじゃないかな。


この日はジョッキーマスターズが行われた。お客さんもたくさん入って盛り上がった。やっぱりこういうイベントはいいよね。お客さんにどうやったら喜んでもらえるか、競馬場に来てもらえるか。今回の成功が、今の競馬界が抱える、そんな問題の答えになる……。僕はそう思っている。

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直線で、「どっちも頑張れ」が僕の本音だった。マサミも応援していたし、カツハルにも勝ってほしかったからね。

でも、この1、2着はあっぱれな競馬だったと思う。サンツェッペリンのマサミは思いきった競馬ができた。ポイントはペースを落としたところで、うまく息が入れられたところかな。それが直線での粘りに結びついたんだと思う。

カツハルも、テン乗りにもかかわらず、ヴィクトリーという難しい馬のことを理解していたね。ペースが落ちたところで少し馬がかかったんだけれど、そこで気を抜かせたというか、息を入れたんだよね。そうしたら単走で逃げるかたちになって、気分よく自分のリズムで走らせることができた。あそこで抑えていたら正反対の結果にもなりかねなかったんじゃないかな。

負けて、その強さをあらためて感じたのが3着フサイチホウオーだ。直線の伸び、加速してからのスピードには目を見張ったね。特に体の使い方が素晴らしかった。体全体を使って伸縮するようなイメージ。こんなホウオーははじめてだった。負けはしたものの、次につながる「伸び」だったように思う。

4着はアドマイヤオーラ。乗っているユタカにしてみれば、ホウオーがあんなに後ろなんて…という気持ちだったかもしれない。あの馬の勝負根性、競っての強さを知っているだけに、ホウオーの前にはつけたくなかっただろうし、できればさらに後方から出し抜けをくらわせたかったはず。こちらもいい脚で追い込んではきているんだけれど、いかんせん位置が後ろすぎた。これはホウオーも同じだけれどね。

皐月賞のレースを振り返り、ダービーを考えると、僕にはホウオーの末脚が強く印象に残る。距離も問題ないだろう。今回はスタートしてもたついたが、久々を叩いた次走はそれも解消されるんじゃはないかな。もう1頭、距離延びていいのがサンツェッペリン。自分の競馬ができればおもしろい存在になれるかもしれない。

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2007年4月 9日

負けたなかにも勝機を見出す。チューリップ賞の敗戦を糧に、見事に巻き返してみせたアンカツとダイワスカーレット

スローペースもあり、早めの動き出しがハマった。前走のようにウオッカを待って馬体を並べることなく、先に突き放したのが正解。まさしく「この馬の競馬」だったと思う。

馬もよくなっていたね。チューリップ賞と比べてもハリがあった。レース前、松田国調教師が「調教法を変えた」ともいっていたが、結果的にそれがあたったんだろう。

スカーレットは馬券ブレイクで対談させてもらった大城敬三オーナーの持ち馬。桜花賞制覇がオーナーの悲願というのを聞いていただけに、僕も自分のことのように嬉しい。オーナー、おめでとうございました。

トライアルとは反対の結果になった2着ウオッカ。4コーナーでの反応が少し鈍かったかな…。この馬本来の動きになかったように思う。目に見えない疲れもあったのかもしれないね。

3着カタマチボタンは、成長途上の段階でこの結果なら優秀といえるんじゃないかな。課題は瞬発力だけれど、かかるところもないし、血統的に距離が延びておもしろいタイプ。いまや関東馬の星だけに、オークスも注目してみたい。

ローブデコルテイクスキューズの4、5着馬はどちらも出が悪かったにもかかわらず、よく追い込んできた。前者はカタマチ同様、距離延びていいタイプだと思う。

スムーズにいかなかったのはアストンマーチャン。スタートがよかったのが逆にわざわいした感じ。ポンと出たらどうしてもいきたがってしまうだろうから、あのスローペースはこの馬にはキツいね。結果的にひっかかってしまい、能力を出し切れない残念なレースになってしまった。

敗戦を糧に、ダイワが見事花開いた桜花賞。持続性の脚を披露したこの馬にとってオークスへ向けても視界が開けたのは間違いないが、次は全馬にとって初の2400m。巻き返しをはかるウオッカはもちろん、距離延長がプラスになりそうな今回の3、4着馬。さらには未知の魅力を持つ、別路線組など。3強の構図が崩れた桜花賞後、牝馬戦線はより目が離せない展開になった。

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勝ったのはよかったけれど、まだ物足りない、というのが僕の本音。大阪杯のメイショウサムソン、このメンバーならもう少し離せるかと思った。

それでも収穫は折り合い面。同じ2000mでも、昨年秋の神戸新聞杯とは雲泥の差。あの時は鞍上の「早めに仕掛けよう」という意識ばかりが先にたっていたけれど、今回はゆったり乗れる阪神コースだけあって人馬一体、馬も怒っていなかったんだよね。これなら天皇賞も、という気になる。

2着シャドウゲイトには半馬身差か。この世界は結果がすべてとはいうけれど、やっぱり期待が大きいだけ二冠馬には内容も求めてしまう。もっとできるはず、と思うんだよね。


同じ1番人気でも、こちらは残念な結果になってしまったのがダンスインザモア。7着の理由は、いわずもがなの出遅れだ。練習ではあの癖は出なかったというが、レースで出てしまうんだから仕方がない。対処法とすれば、実戦形式で練習を繰り返すことかな。例えば鞍上が乗ったり…だね。馬は助手と騎手の違いがわかるものだから、助手が乗った練習だとどうしても効き目が薄いんだよ。

勝ったピカレスクコートはもともとの素質が、気性面の成長で開花した印象。前はもっと引っ掛かる癖があったものだけれどね。いやぁ、大人になった。

嬉しかったのは2、3着。コイウタのマサミとマイネルハーティーの隼人だ。

どちらも上手く乗った。マサミの方は4コーナーを回るあたりがポイントだった。前の馬が止まって下がってくるところを、無難におさえようとせずに、むしろ巧みに馬群をぬった。あそこの立ち回りがなければ、2着どころじゃなかったと思う。

隼人は後方からの競馬に徹していた。もう少しペースが速ければ差しきっていたんじゃないかな。11番人気の穴馬をよく3着にもってきた。こちらもファインプレーだったね。

レースうんぬん、馬券うんぬんを超越して、後輩の活躍は素直に嬉しくなる。こんなふうに毎週いい競馬を見せてくれれば、僕も機嫌がよくなるってもんだ。


そうそう、いつもメールをくれる『ごっちゃん』さん。厩務員の研修がはじまったとのこと。質問があればドシドシください。できるだけ答えようと思っています。

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「思った通りの競馬ができました」というユタカのコメント。なるほど、確かに見事な騎乗だった。

半マイルの競馬とでもいおうか。中京で追い込みは決まりにくいということを熟知した上での早め、早めのレース。もちろん、流れが遅くなったこともキッチリ読んでのことだ。

中団の外め、プリサイスマシーンの後ろで馬場のいいところを通り、直線ではまっすぐ伸びてきた。馬の力を信じていたからこその好騎乗。仕掛けのタイミングもバッチリだったね。

対照的だったのがマイネルスケルツィ。もう少しいかせてもよかったんじゃないかな、という感じ。できるだけ馬を刺激したくなかったのかもしれないが、スズカが早めに出てきたときについていったら違う結果が出たかもしれない。

馬場のいい外をよく伸びて2着のペールギュントはのど鳴りのこの馬にとって恵みの雨だったのか。重賞2勝の実績馬の復調を思わせる末脚だった。4着ビーナスラインはもう少し距離があれば…という感じ。あの競馬では、中京1200mだとさすがに届かない。

残念、無念はシーイズトウショウ。馬場の一番悪い内に最後まで閉じこめられてしまった。これでは力は発揮できない。人馬ともに責められない。

プリサイスマシーンは、やっぱり前走がピークだったんじゃないかな。本来なら4コーナーでもっと動ける馬なはず。そこの反応の違いで2着馬にも差されてしまった感じ。ピーク時ならば勝ち馬とも際どい競馬ができたと思う。

全盛期のガツンとしたところがなかったオレハマッテルゼ、鞍上との相性で不安が的中してしまったアンバージャックと、いわゆる伏兵視された馬はもうひとつ力を出し切れなかった。

好騎乗、展開、馬場とすべてが上手くいったのがスズカフェニックスだが、スプリントで2馬身半は力の差。主役不在だった短距離戦線に楽しみな存在が生まれたといってもいい。

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先週のポイントはズバリ「我慢」だった。


スプリングSのノリ。勝負どころの3~4コーナー。立ち後れて若干ロスしてしまったフライングアップルは最内にコースをとっていた。ここで12秒台にペースが落ちる。乗り役としては動きたい衝動にかられるところ。1番人気なんだからなおさらだ。

でも、ノリは我慢した。内でジッと脚を溜め、最後の直線で爆発させた─。

あくまで結果論だが、もしもあそこで動いていたらマイネルシーガルをとらえることはできなかっただろう。そこを我慢したノリは好判断だった。もちろん、鞍上の指示通りにジッとしていたフライングアップルもほめてあげたい。

2着のシーガルは自在性を生かして好走した。結果は惜しかったけれど、スッと好位につけて最後まで我慢するというレースは素晴らしかったと思う。こんな競馬ができるのは後藤が実戦で教育してきた成果。馬にレースを教えることも乗り役の仕事のひとつだから、今回は「いいものを見せてもらった」という感じだ。

がんばった3着はエーシンピーシー。渋く伸びているんだけれど、いかんせんエンジンのかかりが遅いんだよね。鞍上のゴーサインにスッと反応できるようになればもっと上を目指せるはずだよ。

マサミのサンツェッペリンは8着。もともと叩き良化型でもあり、次には変わってくるだろう。今回はおさえる競馬をさせたが、この経験も本番で必ず生きてくるはず。結果は残念だったが、内容は皐月賞につながるレースだったと思う。


もうひとつの「我慢」は阪神大賞典。アイポッパーに乗ったユタカだ。

こちらも3~4コーナー。外からトウカイトリックデルタブルースが上がってくる。「被せられたくない」という心理から動き出したくなるところだ。

それでもユタカは我慢した。しかも、あえて動かないことで他馬(トウカイ、デルタ)の動きを牽制してみせたんだ。


レースのなかで、乗り役はコンマ何秒で判断を迫られる。反射的に体が動いてしまうような状況下のなかで、自分に有利になるための我慢をするというのは考えるよりずっと難しい。その「我慢」ができたということが、この2レースを決めたんだと思う。

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2007年3月12日

道悪になったということもあり、タフなレースになった中山牝馬S。ここが引退レースになる馬(マイネサマンサは協議中)のワンツーという決着も、豊富なキャリアがものをいったという見方もできる。

勝ったサマンサは近走不振だったが、スタートでごちゃつき、当初の想定外のレースになったのが結果的に新味を引き出すことになった。もちろん、状態面の後押しもあったはずだ。

負けたウイングレットは正攻法で自分の力を出し切ったんだが…。もうワンパンチがあればと思ってしまう。でも、19戦中15戦の手綱をとったカツハルと最後まで息のあったレースをしてくれたことに拍手を贈りたい。

思い切った騎乗で3着好走はヤマニンメルベイユ。最近乗れている勝浦はセンスの良さが開花しつつある。あまり目立ってないけれど、人気以上に馬を持ってくることが多くなってきた。

残念だったのは実績馬2頭。桜花賞馬キストゥヘヴンは5着。このメンバーだったらもうちょっとやってほしかったというのが本音。今回のサマンサじゃないけれど、機会を見てこれまでと違うレースをしてもいいかもしれない。

キスよりも厳しかったのが1番人気のアサヒライジングだ。スタートで後手を踏んでしまったのをきっかけに、どんどん人馬のリズムが狂っていった。道中も揉まれて珍しく折り合いを欠いてしまったし、アサヒ、ヨシトミともに「らしくなかった」ね。そうなってしまうとアサヒほどの実力馬でも惨敗やむなし、だ。


中山の混戦模様とはうって変わって、阪神のメイン・フィリーズレビューはアストンマーチャンの独壇場。ただし本番でウオッカを負かすにはもっと思い切った策が必要なんじゃないかな。たとえばあえておさえずに、スピードに任せたレースをするとか…。ともあれ、このレースで牝馬のクラシック戦線はかなり順列が見えてきたように思う。

フィリーズレビューではもう1頭取り上げたい。2着のアマノチェリーランだ。先行勢で唯一粘った根性はキラリと光った。本番でも注目してみたいね。

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土曜、日曜のクラシックトライアルは、ともに「着差以上の強さ」がキーワードだったように思う。


まずはチューリップ賞だけれど、このレースはウオッカの強さだけが目立った。横綱相撲でライバルといわれていたダイワスカーレットに完勝。もっと追っていれば3~4馬身くらい離していたかもしれない。

それにしてもこの馬の充実は著しいね。阪神JFの頃に比べて馬体もひとまわり大きくなって、首まわりだけを見れば牡馬と見間違えるほどパワーアップした。ここからあのナタの切れ味を思わす力強さが出ているんだろうね。

対するダイワは前回も書いたように、正攻法で負けたとなれば本番は違うレースをすべき。思い切った一か八かの乗り方もいいかもしれない。


弥生賞のアドマイヤオーラも完成度の高さを見せ付けるような勝ちっぷり。相変わらずゴムまりのような弾け方だったね。着差はクビ差だったけれど、乗っているユタカにしてみれば余力残しだったんじゃないかな。追ってきたココナッツパンチを見る、その視線にしても余裕を感じさせた。

そのココナッツパンチはいっかいのキャリア1戦馬ではないことを証明した。特に直線で他馬にぶつかりながらも伸びてくる根性は評価できるね。この馬、本番で大化けするかもしれないよ。

3着に敗れたけれど、ドリームジャーニーは悲観する内容じゃないと思う。課題だった折り合い面で進境を見せ、距離にもメドが立ったのだからね。

4着のメイショウレガーロは現時点での力は出し切ったが、逆にいえばこれが力の差。チューリップ賞のダイワ同様、本番では立ち回り方で工夫して勝機を見出したいところだ。

最初に僕は「着差以上の強さ」をポイントにしたけれど、実はそればかりではないのがトライアルなんだよね。負けた馬がどんな課題を見つけ、本番に向かおうとしているのか…。こういうところもちゃんと見ていきたいものだね。


最後に、土曜日のオーシャンS。勝ったのはマサミが乗ったアイルラヴァゲイン。4コーナーの仕掛けどころでも落ち着いていたし、上手く乗ったと思う。ちなみにこのレースはマサミ、隼人、津村といつも可愛がっている後輩が1着~3着を独占。これはホント、嬉しかったね。

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2007年2月26日

思い通りのレースをした者、そうならなかった者。ターフの上ではそれがハッキリ分かれるものだが、特に中山記念は対比が際立った。

勝ったローエングリン。その勝因は4つある。まずは後藤の好判断だ。内枠に入った時点で決めていたんじゃないかな。素晴らしいスタート、思い切った逃げの作戦が見事にハマった。

2つ目は前任者の教育が実を結んだということ。カツハルがおさえる競馬を教え込んだおかげで、以前のように気負った走りではなくリラックスして逃げられるようになったんだよね。

3つ目はペースが開幕週としては遅かったこと。そして最後に他馬がこの馬を楽に逃がせすぎたということだ。

同じ伊藤正厩舎でも人気で上回っていたエアシェイディだが、結果は2着に敗れてしまった。少し早めに動いたが、遅い流れを勝ちにいくならあそこで仕掛けるのは正解だし、内には進路がなく外を回ったことも仕方ない。展開が合わなかったといえばそれまでだが、それでも2着なら価値がある。

3着のダンスインザモアは直線の伸びが目立っていただけに出遅れが痛かった。4着シャドウゲイトは前走から4キロ増の斤量で好走できたのは、今後に向けて明るい材料だ。

マサミが乗ったグレイトジャーニーは5着。この馬向きのペースではなかったし、距離も少し長かったかな。いい脚が使えなかったね。

展開のカギを握ると思われたインティライミは最下位(16着)だった。前回の暴走を踏まえてヨシトミが意識的におさえたのか、ローエンの好スタートを見て控えたか、他に理由があったのか…ハッキリとはわからないが、もう少し積極的なレースをするかと思っていたんだけれど。これだけ負けてしまったのは、揉まれる競馬になると走る気をなくしてしまう精神面の弱さなんだろうけどね。

1着のローエン、最下位のインティライミの対比は残酷なほどだが、これも競馬のひとつの姿なんだ。

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雨の影響で時計が出やすい馬場になったフェブラリーS。レースのポイントは、半マイルあたり。ここで1~3番人気の馬がどう動いたかだ。

アンカツはおそらくここでこう思った。「このままじゃ前をとらえきれない」。そこでサンライズバッカスにゴーサインを出して、動きはじめたんだ。本来ならば、それでも届かない位置だったが、雨が味方するという判断もあったかもしれない。

幸はアンカツが仕掛けるのを見て、自分もいきたいと思ったはずだ。3~4コーナー。いかんせん、ブルーコンコルドは内にモタれてしまう。カーブで内にモタれると、動くに動けない。それはどんな騎手が乗ってもそうなんだ。結果的に、ブルーコンコルドはサンライズに遅れをとることになってしまう。

この2頭と同じような位置にいたのがユタカのシーキングザダイヤ。ただ、ユタカはここで仕掛けようとはしなかった。もちろん、それがベターということはわかっていたと思う。それでもユタカは我慢した。それは、「ここで動いても勝てない」からだ。つまり2~3着をよしとしない、より勝ちに行く競馬をしたということだ。

結果は、馬場状態の力も借りてサンライズバッカスが伸び、ブルーコンコルドは最後まで遅れを取り戻せず、シーキングザダイヤの末脚は不発に終わった。

それでも僕は、結果ではなく内容に目がいってしまう。ユタカの姿勢を評価したいんだ。勝ち味に遅い馬を「勝たせるため」にした決断。それがあの半マイルでの我慢だった。それは元乗り役として共感できるものだったんだよね。

この3頭以外に話を移そう。3着のビッググラスは積極的な競馬をして、あそこまで粘れるんだからたいしたもの。今後が楽しみな1頭だ。4着カフェオリンポスはずっと好調を維持していたことが生きたんだろう。5着フィールドルージュは自在性がなく、決まった形でしかレースができない弱みが出たかな。


最後に今日はお便りに答えたいと思う。関西のごっちゃんさんからマサミに関する応援メール。彼は負けず嫌いで頑張り屋。競馬に関してはすごく真面目だからこれからもっと伸びると思う。だから今後とも応援してやってください!

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1.3倍の断然人気馬・オーシャンエイプスが4着に負けたきさらぎ賞。この馬の敗因にはもちろん触れたいが、まずは勝ち馬のことから話そう。

アサクサキングスは思い切った戦法を取り、自分のペースで逃げられたのがひとつの勝因。ジリジリと長い脚を使うこの馬の持ち味を十分に生かすことができた。聞けば陣営からこういうレースをしてほしいという指示があったみたいだね。スタート後の感じではもっと流れが速くなるかと思ったけれど、道中うまくペースを落ち着かせたのは幸四郎のファインプレー。

もうひとつの勝因は、2、3番手以下の馬がオーシャンエイプスをマークしすぎたということ。3着サムライタイガースのアンカツは好スタートながらあの馬にあわせて少しおさえたし、2着ナムラマースのペリエもユタカマークだった。

そのオーシャンエイプスは、僕の目にはスタート後少し鞍上と呼吸があわない場面があったように映った。落ち着いて、気持ちよさそうに走っていた前走と比べるとかなり気負っている感じだったな。

そしてポイントは向こう正面。このレースで「このままじゃマズイ(逃げ切られる)」と最初に気付いたのはユタカだった。そこで彼はさすがの判断力でそこからスパートをかける。もちろん、タイミング的には文句のつけようがない。

だけど、馬はユタカの判断力についていけなかったんだ。これは気負って走っていたことにも通じるけれど、ハッキリいえば経験不足だろうね。古馬に乗ってするようなレースはまだ難しかったんだろう。一番速く動いているぶん一番長く脚を使うことになり、最後まで伸びきれなかった。

ただ、これで見限るのはちょっと早い。この馬はいずれ走ってくる。キャリアを積んでいけばまたいいレースを見せてくれるはずだ。

最後に1点。3コーナーすぎ、流れが速くなったところでついていけなかったナムラマース。エンジンのかかりが遅いところは難点だが、そんな状況でも2着に追い込んだ脚は見応えがあった。「負けて強し」の内容だったように思う。

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共同通信杯、僕のなかにある「ホウオーに勝つためにはこういう乗り方」というイメージに一番近かったのが2着のダイレクトキャッチだった。

馬体を並べずに、一瞬の脚で抜き去る…。ただ、道中で外を回りすぎてしまったね。そこでロスしてしまった。ホウオーよりもインに入っていればあの馬をもう少し苦しめることができたんじゃないかな。

3着のフライングアップルが思ったより粘ったのもダイレクトには痛かった。併せ馬の形になって、ホウオーの負けん気に火を点けてしまったからね。単走で抜け出すようだったら気を抜いたかもしれないんだけれど。

それにしてもホウオーは根性のある馬だ。並べばまず抜かせない。それにアンカツの騎乗もよかったね。4コーナーまでじっと動かず、いざ追い出すときのタイミングもバッチリだった。風林火山の「動かざること山のごとし、侵略すること火のごとし」という言葉を彷彿とさせた。それに他の馬は眼中になく、ただホウオーだけの競馬をしていた。アンカツはよほど自信があったのだろう。

レース後の「思ったより伸びなかった」というコメントは、余裕のある体だったということからきているんだろう。絞れてくればまた弾けるだろうし、逆にいえばそれでもこの強さなんだから他馬とは完成度が違う。ひとつ気になっていた右トモと左トモのバランスの悪さも解消されていたね。

4着のニュービギニングは成長途上といった感じ。返し馬の動きはちょっと硬くて、馬体にもあまり迫力は感じなかった。それでも前走よりもパドックはよく見えたし、ユタカの折り合い重視の乗り方は今後に生きてくるだろう。これからの成長に期待だ。

地方から挑戦して7着だったフリオーソだが、今回は初めての芝で戸惑っていたように見えた。物見をしたり、気を使いながら走っていた感じだったんだよね。馬体のレベルはかなり高いし、今回でこの馬を見極めるのは早計だろう。次走こそ本当の意味での試金石なんじゃないかな。

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関東馬で最先着はヒカルウイッシュ。う~ん、関東陣営にとって根岸Sは残念なレースだったね。

それでも勝ったビッググラスの乗り役は関東の村田一誠。これが重賞初勝利か。おめでとう!

ビッグはペースを味方につけて強い競馬をしたね。トウショウギアが逃げたレースは乱ペースといっていいものだった。それを馬なりのまま追走して、最後はいい脚を使って伸びてきたんだから、それまで先行してジリジリ伸びていたこの馬にとっては新たな一面が見えたといえる。

そのペースのなかを先行して2着に粘ったシーキングザベスト。負けたとはいえ能力を感じさせる内容だった。ただ、ゲートを出てから少し馬が怒っていたね。その後折り合いはついたけど、もう少しスローだったらもっと行きたがったかもしれない。そう考えると、乱ペースが災いしたとは一概にいえないと思う。

3着のニホンピロサートは道中の位置取りを考えると、もっと伸びていいかなという印象。3コーナーできゅうくつそうに走っていたから左回りがよくないのかとも思ったけれど、もしかしたら以前よりズブくなっているのかもしれない。

先行して、そのままなし崩し的に脚を使わされたのが4着のリミットレスビッド。でも、勝ちに行って前を追いかけたのだから仕方がない。むしろ勝負の姿勢を評価したいね。

上り馬のボードスウィーパーはニホンピロサート同様、もう少し伸びてもいいような位置取りだった。一瞬はスッと抜けるかとも思ったけど案外だったね。


この根岸S、同じ日に行われた京都牝馬S、さらに土曜の東京新聞杯と、勝ったのはすべて関西馬。これで4勝7敗、1月は関西勢の勝ち越しだけれど、まだまだ今年の競馬ははじまったばかり。頑張っていこう、関東馬!

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インティライミの逃げではじまったAJCC。結果的にオーバーペースになってしまったが、この逃げにはふた通りの見方がある。ひとつは文字通りの「折り合いを欠いて暴走気味に逃げた」というもの。もうひとつの見方は、「こんどこそ復調のきざしが見えた」だ。

確かに力んで走っていたが、そのいきっぷりは全盛時にだいぶ戻っていたという印象。もちろん前走よりもそのきざしは強かった。

ただし、それが今回は逆手に出てしまった。つまり、走る気になったからこそ、力みすぎて暴走気味になったということ。最初にあげたふたつの見方は、実はつながっているんだ。

僕は前回、インティライミがペースのカギを握ると書いたけれど、結果的にその通りになった。上位に入線した馬のほとんどがその恩恵を受けたといえるんじゃないかな。

勝ったマツリダゴッホもハイペースを利した1頭。もちろん、キチッとペースを読み切って、道中もこの馬のリズムを乱さずに乗ったノリの手腕あってこそだが、5馬身差は能力の差だけではなく、ペースを味方につけた結果だと思う。

2着のインテレットは出遅れたが良く追い込んだ。でも鞍上にしてみれば「あれがなければ…」と悔しくなるようなレースだったかもしれない。3着のシルクネクサスはマツリダをマークしていたのが功を奏した形で、これもペースを味方につけた。

ダービー以来だったジャリスコライトはゆったりと走っていて精神面で成長がうかがえた。先行して5着に粘った内容も休み明けにしては評価できるんじゃないかな。これからさらなる良化が見込めると思う。

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今日は馬券ブレイクの取材で、「ダイワ」の冠名でお馴染みの大城敬三オーナーにお会いしてきた。オーナーは今年83歳になるというのに元気な方で、毎週のゴルフはかかせないという。僕もゴルフは嫌いじゃないから聞けば、なんと230ヤードも飛ばすんだって。これには驚いたよ。他にもメジャーやスカーレットの裏話などいろいろ興味深い話をうかがうことができた。詳しくは2月13日発売のブレイクに掲載されるから、ぜひ読んでほしいな。


そんなオーナーも「彼は見込みがある」とおっしゃっていたのが京成杯を勝ったマサミ。サンツェッペリンを思い切った騎乗で勝利に導いたレース振りは、まさに彼の真骨頂なんじゃないかな。

逃げようと決めていたに違いない。ゲートの出方からして、「いくぞ」という感じだった。その判断で勝負ありという感じだが、道中のペース配分も絶妙で、追い出しのタイミングも良かった。いい脚を長く使うタイプのこの馬の適性を十分に発揮した好騎乗だったと思う。

マサミが所属していた前田厩舎の調教助手だったのが、サンツェッペリンを管理する斎藤誠調教師。亡くなった前田先生とつながりのある馬で勝てたということで、彼も嬉しさは格別だったと思う。それがゴール後のガッツポーズにあらわれていたのかもしれないね。

もちろん、ケガから復帰していきなりの大舞台で勝てたということもあっただろう。それにしても、そんな状況であれだけ思い切った競馬ができるのは彼らしいというか、今の若い騎手みんなに通じる大胆さというか…感心したね。

2着のメイショウレガーロはスタートで後手を踏んで、道中はスローペース特有のごちゃついた馬群でスムーズさを欠いた。直線ではいい脚を使って追い込んでいただけに、そこが残念だった。ただ、勝ち馬との能力差はさほどないんじゃないかと思っているんだ。今回は流れの差、サンツェッペリンを楽に逃がしたのが敗因だろう。


先々週はシンザン記念、先週は京成杯と3歳重賞が続いたけど、レベル的にはシンザン記念のほうが上だったんじゃないかな。アドマイヤオーラダイワスカーレットの2頭はクラシックにより近い存在だと思う。ただ、まだまだ埋もれた素質馬はいるんだ。機会があればそんな馬を報告したいと思っているよ。

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前走57キロから53キロという斤量減は、馬にとってはかなり楽になるもの。メンバーは大幅に強化されたものの、中山金杯に格上挑戦してきたシャドウゲイトはその斤量差も生かして前走の香取特別(1000万下)に続く7馬身差の圧勝劇を演じてみせた。

もともと確かな素質を感じさせていた馬だが、前走がいい転機になったんじゃないかな。そこではじめて騎乗したカツハルとの出会いもそうだし、控える競馬から脱却して3歳時のような積極的な競馬で結果を出したことも今回の勝利に繋がっている。

レースでは強敵相手にも思い切った競馬をしたカツハルの度胸が光った。この馬の力を信頼してのことだろうが、3コーナーで馬がいきたがったときに、押さえ込むのではなくそのままスッといかせた判断も正解だった。

2着、3着はこのシャドウゲイトに大きく離された。途中までは2着もあるかと思われたブラックタイドは勝ちにいって、自分から動いたぶんだけアサカディフィートに足下をすくわれた形。それでも後藤の積極的な姿勢は評価できると思う。


この中山金杯の他にも触れておきたいレースがある。シンザン記念だ。今年はダイワスカーレットアドマイヤオーラローレルゲレイロと例年にない高レベルなメンバーだった。

なかでもダイワスカーレット、アドマイヤオーラの2頭は抜けていたね。アドマイヤオーラはこれで3戦連続となる33秒台の上がり。これはこれからのクラシック戦線で大きな武器になるだろう。馬体もまだまだ子供っぽいだけに、今後の成長次第では世代トップクラスの馬にも成り得る。

ダイワの今回は自分の形ではなかった。アンカツもあえておさえこんで、先の桜花賞を見据えたようなレースを心掛けていたように思う。それだけに2着でも底知れないような感じを受けた。この馬も春の主役候補の1頭に違いないだろう。

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阪神カップでは乗り役の明暗がハッキリと分かれた。明はフサイチリシャールのユーイチ。好スタートから道中も折り合いをピタッとつけ、これまで折り合い面に課題がある馬とは思えないほどスムーズなレースをした。

馬もこれでマイラーということが明確になったんじゃないかな。自由に走ればこれだけの力を持っているということだ。それに加えて乗り役の好リードがあって、この強豪メンバーでの勝利に結びついた。

暗はプリサイスマシーンのアンカツだ。彼にしては珍しいミス。道中は完璧だったが、直線で前が壁になり外へも出せず、内にも入れず。ゴール前の伸びは際立っていただけに、あれがなければ…という感は否めない。馬はこの距離がピッタリという感じだった。前走を見てもマイルだとちょっと長い印象かな。

3着のマイネルスケルツィはビッシリ仕上がっていた。いい状態だったよ。ユタカのレース振りもソツなく、陣営としては悔いが残らない敗戦だったんじゃないかな。

僅差で4着に続いたアサクサデンエン。これはようやく調教の良さが本番で発揮された。レース前に指摘していたように、デンエンは短距離向きの馬体が硬い馬。それだけに、距離短縮も好走の要因だと思う。

シンボリグランは人気を裏切る結果になった。具合は良かったし、スタートも悪くない。そして道中も折り合っていた。それでも直線で弾けなかったのがこの馬の難しいところ。鞍上にミスはなかったけれど、まだ常識にかからない面があるんだろう。安定した力を発揮できるようになるにはもう少し時間がかかるのかもしれないね。

騎手というのは勝っても満足がいかないときがあれば、負けたときでも納得がいくレースができれば満足するもの。レースを見る立場になった僕としては、できるだけ多くの乗り役に満足のいくレースをしてほしいと思っている。それが簡単なことではないこともわかっているんだけれどね。

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驚いた。ドリームジャーニーの末脚には正直ビックリ。まさかあそこまでの脚を使うとは思わなかった。

小柄な馬体といい、ちょっとディープを彷彿とさせるものを持っているね。ただし不安点もある。ゲートだ。さらに高いレベルを目指すには改善していかなくてはいけない。そういえばディープも当初ゲートは苦手だったね。

もったいないと感じたのは、3着オースミダイドウの乗り方。前走はユタカが馬に我慢を覚えさせる競馬をしたのに、今回ペリエはそれを踏まえた乗り方をしなかった。「勝ちに行く」という姿勢はいいと思うんだけれど、個人的にはもう少し「馬にレースを教えていくこと」を頭に入れて乗ってほしいんだよね。

2歳馬のレースだから特に目立つけれど、どのレースでも同じこと。今はとかく目先の結果を求められる風潮にあるけれど、本当に強い馬作りを考えるならば、もっと先を見据えることが必要なんじゃないかな。乗り方はもちろんだけれど、競馬界全体の施策もそうだと思う。

ともあれ、ペリエは早めに好位をキープしようと軽く仕掛けた。中山の1600mは少し外の馬が膨らむところがあるから間違いではないんだけれど、思った以上に馬が反応してしまい、ああいう形になったんじゃないかな。結果的には逃げることでダイドウにとってはキツい流れになってしまった。

ローレルゲレイロはこれまで色んなパターンの競馬をしてきたことが活きていたね。レースで他馬の動きに惑わされず、自分の競馬に徹することができた。その結果の2着はほめられるものだろう。

4着のフライングアップルはよく頑張っているが、まだまだ未完成の馬。これからだろう。正海が乗ったマイネルレーニアは5着。自分のペースで競馬ができたけれど、ジリジリ伸びるこの馬には厳しい流れだったかな。でも、今の時期に苦手なペースを経験したのはよかったと思う。こちらも今後に期待だね。

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絶好のスタート。でも、僕の不安が当たってしまった。アストンマーチャンは馬込みのなかで折り合いを欠いてしまったんだ。

マーチャンは3コーナーを回るくらいまで落ち着きを取り戻せずにいただけに、ウオッカの四位は、「チャンス」と思ったんじゃないかな。位置取りはこの馬の直後。マークしていただけにその動向はよく見えていたはずだ。そして直線、内から抜け出したユタカとマーチャンにあわせてスパートをかけて、外からこの人馬をスパッと交わした。

ゴール前の切れ味も凄かったけれど、この馬の「らしさ」は、その前に発揮されていた。実は直線で外に出たときに、一度バランスを崩していたんだ。だが、鞍上にシッカリと追われながらもすぐに態勢を整えた。これは走りのバランスがいいからできる芸当。並みの馬なら鞍上もまともに追えなかったはずだ。

そのウオッカは、これまでバリエーションに富んだ競馬をしてきた過程、自在性のある走りからもカワカミプリンセスのような印象。対して折り合いを欠きながらも2着に粘ったアストンマーチャンは、スピードに任せた走りをするラインクラフトのイメージかな。この2頭のライバル対決は今後も見物だと思うよ。

3着のルミナスハーバーは小牧のゲートの出し方が素晴らしかった。ゲートからスタートという流れを、周りをうかがいつつも折り合い重視でクリアした。このおかげで馬がマイペースで走れたんだよね。馬体が細いながらもあれだけの走りができたのは、鞍上のアシストが大きいんじゃないかな。

ローブデコルテの4着は大健闘。まだ未完成という感じだけに、これからもっと良くなる馬だと思うよ。5着イクスキューズは外枠からインコースにもぐって…というシンジのイメージ通りのレースだったように思うが、いかんせんペースに泣いた。

僕が期待していたハロースピードは6着。美浦で見たよりも馬体が大幅に細く見えたのがこたえたように思う。もしかしたら長距離輸送に弱いタイプなのかもしれない。でも、レースで力みすぎずに走ることができたのは好材料。これは前走で我慢を覚えたのが活きているね。

この世代の初GIということで明暗が分かれたけれど、まだ勝負は始まったばかり。素質馬がそれぞれ光るものを見せ、今後の成長が楽しみになるようなレースだったと思う。

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やっぱり飛んでくれたディープインパクト。期待通りの走りを見せてくれたね。応援していたみんなもスッキリするような快勝だったと思う。

そのディープを負かしにいって6着だったメイショウサムソン。石橋にはもう少しだけ早く動いてほしかったけれど、最強馬に勝負を挑むその姿勢には好感が持てた。

同じく勝ちにいったハーツクライだが、10着惨敗とは…。栗東で引き運動を見た際には「こんなものなのかな」という印象で、あれだけ走る馬には見えなかったけれど、それが悪い意味で当たったのかな。

2着のドリームパスポートは自分の競馬に徹した組。位置取りは僕が思っていたよりも前になったけれど、インコースで我慢して、追い出すタイミングを見計らった岩田の好騎乗だったと思う。馬自身もとても力をつけている。特に長距離での自在性が出てきたのは好材料じゃないかな。

見応えがあったのは、デットーリとカツハル(田中勝騎手)の駆け引き。勝負所で狭い内に入ったデットーリに、カツハルは終始厳しいプレッシャーをかけていた。もし好きなようにさせていれば、ウィジャボードは2着もあったかもしれない。甘えの一切ないプロフェッショナル同士のぶつかり合い。レースの醍醐味を感じさせてくれた。

4着、5着のコスモバルクフサイチパンドラはどちらもマイペースが功を奏した。特にパンドラは「これからの馬」という印象。まだ本気を出していないね。レース後も息を切らさず、平然としているところを見ると末恐ろしくなる。

と、これだけのメンバーを向こうにまわして、それでも「飛んだ」ディープはやっぱり素晴らしい。直線、ユタカにしては珍しく叩いていたけれど、あれは追っているわけじゃなくて気合いを入れるためのムチ。ディープ自身が大人になってズブくなっていたのだろう。でも、今回こういうレースをしたことは次のレースに繋がると思うよ。

ディープは有終の美に向けて視界良好。あとはハーツが巻き返してくれれば、有馬記念はグランプリにふさわしい好レースになりそうだ。実力馬と一流騎手の激突に見応え十分だったジャパンカップは、年末の大一番に期待の高まるレースでもあったね。

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マイルCSはダイワメジャーが思っていた通りの競馬でGI連勝。うん、強かったね。マイペースでレースを進められたことはもちろんだけれど、ダンスインザムードがちょうどいいタイミングで伸びてきたのもよかった。この馬、1頭になると気を抜いちゃうところがあるからね。

逆にムードはユタカが考え抜いた競馬をして2着。ただひとつ残念なのは、もうすこし馬体を離していたら…ということ。結果的にダイワの勝負根性に火を点ける形になってしまった。

しかしこれでムードはダイワに7連敗らしいね。相性というのもあるかもしれないけれど、転機は毎日王冠にあると思っている。坂下での両馬の接触だ。あれでダイワは勝負根性を活かす競馬を覚え、逆にムードは男馬の力強さにひるむようになったのかもしれない。この次の天皇賞でも似たようなシーンがあったのも影響しているだろう。

他に目立ったのは3歳馬のキンシャサノキセキ。道中は結構ひっかかっていたからどうかなと思っていたけれど、それでいてあの結果(5着)だからね。ポテンシャルはかなり高いんじゃないかな。

このレースはなんと関東馬が1〜6着まで独占。この結果は素直に嬉しいね。来週のジャパンCは登録で関東馬が1頭と厳しい状況だけれど、「まぁ今週はいいか」なんて思ってしまう。

そうそう、そのジャパンCについてなんだけれど、関西馬が断然ということで今週は栗東に追い切りの様子を見に行く予定なんだ。ディープ、ハーツ、サムソンと見たい馬が揃っているだけに今から楽しみにしている。その模様は水曜日のブログで報告できるだろうから、期待してください。

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エリザベス女王杯はカワカミプリンセスの降着という驚きで幕を閉じた。みんなそれぞれ意見があるだろうけれど、僕は「降着やむなし」と思っている。競馬はシビアな勝負の世界だけれど、それもあくまでもルールがあってのものだからね。

勝負所を振り返ろう。直線入り口、アサヒライジングを前に見て、カワカミは内にいくか外にいくかで悩むところだった。そこに外からフサイチパンドラが来る。それでは…と内に入ろうとしたところで、同じところを狙っていたヤマニンシュクルの進路を邪魔してしまったということだ。

本田にしてみれば、もっとスルッと抜けているイメージだったんだろうけどね。勝ちたい気持ちが強くなりすぎたのかもしれない。

ただ、この騒ぎで忘れてはいけないことは、カワカミは強い競馬をしたということ。馬場に脚を取られながらも力強く抜け出す根性、そこから突き抜ける末脚…とにかくレース振りは際立っていた。数字の上では5勝1敗になってしまったけれど、まだレースで他の馬に先着は許していないんだから無敗でいいじゃない。大きな可能性を秘めたこの馬には今後も期待したい。

優勝したフサイチパンドラはレース振りがグングン良くなっているという印象。春は不可解な敗戦もあったけれど、最近は安定して力を発揮できている。これは何より好材料だ。

スイープトウショウはもう1週欲しいところだったね。まだ前走から体が戻りきっていなかったように思う。骨折明けの京都大賞典から天皇賞、そこから中1週でこのレースというのはやっぱりちょっと厳しかった。あと、鞍上の池添はすごく上手く乗れていたね。ここ2走の騎乗は評価できる。

終わってみれば3歳馬が上位をほぼ独占。秋華賞でもわかるように、この世代の牝馬は春の勢力図がそのまま秋に持ち越されている。逆にエアメサイアを欠き、スイープも万全とはいえなかった古馬。そう考えると、有力3歳馬のほとんどがアクシデントなく夏を越せたこともこの結果に繋がっているのかもしれない。

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ブシ(武士沢騎手)がようやく重賞を勝った。真面目で一生懸命で、ちょっと堅物で…。そんな人間が努力の末にこうやって結果を出したっていうのはすごく嬉しい。

レースを見たみんなも思ったかもしれないけれど、仕掛けどころとしては少し早かった。でも、レース後にブシはこういっていたんだ。「馬の気分を損ねたくなかったんです」って。トウショウナイトは下手に抑えると行く気をなくしてしまう馬だから、その面をケアした結果の早仕掛けということ。コンビを組んで23戦、この馬を知り尽くしたブシだからこその判断だったんだ。

レースを見ていて「どうしても勝ちたい、勝たせたい」というブシの気持ちが馬に伝わったと感じたのが、ゴール前、アイポッパーに詰め寄られたときにグイッともうひと伸びした瞬間。こういうのは胸が熱くなるよね。人馬はともに重賞初制覇。この勝利を切っ掛けに、どちらもひと皮むけてほしい。


西ではアストンマーチャンが鮮やかな勝ちっぷり。距離不安をいわれていたけれど、ユタカが抑える競馬を成功させて新味を引き出した。先々を見据えての騎乗だったと思うんだけれど、それがいきなり結果になって表れたね。こんな余裕のあるレースができるんだったら、1600mの本番でも距離面では心配ないだろう。

隼人が乗ったハロースピードはちょっと消化不良な内容。器用な脚がないぶん毎回スタートには気を使うんだけれど、今回は特にイメージ通りにいかなかったね。それに終始外を回らされたのも痛かった。最後までレースの流れに乗れずじまい。隼人もそうだろうが僕も残念な気持ち。次走以降に期待しよう。

2歳牝馬戦線は、このレースでアストンマーチャンが一歩リードといった感じかな。鮮烈な勝ち方以上に、ユタカがこの馬に抑える競馬を覚えさせたということが大きい。次走はもっと素直に折り合いがつくはずだ。

最近は結果重視。乗り方をいろいろと変えるたびに非難されたりするけれど、馬の可能性っていうのはレースの仕方を何パターンも経験することで広がっていくもの。そういう意味では、より強い馬を作るためにも今回のユタカみたいな「ひと皮むけさせる」騎乗がもっと多くなってもいいと思う。

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牝馬が強いかなと思っていた天皇賞だけれど、ふたを開けてみれば牡馬のレース。ゆるやかな流れで瞬発力勝負というよりも、よどみのない流れで力の競馬になった。そこが勝負の分かれ目だったように思う。

勝ったダイワメジャーとアンカツはこの流れを作り出したのが勝因。瞬発力タイプの馬の脚を道中で徐々に使わせて、最後はそのまま押しきった。しかしこの馬、粘り強い競馬ができるようになったもんだ。

思えば前走が転機だったのかもしれない。ダンスインザムードと接触しても、ひるむことなく二の脚を使って直線を駆け抜けた。そこでこの馬の勝負根性が目覚めたのだろう。ようやく本気で走る気になったといってもいいかもしれない。

2着のスウィフトカレントはノリが上手いレースをしたけれど、切れ味勝負のこの馬にとって流れが厳しかった。もうひと伸びが足りないのは、そういう脚しか使えない馬だから仕方ないところなんじゃないかな。

アドマイヤムーンは今後に期待が膨らむ3着。歴戦の古馬相手にこれだけのレースができれば上出来だろう。課題のゲートもスムーズだったし、これからも注目していきたい1頭だ。

精神面の成長を確信させた4着のコスモバルクは、この内容なら距離が伸びても対応できるはず。折り合いがつきすぎて位置取りがいつもより少し後ろだったのだけが残念。

1番人気のスイープトウショウは気の悪さを見せなかったけれど、いかんせん馬体がガレていた。長距離輸送がこたえたんじゃないかな。全ての力を発揮できたとはいいがたい。あとは、この馬もそうだけれど同じく牝馬のダンスインザムード共々流れが向かなかったね。瞬発力勝負ならばヒケはとらなかったと思うけれど、先に言ったように力の競馬、牡馬のレースになったのが痛かったかな。

今回のように、流れひとつで結果が変わってくるのが競馬。でも、乗り役次第でそれを作り出すこともできる。そういった意味で、今年の天皇賞はアンカツのレースだったといえるかもしれないね。

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菊花賞観戦のために出向いた京都競馬場。パドックでまず気になったのは、やっぱりメイショウサムソン。それが、前走よりむしろ仕上がっていないような印象。全体的にポテッとして、マラソン競馬ができる体つきじゃないと感じたんだ。プラス6キロの体重以上に重そうだった。

逆によく見えたのがドリームパスポートマルカシェンクアドマイヤメイン。そしてソングオブウインドアクシオンだ。


レースはユタカが思い切った逃げを打つ。ゲートを出た瞬間「これはヤルな」とピンと来た。ただ、馬が行く気になってしばらくは掛かり気味だった。でも、そこはユタカ。適度に息を抜かせて、後続との間隔も一定に保ちながら直線まで余力を残していたんだ。

アドマイヤメインが速いペースで逃げている割に2、3番手以下はスローだったため、直線手前で石橋は早めに仕掛けざるを得なくなった。そこにピッタリマークのドリームパスポートマルカシェンクが襲いかかる。それでもシェンクが伸びなかったのは、現時点での力の差。道中「死んだふり」ならばもう少し上もあったかもしれないが、勝ちにいっていただけに致し方ないだろう。

直線なかば、メインも捕まえきれずサムソンが失速したのは、やはり体ができていなかったからだろう。代わりに矢のように伸びてきたドリームパスポートが前半のロスでスタミナ切れしたメインを交わし、ノリの一発がハマった…ように見えたのもつかの間、さらに後方からソングオブウインドが差し切った。

ノリは作戦上では勝ちに等しい内容。マークしていた馬以外で、ドリームパスポートを上回る脚を使う馬がいたというだけ。コーシローは道中自分のペースを守って、よく我慢した。勝ちたいという欲を抑えて折り合いを重視した結果、最高の末脚を引き出す事ができたんだからね。


2年連続三冠馬誕生の夢は結実しなかったが、直線の攻防は見応えのあるドラマだった。それにサムソン陣営もプレッシャーから解放されて、次からはのびのびとレースに挑めるかもしれない…。京都からの帰り道、タクシーのなかで考えたのはこんなこと。どの馬もここが終着点ではなく、先へと繋がるレースだったと思う。

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みんなレースが始まる前には「こうなってほしい」とか「この馬が勝てばいいのに」なんて考えたりすると思う。で、秋華賞。僕としては「強い馬5頭のせめぎ合いが見たい」とスタートを待っていた。

1分58秒2が過ぎて、まずインパクトに残ったのは勝ったカワカミプリンセスの強さ。プラス8キロ以上に馬体を大きく見せたのには驚いたね。使い込むと良くないキングヘイロー産駒だけに、休み明けは正解だったんだろう。レースでもいい意味でのズブさを見せて、心身共に成長していることをうかがわせた。

ちょっと残念だったのは4着のアドマイヤキッス。カワカミとは逆に、プラス6キロでも体の張りが物足りないと思わせるほど。スタート直後からユタカはカワカミをマーク。なるだけ無駄な脚は使わせないように、我慢するところは我慢していた。4コーナーまでは思い通りのレースができていたと思う。それでも、いざというところで前走のような弾ける脚は使えなかった。ユタカのイメージを悪い意味で裏切る形になってしまった。一度ピークを迎えた状態面を最後まで維持することの難しさだと思う。

2、3着は鞍上のファインプレー。この2頭、瞬発力ではなく持久力で勝負という意味では似たタイプ。そういう意味でアサヒライジングのヨシトミも、フサイチパンドラのユーイチも馬の持ち味を存分に活かす乗り方だった。1着馬とは能力の違い、向こうの方が力が上だったという事だけだ。

6着キストゥヘヴンは出どころをなくして、力を出し切ることができなかった。残念だけれど、この馬のスタイルを貫いての結果だから仕方がないかな。馬自体は前走よりも良かったと思う。

今後に期待されるのは、精神面で成長が見られたフサイチパンドラ、粘り強さを見せた5着シェルズレイ、一流メンバー相手に健闘した7着サンドリオンといったところ。特にパンドラはサラブレッドとして完成されてきた感じだね。

新興勢力というよりは春の実績馬が目立ったこのレース。アッと驚くような展開にはならなかったが、見応えのある好レースだったと思う。

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